ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2002年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181578

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ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「ちなみに、古代のローマ人による奴隷の定義は、自分で自分の運命を決めることが許されない人、であった。」

    ポンペイウスが強い。

  • ローマ帝国は地中海を真ん中に置き、地中海に接する地帯を占領してローマの属国とした。

  • しかし、よく人をぽいぽい殺すなあ。

    人の命って、この時代、どんなもんだったんだろ。まあ、つい最近でも大差ないかもしれないけど。

  • 護民官グラックス兄弟の改革とスッラ体制。カエサル登場前のローマ内政の混乱を描く2巻。

  • マリウスとスッラの時代から、戦の天才であるポンペイウスの登場までの話。その中にはかの有名なスパルタクスの乱も含まれる。この巻を読むと「ポンペイウスTSUEEEEEE!」と今後のポンペイウス時代を予感せざるを得ないのだけど、結局シュリンク(しかも何か大きな失敗をしたわけではない)していくところを見ると、若くて華々しい成果を出していたとしても、芯に何か強いものがないと結局モノにはならないと痛感した(ある意味痛快でもあるが)

    自分の運命を自分で決める権利を完全に持っていない人には、義務も課されなかったのである。P110

    ギリシアからルネサンス時代までの歴史を熟知し、代表作としては『イタリア・ルネサンスの文化』を持つヤコブ・ブルクハルトに、『世界史についての初考察』と題した一冊がある。その中に、次の一文がある。
    「歴史はときに、突如一人の人物の中に自らを凝縮し、世界はその後、この人の指し示した方向に向かうといったことを好むものである。これらの偉大な個人においては、普遍と特殊、留まるものと動くものとが、一人の人格に集約されている。彼らは、国や宗教や文化や社会危機を、体現する存在なのである。危機にあっては、既成のものと新しいものとが交ざり合って一つになり、偉大な個人の内において頂点に達する。これら偉人たちの存在は、世界史の謎である」P195

  • タイトルにあるように、大国となったローマの政治体制、元老院指導の共和制にほころびが出始めます。それを懸命に修復しようと努めたのがスッラでした。彼の生きている間は何とか体制を維持できたものの、彼の死後崩れ出します。地中海沿岸地方の様々な同盟国の思惑が入り乱れる中、ポントス王国のミトリダテス6世との戦役や国内における奴隷の反乱、海賊の襲撃などの諸問題に活躍したのが、絶対指揮権を持ったポンペイウスでした。
    ローマに執拗に抵抗し最後に自死したミトリダテスの手紙には、ローマ人が非道な行為で帝国を築き上げたと非難しています。キケロの言葉にはローマが果てしない戦争や内紛からこの地方に恒久的な平和をもたらしたので、犠牲は必要経費だとあります。歴史を見る視点の違いなのでしょうが、これらのことは、絶えず繰り返され現代に続いている事柄だということに気づきます。
    そして「危機にあっては、既成のものと新しい物とが交ざり合って一つになり、偉大な個人の内において頂点に達する。これら偉人たちの存在は、世界史の謎である。」という文章による偉大な人物が次の巻で登場することになるので楽しみです。

  • ポンペイウスの時代がそろそろ終わりを告げ、次はいよいよカエサルだ!

  • …人間の幸せには、客観的な基準は存在しないからである。…「コミュニケート」とは、ともに過ごす時間が多ければ多いほど、コミュニケート度も高くなるというものではない。 なるほど。現代にも通じる。
    日本はまだまだ弥生時代・・・

