ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)

  • 1019人登録
  • 3.73評価
    • (88)
    • (117)
    • (183)
    • (3)
    • (1)
  • 80レビュー
著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2004年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181646

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • カエサルが暗殺され、オクタヴィアヌスが後を引き継いだが、この章は安定しており、主立った戦いもないのでちょっと退屈でした。

  • オクタヴィアヌス改めアウグストゥスが、共和政主義者(元老院)の賛同を得ながら、いかにして皇帝としての実権を得ていくかを描く。

    こう書くと、いかにも軍事国家の独裁者の出現を連想させるが、そうではなく、古代ローマが地中海周辺を支配する巨大国家となった結果、元老院による寡頭政治(共和政)は統治システムとして機能しなくなり、より効率的なシステムとして帝政へ移行が起こった、そう作者は考えているようである。

    システム改革の先駆者が、天才的な政治家・軍事家であったユリウス・カエサルであり、志半ばで倒れた彼の後を継ぎ、40年におよぶ治世においてカエサルの構想を実現したのが、初代皇帝アウグストゥス、ということである。

    時代は紀元前から紀元後に移る頃である。

  • カエサルの時代までは共和制だったローマでしたが、カエサルに後継者に指名されていた若きオクタヴィウスは、カエサルの遺志を受け継ぎ、巧妙なやり方で帝政の移行を進めていたのでした。
    歴史の授業で習い初代のローマ皇帝ということは知っていたものの、アウグストゥスというのは、古代のローマでは単に神聖で崇敬される場所を意味する言葉であり、権力を意味する尊称でなかったというのは全く知りませんでした。内乱を収め、共和制復帰を宣言した時にこの尊称を使い始めた彼はまだ35歳、皮肉にも「インペラトール・ユリウス・カエサル・アウグストゥス」というのが正式名称だそうです。
    そして、さらに興味をそそられるのが、アウグストゥスがまれなる美男子だったこと。(写真つき)しかし、カエサルのようなカリスマ性がなく、演説や著作の才能も自分にはないと思っていたようです。暗殺されれば志を絶たれることも十分承知しており、慎重な性格であるが故、天才カエサルの後を、彼とは違った手段で受け継いでいく様子が書かれています。パクス・ロマーナ、ローマによる平和を実現するために…
    これまでのカエサルの活躍した様子から比べるとやはり読み物としては面白味に欠けます。この辺りは、作者も指摘しているようにローマ史上重要な存在なのに、カエサルに比べると伝記が少なく、史料も少ない。魅力がないのではなく、書き手を触発するタイプの人物ではない、というのが理由のようですが…
    (この続きがなかなか手に入らないので、先がいつ読めるのやら困りものです)

  • 「パクス・ロマーナ」とは「ローマの平和」の意。それを作り上げたのが本巻の主人公、アウグストゥス・カエサル。
    初代皇帝であり、立役者ユリウス・カエサル(以後カエサル)の次のトップだ。

    曰くこの著者はカエサルのことが好きすぎてあまりに好意的に書く癖があるらしく、それの直後として比べられるこの初代皇帝は不憫である。

    カエサルは何でも一人で出来るオールマイティタイプであり、またやったという印象が強い。
    ガリアの征服行もそうだし、その後の内戦やら諸々はあくまでもカエサルの功績だろう。
    行動力があり戦争も出来、人心を掴むのも上手く政治も出来る。

    一方アウグストゥスは、出来ることと出来ないことがはっきりしているタイプである。
    一番分かりやすい実証は、アグリッパという軍事に才のある片腕の存在だろう。
    彼自身にはこの才能がからっきしであったらしい。

    著者はそこでカエサルを絶賛している訳だが、まぁ現代社会で言えば評価されるのは後者だろう。
    確かに彼は友と失った後はその面で失敗することも増えたかもしれないが、そもそも現代の組織では強烈なトップだけで持つ意味など無い。
    各々が各々で出来ることを分担して、独力では不可能な利益を生み出すべきなのだ。
    ていうか70歳を超えても権力が変わらずに現役でやってるってのが問題だろう。日本の政治家と同じだ。
    ただ、現代ではと言ったとおり、彼らにそういう価値観があった訳では無い。

    アウグストゥスの性質、といっても今でも固執する人は多いが、血の継承に拘るところがあった様だ。
    カエサルは後継者としてアウグストゥス(オクタヴィアヌス)を連れてきた。
    姪の子なので血縁者ではあるが、そう近くは無い。そしてその相棒として選んだアグリッパは何処の馬の骨とも知れない男である。
    他方、アウグストゥスは才能の多寡によらず、血縁者を順番に(というのも彼が指名した後継者はもれなく死んだり失脚したりする)後継者に指名していった。
    そこらへんの現実主義っぷりではカエサルに軍配を挙げざるを得なかろう。

