ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181585

感想・レビュー・書評

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  • これまでの巻でカエサルは登場していたものの、彼を中心として書いたものではないので、この巻では時計の螺子を巻き戻すように、スッラの活躍した時代の事などの歴史的事実が再度書かれています。著者も重複していることは承知ですが、それはカエサルが37歳にしてようやく起ちはじめたからです。それ以前の彼の出自や青年時代の期間の方が、年月にすると長いからなのです。同時代には若き凱旋将軍として大衆に人気があったポンペイウス、小カトーやキケロなど名だたるこの時代の権威者たちを巧みに退け、頂点に近づいていきます。首が回らないほどの借金があり、やたら女にもてたが恨まれることがなかった、というカエサルの人柄。カティリーナの陰謀を弁論する場面の演説は、著者が長いがと理りながらも何故引用したのかがわかります。

  • ハンニバルやスキピオが去り、ユリウス・カエサルが登場してきた。

  • ■評価
    ★★★☆☆

    ■感想
    ◯カエサルについて知りたいと思って手に取った本。コテンラジオで深井さんが面白くしまとめてくれたが、原文を見たいと思って手に取ることに。

    ◯この巻では、カエサルはまだ何者にもなっていない借金王でハゲでおしゃれに気を使った人でしかない。それでも人間的魅力と無鉄砲さで、いつ死ぬかわからなくてヒヤヒヤするけど魅力に溢れている。

    ◯カエサルが何故モテたのか、それだけでなく、何故女に恨まれなかったのかの考察がめちゃくちゃ面白い。きざったらしい立ち振舞もかっこよかったのかなと感じた。

  • カエサルの生い立ちと人となりが中心で、淡々と書かれている。

    カエサルの活動については次巻以降に詳しく書かれているのだろう。本巻でも名前だけちょっと出てくるが、クレオパトラとのエピソードも次巻以降に出てくると思われる。

  • 読了。
    30代後半までのカエサル記。
    当時のポンペイウスがあまりに派手だということもあるが、大きな成果をあげずに30代後半まできたカエサル。歴史はこれから彼の存在が大きくなることを示唆しているが、借金富豪であること、女たらしであることはよくわかったが、彼のローマ観がどのようなところにあるのかはまだ見えない。うっすらと、ポピュリストであるような気配が当時からしてはいるが。

    カエサルは大器晩成というが、要所要所で仕掛けていることもよくわかる。芯もある。
    キケロとの論争もよかった。カエサルは負けてばかりだが、彼の一貫性はそこにあるようだ。

    続きも楽しみです!

  • 大器晩成型のカエサルの活躍はまだ書かれてなく、
    この巻では少年期〜青年期のカエサルが登場する。
    ポンペイウスの輝かしい功績が並ぶ中、
    スッラ派の怒りをかって逃げ回るカエサルや
    女性にモテたカエサルを知れて面白い。
    ただ、前巻の内容が出てくるので
    復習のような感じ

  • 小説ではないから仕方ないけど、美文ではないかもしれないですな。
    忙しい時の読書ほど文章の上手さが際立ってくると思う今日この頃。ホントはカエサルの話って面白いんだろうなと思うんですが、現状に負けてます。

  • ローマの歴史の中で、おそらく作者が最も書きたかったであろう部分だと思うが、上巻はカエサルの少年期や青年期が中心となるため、そこまで面白いわけではない。

  • 全巻まででも触れられていたマリウス、スッラ、ポンペイウスらが活躍した時代を振り返りながら、ユリウス・カエサルの幼年期を描き出した巻。地中海世界の覇者になったことによってカエサル以前のローマが抱えていた課題を振り返るのに役に立った。

    カエサル自身は40歳に近くなるまでは官職の面ではそれほど出世はしておらず、また軍事にしろ政治的な活動にしろ、それほど突出した存在ではなかったということにまず驚かされた。

    カエサルより6歳年上のポンペイウスやキケロは、20代から頭角を現し、ポンペイウスに至っては最高指揮権を得て各地に出兵し、官職も異例の出世をしているのと非常に対照的である。

    一方、そのような状況を描きながらも、カエサルの人物像を一つひとつの出来事としれに対するカエサルの対応を細かく追っていくことで、丁寧に浮き彫りにしていく筆致が、やはりさすがだと感じる。

    カエサルは、リアリストであり、元老院派に追われても、海賊に捕えられても、多額の借金を負っても、特に動じることもなく着実に生き残って行く。

    また、彼は人間の心理を捉えることにかけても透徹した目を持っていたのだと思う。単なるばらまきでもなく、力を誇示するわけでもなく、修辞に長けた弁論を繰り広げるわけでもないにも関わらず、周りの人から好感をもって受け入れられていくような才があったのではないか。

    早い段階で突出した地位に上り詰めなくとも、彼が決定的な敵をつくらず、無理はしないながらも政治的にも自らの地歩を着実に固めていく様子が印象に残った。

  • [評価]
    ★★★☆☆ 星3つ

    [感想]
    ローマの歴史の中で、おそらく作者が最も書きたかったであろう部分だと思うが、上巻はカエサルの少年期や青年期が中心となるため、そこまで面白いわけではない。
    ただ、この時代の様々な出来事がカエサルという存在の糧になっているのだろう。
    しかし、金を借りまくる事で債権者に対し、強くなるというのは相当に精神力が強いんだと感じたよ。

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