  • ポンペイウスが登場して、ここからが一番知られているローマ帝国。

  •  ポントス王ミトリダテスはローマについてこう述べた。家屋であろうと妻であろうと耕地であろうと、ローマ人の持っているもののすべてが、周辺の住民からの強奪の結果であった。
     それは一片の反論さえも許されない完成され尽くした真実である。
     サビーニ族から強奪した女を妻と呼び、エルトリア人から盗んだ建築技術で家屋を作り、周辺民族を皆殺しにして手に入れた土地を耕地にした。ローマ人はその強欲により、際限ない膨張を自らに強いている。
    「パンがなければ、奪えばいいじゃない」
     ローマ人がそう言ったとしても、地中海では誰も驚かない。それどころか納得さえするだろう。奴らの野蛮さによってどれだけの都市が滅びたか、どれだけの人が殺されたか。
     だが拡張しすぎたローマは、周辺の敵すべてを殺し尽くしてしまった。ために、今度は略奪の対象を同胞へと移した。そして始まったのは粛清の嵐である。武力により執政官の地位に就くのが半ば慣例となりつつあるローマ人は、自国民から略奪しつづける。敵対勢力の生命を略奪し、その財産を盗み、妻や子どもを奴隷にして満面の笑みを浮かべる。沈黙以外は許されず、政府が恐れるべき国民が政府を恐れるという世紀末となった。ここには法も秩序も良識すら存在しない。この無法者の集団を国家と呼べるのか……?
     ポントス王ミトリダテスはローマについてこう述べた。ローマ人も昔は、難民だった。国家もなければ家族もない、はぐれ者の集団にすぎなかった。それが、周辺の人々の犠牲の上に、国家を築いたのだ。いかなる法も、いかなる人間の倫理も、いかなる神も、友人や同盟者から強奪し、この人々を破滅させる行為を許すはずがない。悪に満ちた眼で多民族を見、彼らを奴隷化することを許すはずがない。
     彼は決意した。このようなヤンキー帝国の存在を認めれば、人類が発展させてきた良心はたちまち消え去ってしまうだろう。その前に、なんとしてもあのローマを滅ぼさねばならん。幸い、イタリア半島の情勢は不安定だ。ローマは自国民との略奪戦で動けない。この隙に小アジアをローマ人の圧政から解放し、反逆の狼煙をあげるのだ! 自由と正義は我らにあり!
     次回『ミトリダテス、死す』――自由を望むものは少ないが、公正な主人を望む者は多いのが人間である。

  • 読書録「ローマ人の物語7文庫版」3

    著者 塩野七生
    出版 新潮社

    p52より引用
    “また、戦争とは、それが続けられるに比例
    して、当初はいだいてもいなかった憎悪まで
    が頭をもたげてくるものだ。前線で闘う者は、
    何のために闘っているのかさえわからなくな
    る。”

    目次から抜粋引用
    “マリウスとスッラの時代(承前)
     ポンペイウスの時代”

     歴史作家である著者による、歴史に大きな
    足跡を残した古代ローマについて記した一冊。
     内輪もめに乗じた他国の侵略から剣闘士の
    反乱まで、史実と著者の主観をまじえて書か
    れています。

     上記の引用は、ローマ市民同士の戦争につ
    いて書かれた項での一節。
    戦っている理由がわからなくなったら、戦闘
    を止めてしまえれば良いのですが、軍律違反
    で罰せられるのでしょうね。
    大きな力を持った人に振り回されて、見方同
    士で戦争をしなければならない、そんなこと
    にならないように、しっかりと歴史は勉強し
    ておいた方がいいのかもしれません。
     内戦やそれに乗じたゴタゴタばかりが描か
    れていて、ローマはあまりいい時期ではな
    かったようです。
    それでも地中海周辺を支配下に置いてしまっ
    たのですから、力のある国家だったのですね。

    ーーーーー

  • ミトリダテス戦争、スラの独裁と死後のスラ体制崩壊、ポンペイウスの活躍。

  • ちょいちょい戦争が絡むので読んでいて面白い。改めてだけどこの作者文章うまいなぁ。構成がとても好き。

  • 前一世紀初頭、ローマは内外で混迷の度を深めていた。同盟者戦役に続き、小アジアではミトリダス戦役が勃発、ローマも内乱状態に陥る。戦役に勝利した名称スッラは反対派は一掃。前81年、任期無制限の独裁官に就任し、ローマの秩序再建のため、国政改革を断行する。しかし「スッラ体制」は彼の死後間もなく崩壊。この後登場するポンペイウスは、ローマの覇権拡大を果たしたが。

  • ギリシアに手を出そうとするポントス王ミトリダテスを叩くためにスッラがローマを発ってすぐ、追放されていたマリウスをキンナが名誉回復したことで、マリウスの復讐が始まる。