    しかしパクス・ロマーナを成立させ、パクス・ロマーナと言わしめた男である。
    当時の目線で見ても、歴史的に見ても、立派過ぎる功績を挙げたことに違いは無い。

  • オクタビアヌス改め、アウグストゥスによる統治の時代のはじまり。もちろんパクス・ロマーナというローマ帝国(周辺国含め)の平和かつ繁栄の時代を築いたアウグストゥスはスゴイのだけど、その潜在能力を彼が18歳の時から見抜いていたカエサルのスゴさよ・・・

    P13
    アウグストゥスは、見たいと欲する現実しか見ない人々に、それをそのままで見せるやり方を選んだのである。ただし、彼だけは、見たくない現実までも直視することを心しながら、目標の達成を期す。
    これが、アウグストゥスが生涯を通して戦った、「戦争」ではなかったかと思う。天才の後を継いだ天才でない人物が、どうやって、天才が到達できなかった目標に達せたのか。それを、これから物語ってみたい

    P72
    だが、「内閣」の決議は、元老院での決議と同等の価値を持つのであって、それ以上の価値をもつとはなっていない。そのようなことを決めては元老院の反発を買うからだが、アウグストゥスは、次のやり方でこの難問もくぐり抜けた。
    元老院の定例会議を、従来よりも減らし、月の最初の人十五日の二回にし、その上、年に二ヶ月の休会期間まで置くと決めたのである。一方、「内閣」のほうは年中無休。必要とあれば招集されるのだから、政策決定期間としての重要度に差が出てくるのも当然だ。決議の同価値は。こうして、事実上の非同価値になったのである。

    P80
    防衛ないし安全保障の概念は、ローマ時代からあった。ラテン語ではセクリタスと言い、後には英語のセキュリティーの語源になる。

  • アウグストゥスの帝国統治

  • 筆者はアウグストゥスはあまり好きじゃないんだな。

  • 共和制から帝政移行後のAugustusについて、である。

    冒頭に記載されている通り大規模な戦争や、手に汗握る戦闘シーンはない。
    本巻や前巻を読むと、Augustusは決して戦闘の天才でなければ、偉大なカリスマ性を有しているわけでもない、というのがわかる。ただ彼には現状を認識する力が優れいていた。
    つまり自分の得手不得手を認識し、戦争ならAgrippaに任せ、政治も元老院との直接対決をできるだけ避け、巧みな根回しによって目的を達成する。
    この意味で、今までの執政官の誰とも違う新しいタイプのリーダーであると思う。

  • カエサルの後継者になったオクタビアヌス。まだ若かっただけにじっくり焦らず天下を手中にしていく。大きく変わる時代の趨勢がこの若者にだけは見えていたのか。繰り返し出てくる「人は見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの残したフレーズが印象的。

  • 「ー」

    アウグストゥスの統治。少しずつ、各施策を集めれば帝政へ進む姿は素晴らしい。

  • 政治、制度の話が続くので読むスピードが落ちたのは事実。しかし丁寧に読んでいくと面白い。

  • ユリウス・カエサルが暗殺されてから十五年。彼 の養子オクタヴィアヌスは、養父の遺志に逆らう ように共和政への復帰を宣言する。これに感謝し た元老院は「アウグストゥス」の尊称を贈り、 ローマの「第一人者」としての地位を認めた。し かしこの復帰宣言は、カエサルの理想であった 「帝政」への巧妙な布石であった──。天才カエ サルの構想を実現した初代皇帝の生涯を通じて、 帝政の成り立ちを明らかにする。

  • ユリウス・カエサルが暗殺されてから十五年。彼の養子オクタヴィアヌスは、養父の意思に逆らうように共和政への復帰を宣言する。これに感謝した元老院は「アウグストゥス」の尊称を贈り、ローマの「第一人者」としての地位を認めた。しかしこの復帰宣言は、カエサルの理想であった「帝政」への巧妙な布石であったー。天才カエサルの構想を実現した初代皇帝の生涯を通じて、帝政の成り立ちを明らかにする。

  • 寛容のカエサルと復讐のオクタヴィアヌス。対象的な二人を投影しながら、ローマの政治は、舵をきっていく。カエサルに心酔していた僕は、当時のローマ人同様オクタヴィアヌスにカエサルを投影し、幻想をいだいてしまった。そして、庇護者でもあり、政敵であったキケロに対する接し方の違いを知ったとき、その衝撃に読む手を止めてしまった。そして、しばらく夢にうなされました。

