ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2004年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181646

ローマ人の物語〈14〉パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • カエサルが暗殺され、オクタヴィアヌスが後を引き継いだが、この章は安定しており、主立った戦いもないのでちょっと退屈でした。

  • オクタヴィアヌス改めアウグストゥスが、共和政主義者(元老院)の賛同を得ながら、いかにして皇帝としての実権を得ていくかを描く。

    こう書くと、いかにも軍事国家の独裁者の出現を連想させるが、そうではなく、古代ローマが地中海周辺を支配する巨大国家となった結果、元老院による寡頭政治(共和政)は統治システムとして機能しなくなり、より効率的なシステムとして帝政へ移行が起こった、そう作者は考えているようである。

    システム改革の先駆者が、天才的な政治家・軍事家であったユリウス・カエサルであり、志半ばで倒れた彼の後を継ぎ、40年におよぶ治世においてカエサルの構想を実現したのが、初代皇帝アウグストゥス、ということである。

    時代は紀元前から紀元後に移る頃である。

  • カエサルの時代までは共和制だったローマでしたが、カエサルに後継者に指名されていた若きオクタヴィウスは、カエサルの遺志を受け継ぎ、巧妙なやり方で帝政の移行を進めていたのでした。
    歴史の授業で習い初代のローマ皇帝ということは知っていたものの、アウグストゥスというのは、古代のローマでは単に神聖で崇敬される場所を意味する言葉であり、権力を意味する尊称でなかったというのは全く知りませんでした。内乱を収め、共和制復帰を宣言した時にこの尊称を使い始めた彼はまだ35歳、皮肉にも「インペラトール・ユリウス・カエサル・アウグストゥス」というのが正式名称だそうです。
    そして、さらに興味をそそられるのが、アウグストゥスがまれなる美男子だったこと。(写真つき)しかし、カエサルのようなカリスマ性がなく、演説や著作の才能も自分にはないと思っていたようです。暗殺されれば志を絶たれることも十分承知しており、慎重な性格であるが故、天才カエサルの後を、彼とは違った手段で受け継いでいく様子が書かれています。パクス・ロマーナ、ローマによる平和を実現するために…
    これまでのカエサルの活躍した様子から比べるとやはり読み物としては面白味に欠けます。この辺りは、作者も指摘しているようにローマ史上重要な存在なのに、カエサルに比べると伝記が少なく、史料も少ない。魅力がないのではなく、書き手を触発するタイプの人物ではない、というのが理由のようですが…
    (この続きがなかなか手に入らないので、先がいつ読めるのやら困りものです)

  • 「パクス・ロマーナ」とは「ローマの平和」の意。それを作り上げたのが本巻の主人公、アウグストゥス・カエサル。
    初代皇帝であり、立役者ユリウス・カエサル(以後カエサル)の次のトップだ。

    曰くこの著者はカエサルのことが好きすぎてあまりに好意的に書く癖があるらしく、それの直後として比べられるこの初代皇帝は不憫である。

    カエサルは何でも一人で出来るオールマイティタイプであり、またやったという印象が強い。
    ガリアの征服行もそうだし、その後の内戦やら諸々はあくまでもカエサルの功績だろう。
    行動力があり戦争も出来、人心を掴むのも上手く政治も出来る。

    一方アウグストゥスは、出来ることと出来ないことがはっきりしているタイプである。
    一番分かりやすい実証は、アグリッパという軍事に才のある片腕の存在だろう。
    彼自身にはこの才能がからっきしであったらしい。

    著者はそこでカエサルを絶賛している訳だが、まぁ現代社会で言えば評価されるのは後者だろう。
    確かに彼は友と失った後はその面で失敗することも増えたかもしれないが、そもそも現代の組織では強烈なトップだけで持つ意味など無い。
    各々が各々で出来ることを分担して、独力では不可能な利益を生み出すべきなのだ。
    ていうか70歳を超えても権力が変わらずに現役でやってるってのが問題だろう。日本の政治家と同じだ。
    ただ、現代ではと言ったとおり、彼らにそういう価値観があった訳では無い。

    アウグストゥスの性質、といっても今でも固執する人は多いが、血の継承に拘るところがあった様だ。
    カエサルは後継者としてアウグストゥス(オクタヴィアヌス)を連れてきた。
    姪の子なので血縁者ではあるが、そう近くは無い。そしてその相棒として選んだアグリッパは何処の馬の骨とも知れない男である。
    他方、アウグストゥスは才能の多寡によらず、血縁者を順番に(というのも彼が指名した後継者はもれなく死んだり失脚したりする)後継者に指名していった。
    そこらへんの現実主義っぷりではカエサルに軍配を挙げざるを得なかろう。

    しかしパクス・ロマーナを成立させ、パクス・ロマーナと言わしめた男である。
    当時の目線で見ても、歴史的に見ても、立派過ぎる功績を挙げたことに違いは無い。

  • オクタビアヌス改め、アウグストゥスによる統治の時代のはじまり。もちろんパクス・ロマーナというローマ帝国(周辺国含め)の平和かつ繁栄の時代を築いたアウグストゥスはスゴイのだけど、その潜在能力を彼が18歳の時から見抜いていたカエサルのスゴさよ・・・

    P13
    アウグストゥスは、見たいと欲する現実しか見ない人々に、それをそのままで見せるやり方を選んだのである。ただし、彼だけは、見たくない現実までも直視することを心しながら、目標の達成を期す。
    これが、アウグストゥスが生涯を通して戦った、「戦争」ではなかったかと思う。天才の後を継いだ天才でない人物が、どうやって、天才が到達できなかった目標に達せたのか。それを、これから物語ってみたい

    P72
    だが、「内閣」の決議は、元老院での決議と同等の価値を持つのであって、それ以上の価値をもつとはなっていない。そのようなことを決めては元老院の反発を買うからだが、アウグストゥスは、次のやり方でこの難問もくぐり抜けた。
    元老院の定例会議を、従来よりも減らし、月の最初の人十五日の二回にし、その上、年に二ヶ月の休会期間まで置くと決めたのである。一方、「内閣」のほうは年中無休。必要とあれば招集されるのだから、政策決定期間としての重要度に差が出てくるのも当然だ。決議の同価値は。こうして、事実上の非同価値になったのである。

    P80
    防衛ないし安全保障の概念は、ローマ時代からあった。ラテン語ではセクリタスと言い、後には英語のセキュリティーの語源になる。

  • アウグストゥスの帝国統治

  • 11/6

  • 筆者はアウグストゥスはあまり好きじゃないんだな。

  • 共和制から帝政移行後のAugustusについて、である。

    冒頭に記載されている通り大規模な戦争や、手に汗握る戦闘シーンはない。
    本巻や前巻を読むと、Augustusは決して戦闘の天才でなければ、偉大なカリスマ性を有しているわけでもない、というのがわかる。ただ彼には現状を認識する力が優れいていた。
    つまり自分の得手不得手を認識し、戦争ならAgrippaに任せ、政治も元老院との直接対決をできるだけ避け、巧みな根回しによって目的を達成する。
    この意味で、今までの執政官の誰とも違う新しいタイプのリーダーであると思う。

  • カエサルの後継者になったオクタビアヌス。まだ若かっただけにじっくり焦らず天下を手中にしていく。大きく変わる時代の趨勢がこの若者にだけは見えていたのか。繰り返し出てくる「人は見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの残したフレーズが印象的。

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