    ミトリダテスを完全に屈服させたスッラは、あろうことかローマから派遣された正規軍をも取り込んでしまい、現地の統治システムまで形作る。

    キンナはローマに帰還してくるスッラを迎え撃つために準備をしていたが、その途上で犬死にをする。

    同盟者戦役の時よりもさらに純粋な意味での(=市民同士の)内戦が勃発し、粛清を経て、スッラによる独裁が始まる。

    スッラ独裁は元老院の強化を目指して行われたが、死後間もなく崩壊する。

    スペインのセルトリウスを叩きにいったポンペイウスが戦果を上げ名声を高めていく一方で、ローマではクラッススがスパルタクスの反乱を平定する。

    ポンペイウスとクラッススは仲が悪いにもかかわらず選挙では共闘し、執政官になり、元老院の力を削ぐ改革を行う。

    ローマの東では、ルクルスがミトリダテスを抑えつつ、ポンペイウスが海賊を一掃する。

    ルクルスは政治の舞台には参加せず、以後ポンペイウスの時代がやってくる。

    この時期のローマ史はごちゃごちゃしているが、教科書のように一直線に帝政まで至ったのではなく、やはり右に左に動揺しながら内憂外患を克服したのだと思う。

  • あ、マリウスとスッラは相対立する二人の名前だったんですね。並記されているから、てっきり師弟関係なのかと。旧態依然とした制度では広がり続ける国家を支えきれず、新しい体制づくりに精を出した男たちの物語。で、次はいよいよカエサル登場です。

  • ここまで続いてきた共和制による元老院体制も、もはや「古い革袋」となったようである。スッラによって再構築がなされたとはいえ、それは紀元前1世紀という時代には耐えられなかった。そもそもスッラが元老院体制の再建をなしえたことでさえ、自ら異例の独裁官に就任することによってはじめて可能になったのであり、そこには本質的な矛盾があった。ポンペイウスを経て、終身独裁官カエサルの時代、そして彼の死後、ローマはオクタヴィアヌス(アウグストゥス)による帝政へと移行してゆく。カエサルだけはその後のローマを見とおしていたのだろう。

  •  急激に強大になり過ぎたがゆえの成長に伴う数々の課題に見舞われた共和制後期のローマの物語の続きです。課題への対応を,これまでのシステムの見直しで解決しようとしたスッラと,その後を受けながらもスッラの確立した体制をはからずも崩壊させてしまうポンペイウスの物語が中心になっています。
     ローマの成長に適した統治システムへの対応を目指したこの巻の主役たちの取り組みの目的,進め方,そして結果を知ることは,成長に適した統治システムの確立という問題への解決への道筋を示し,そして新しいシステムの確立を進めた,次の巻以降の主人公たちの取り組みの目的,進め方,結果を知るには大切なことだと思います。

  • ポンペイウス・マーニュスの武勇が描かれる。
    次巻はとうとう、ユリウス・カエサルだ。

  • 今回は、マリウスとスッラの時代と、ポンペイウスの時代の話。
    しかし、いかに有能な人でも、全てを持ち合わせるのは無理なのか。スッラについて書かれた文章をそう思ってしまう。

    何でスッラは、元老院体制の維持を固辞したのか。時代に合わなくなったシステムを切り捨てることをしなかったのか。そこまで、すべてを見通せる人は、なかなかいないということなのか。

    それでも、優先順位をはっきりさせて、実行していった所は凄い。ミッションを達成するのが楽しかっのかも。

  • 今まで元老院を中心としてまとまりのあるように見えたローマがかなり混沌とした時代に突入している。
    その中でスッラはローマを外的から守り、さらに腐敗しつつあるように見える内部の体制も、少数寡頭制を再度実現するための行動をとる。
    スッラの国政改革は、無期限独裁官という点ではかなり強行ではあったが、彼の意思をはっきり反映させるためには必要であったのであろう。
    見事なまでに改革を実現した後の引き際は気持ちのいいものであった。

    その後に登場するポンペイウス。
    彼も過去に登場したローマの執政官たちに負けず劣らない戦略家であり、見事な外交力を発揮しているが、スッラの目指していた元老院を中心とした少数寡頭制の実現とは別の方向に向いてしまっているのがまたおもしろい。

    この時代にローマの悩みの種のミトリダテスを倒し、オリエントを平定したポンペイウスがこの語どのようにローマを導くのか楽しみなるが、実際は別の人物が中心になってくるようでる。
    強大国となったローマの今後がさらに楽しみである。

  •  特に印象深い内容はなし、ただ奴隷についての解釈で納得する件がある。奴隷の定義とは「自分で自分の運命を決めることが許されない人、である」それゆえか、自由市民は兵役があり税金がかせられる。奴隷は兵役も税金も免除されている。自分の運命を自分で決める権利を完全にもっていない人は、義務も課せられないのだ。なるほど、ならば戦国時代の農民とくらべてみよう。少ない田んぼから年貢を巻き上がれれ、労役につかられ働き手が激減し、田んぼの米も収穫できなくなり一家離散する。この状況よりは奴隷の方が食にこまらない気がしないでもない。なんと理不尽な。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)99
    歴史についての知識で、未来への指針を探る
    キリスト教文化中心主義にとらわれない日本が世界に誇る物語。
    ※10巻までを登録。実際はハードカバーで全15巻、文庫本で全43巻ある

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