  • アウグストゥスは用意周到で、自分の実現したい目標に向かって、淡々と実行する印象を受ける。目標の為には、人を欺く事も厭わない。 人々が気づいた時には、世界が変わっていた感じなのかな。普通は焦ると思うけど、だからアウグストゥスをカエサルが選んだのか。

  •  内乱を勝ち抜き,ただ一人の勝利者となったオクタヴィアヌスが,共和制という外観を維持しながら,帝政への移行を着実に進めて行く時期の物語です。毛沢東の「政治は血を流さない戦争であり,戦争は血を流す政治である」という言葉を参考にすれば,共和政主義者を欺きながら帝政を樹立するというアウグストゥス帝の「血を流さない戦争」の物語ととらえることができると思います。ローマにおける帝政への移行という「創作」は「血を流さない戦争」にも勝利を収めなければ確立することができませんでした。
     この「血を流さない戦争」に対するアウグストゥス帝の深謀遠慮や着実な進め方には感心させられます。この冷静な自己制御を常に維持しつつ,目標に向かって着実に進め,カエサルという「天才が到達できなかった目標に達する」プロセスを追って行く物語により,アウグストゥス帝の魅力に触れることができると考えています。

  • 紀元前31年アクティウムの海戦、翌年、前30年アントニウス・クレオパトラ自殺を受けて、33歳のオクタヴィアヌスはローマの最高権力者になった。カエサルという天才が到達できなかった目標を実現した天才ではない偉大なる指導者インペラトール・ユリウス・カエサル・アウグストス。マキャベリなら称賛するだろうやり方で実に地道にまったく矛盾なくして共和政から帝政へ移行を進めた。アウグストスの業績を項目別に並べればいかにも優れていると判るが、それは物語としては面白味に欠けるというのもうなづける。だからこそのちに400年も維持する帝国の礎を築くことができたのであろう。

  • 第一部 統治前期(紀元前29年~前19年)
    アウグストゥス、34歳~44歳

  • カエサルのような派手さは無いが、したたかなアウグストゥスも味わい深いですな。

  • いよいよローマが共和政から帝政に。「アオクタヴィアヌス」は、「アウグストゥス」、つまりオーソリティになる。元老院を刺激しないように、巧妙に帝政への布石を打っていくのだが、やっぱりなんというか爽快感がないな。戦闘シーンが一切ないからだろうか。めちゃめちゃ周到で頭がいいと思うけど、戦いが弱いというのが、なんとなく男らしい存在感に欠けるのかな。
    とはいえ、かなりの美男だったらしい。イメージ作戦で、30代の自分の彫像を沢山作らせ、それが彼のイメージを確立していったというのが面白い。「一体だけ、これだけはもしかしたら後年の彼かと思わせる頭部があるが」というう箇所があるが、やっぱりカエサルのように薄くなったのかな。

  • カエサル暗殺後、アウグストゥスが治める見かけは共和制、中身は帝政のローマ時代の巻。戦乱がおさまり平和な時期に入ってきた時から、カエサルの意志を継ぎつつ、アウグストゥス本人の意思を反映した政治が展開される。あれほど帝政を嫌った元老院が易々とアウグストゥスの思惑に嵌るのはなぜだろうか?15・16巻でその思惑を探りたい。

  • オクタヴィアヌスの統治前半の話です。パクス・ロマーナ(ローマの平和)の原型を作っていった話です。オクタヴィアヌスが、単純な政治面だけでなく財政面での裏づけを取りながら、持続可能な平和をもたらす枠組みを作っていった話です。
    その中での一つの政体が、帝政であったというだけのことのようです。この帝政も、皇帝だと何でもできる、といったたぐいのものではなく元老院と市民からの承認があって成り立つ、バランスをとったものであったというのが筆者談です。その辺のバランス感については、この巻から読み取ることは自分にはできませんでした。それでも、オクタヴィアヌスという一人の人間が短期間に成し遂げたことにしてはすごいなぁ、と素直に思うくらいの業績がかかれています。

  • アウグストゥスがちゃくちゃくと, 目立たぬうちに改革を進めていく

  • ・オクタヴィアヌス → アウグストゥス
    ・アウグストゥスとアグリッパ
    ・慎重

全80件中 1 - 25件を表示

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)に関連するまとめ

塩野七生の作品一覧

塩野七生の作品ランキング・新刊情報

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする