ローマ人の物語 (17) 悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181677

感想・レビュー・書評

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  •  新たな戦争を仕掛けるでもなく、新たに建築物を建てるでもなく、ローマ最大の娯楽である剣闘士の試合もしない。ひたすらカエサルが構想し、アウグストゥスが実現した帝政の基盤を踏襲し、それを盤石にすることに生涯を捧げる。地味で庶民受けは悪かったが、彼がいたからこそローマは繁栄を続けられたのだと思う。

  • がんばれティベリウス!負けるなティベリウス!

  • 2代皇帝ティベリウスのお話。読みながら、堅物として有名な民主党の岡田前幹事長とダブってしまった。それにしても悪名高き皇帝たちに入れられているのは気の毒すぎる気が。国益への貢献と民衆の人気とは必ずしも一致しないということでしょうか。

  • ティベリウス帝の時代

  • 20110826読了。

    アウグストゥス帝の統治する時代の次は
    ティベリウス帝の時代。

    サブタイトルには悪名高き皇帝たち、とつけられた本書だけど
    読む限りティベリウス帝は悪名どころかローマ帝国をさらに盤石にしていると感じる。

    話の展開としては物語調というより記録調になっており
    少々退屈。

  • ここからは歴史上、悪帝・愚帝と呼ばれた4人の皇帝たちが

    本当に歴史の評価通りだったのかの検証が4巻続く。

    自分の血の継承に妄執とも言える執着を見せたアウグストゥス

    の後継者となったのは、妻の連れ子であったティベリウスだった。

    彼の後継就任はその最初から哀しみが付き纏っていた。

    元老院議会場で読み上げられた先帝の遺言状には、暗に

    ティベリウスが次の後継者までの中継ぎであることが盛り

    込まれていた。

    それでもティベリウスは自分に与えられた地位を、堅実に

    務める。膨らむ支出を抑える為の緊縮財政策、先帝が

    カエサルの計画になったのに広げようとしたゲルマン民族に

    対する防衛線からの撤退。

    先帝とその右腕だったアグリッパが造りまくった公共建築物や

    インフラのメンテナンス。地味だけれど大切な仕事を重視した

    ティベリウスだったが、人間ははっきりと目に出来るものに

    多くの評価を置く。その為に、市民からは不人気の皇帝で

    あった。

    そして、アウグストゥス同様、ティベリウスにも家族の問題が

    持ち上がる。若くして不慮の事故で世を去った弟ドゥルースス

    の子であり、養子に迎えたのが軍事面での才能を花開かせた

    ゲルマニクスだ。

    兵士が反乱を起こせば「死んだ方がまし」と自分の胸に剣を

    突きたてようとしたり、北海の嵐で沈没する船が多くなると自分

    の責任だと叫んで海に飛び込もうとしたりと、情熱の武将である。

    このゲルマニクスが毒殺説さえあった病気で没したことが発端と

    なり、先帝の血を受け継ぐ彼の妻が反ティベリウス派を組織する

    ことになる。この人物こそ、歴史上の悪女に名を連ねることになる

    アグリッピーナである。

    もうねぇ、アグリッピーナに対する著者の筆の辛辣さったらないのだ。
    確かに女の嫌な部分を凝縮したような、愚かな女性ではあるのだが、
    グラックス兄弟の母や、カエサルの母に見せた温かさ一切なしだもの。

    さて、ティベリウスである。家族の問題、政治判断から逃げようとする
    元老院に嫌気が差したのか。彼は地中海の小島カプリへ隠遁して
    しまう。

    先帝の直系ではないけれど、着実に堅実にパスク・ロマーナを

    盤石にした皇帝は、自身の神格化も頑なに拒否し、追従には

    やんわりと批判を浴びせ、真面目過ぎるほどのひたむきさで

    帝国のあるべき道を目指した。それが彼を孤独にしたのかも

    知れぬ。

    鍛えられた長身を長衣に包んだその背中には、悲哀が滲んで

    いるように感じるな。

  • ティベリウスはローマ帝国の磐石な体制を築くために重要な人物であった。ライン、ドナウ河の各防衛ラインの整備に配慮し、ゲルマン民族からの侵略を断ち、安定的な平和を供給することに努めた。このティベリウスが晩年過ごした島へ一度行ってみたい。

  • 00263
    B010
    他-9999999-001

  • 第2代ローマ帝国 皇帝ティベリウスの治世前半について語られています。
    論理的には正しい選択をするんだけど、情理には響かない行動をとってしまうタイプの人。民衆からは嫌われたけど、本人は正しいことをやり続けた自負からそこそこ満足して人生を終えたように思います。

    国家戦略の論理的な正しさは持続的かつ長期的になるべく多くの人がハッピーとなる選択をすること。その選択には必ず不利益を被る人がいるので、そこで情理を使って説得する力が必要となってくるのだと思う。それをできたのが初代皇帝アウグストゥスなのでした。

    論理力と情理力の両方を日本の政治家に求めることは難しいと思いますが、せめて論理力だけでもちゃっとしている人が欲しいです。短期的で一部の人の利益を優先する政治家が多すぎるぜ。

  • カエサルのような説得力やアウグストゥスのような演技力を持たず、あくまで「正直に」政治を行ったティベリウス。結果として大衆の支持を失ってカプリ島に引きこもるが、なんか一番共感できるキャラだ。

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