- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181707
感想・レビュー・書評
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面白かった!
正直ネロとセネカのエピソード目当てで読み始めたけど(このシリーズを完備しているうちの図書室は神だ)(というか司書さんの職権濫用かな?)純粋に歴史上の人物としてのネロが好きになった。
キリスト教あたりの対応で暴君扱いされがちだけど、皇帝として彼なりに頑張っていたりもした若者だったのかなと思った。いや、皇帝だし、頑張ってたら良いってわけでもないけど。
なんか、本当〜〜にちょっとやんちゃな男の子だったんだなって。
泳いじゃいけない湖で泳ぐ、喧嘩のあとが残った顔で元老院に出る、たいしてうまくもない歌を披露する……。
バカエピソードは豊富だけど、なんか憎めないんだよな。ただ皇帝には向いてなかった。
けど一人の人間としての彼は可愛くて普通の若者だったし、少しくらい同情してもいいよな。
なんか……太ってたのも愚かでかわいかったな。
醜い……可愛い……。
あれで支持されなくなって慌てちゃうのとかかわいそかわいいな。
塩野さんの本、チェーザレの方は積読してるけどこれはスッと読めた。面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
皇帝ネロの巻。
読み進めていくと、ネロが可愛そうに感じてくる。
たしかに、若くして母アグリーピィーナの策略で皇帝に祭り上げられ、その母を殺し、さらには妻オクタビアをも殺し、有能な多くの部下を殺したネロの行いは言語道断だが、歌に夢中になる姿はいつも孤独の中にいたのではないかという悲哀を感じた。寂しいユリウス・クラウディウス朝の最後の皇帝だった。 -
ネロ。
残念過ぎたなぁ。以前、テレビの番組で黄金宮殿のことを放送したのを見て、言われてるほどの暴君ではないとのぼんやりとした記憶はあったけど。暴君ではないかもしれないけれど、後世に悪く言われるだけの事実はあるのだなぁ。
若い皇帝あるある、ではないけれど、無邪気な人だったのだろうけど、皇帝の器ではなかったなぁ。
こうやって読み進めていくと、いかにカエサルとアウグストゥスが素晴らしかったのかがよくわかる。 -
またこのタイプの皇帝かと。。
若い皇帝ネロのお話し。
5、ネロ・クラウディウス・カエサル・ドルスス・ゲルマニクス -
第5代皇帝ネロの巻。暴君として有名だが、キリスト教徒を迫害したために、キリスト教の時代になってから暴君として有名になったようだ。
本作を読んだ印象では、暴君というより、竪琴や歌が好きな、ナイーブで短絡的な若者という感じだ。承認欲求が強いのか本質的に憶病なのか、保身の方法が極端なんだよなあ。理性的な人ではなかった。人心が離れるのも分かる気がする。そして妻のオクタヴィアが不憫すぎる。
他に登場するのは、ネロの補佐役セネカと、アルメニア・パルティア問題に尽力したコルブロなど。ユリウス=クラウディウス朝の帝政が終わり、次巻はどうなるのか。 -
悪名高きと形容された皇帝たちの最後の巻に登場するのは、あの人、ネロ。その母アッピリーナが彼を文字どおり生んだといえるというのがこの巻を読み終えた感想。あくの強い野望に燃えた女性だったから、このような歴史上有名なエピソードを残したのでしょう。息子のネロは、母親の野望の犠牲者ともいえるのかもしれません。
ネロをたった16歳で皇帝に即位させた母は、「ママのおかげで…」とばかりに、そのことを当然のように息子に恩に着せ、思春期の息子は母親に反抗するという、古今東西何処にでも当てはまるパターン化された構図を展開します。母子関係はネロの不倫により最悪の結末を迎えます。どうにもならなくなったネロは母殺しを図ったものの失敗、息子に殺されかけたと知った母に刺客が襲います。母殺しの後、心に傷を負った彼は夜ごとの亡霊に悩まされます。
利発な少年だっただろうとされるネロには、家庭教師的な存在時代から、皇帝になってからの補佐官としての役割を担った知識人セネカと軍事面の補佐を担ったブルスがいました。しかし、ネロは彼らの影響から離れ始めていたのでした。
ネロはその後、セネカと決別し、自己制御能力を益々失っていきます。ローマの大火というキリスト教の迫害につながった出来事は、その後の暴君という歴史的な評価につながったのでした。ナイーブな性格の持ち主だったらしいネロは、市民の悪評に過激に反応し、皇帝としての評判を落とすような逆の行動に走り、最後は近衛軍団、元老院ともに見放されます。結局、ネロも30歳で自死に追い込まれたのでした。
過激なファッションに身を包んだり、歌手としてのパフォーマンスを披露したりと、若気の至りといえるような愛すべきキャラクターだったネロは、皇帝になったばっかりに…と思うのでした。 -
初代皇帝 アウグストゥス
2代目 ティベリウス
3代目 カリグラ
4代目 クラウディウス
5代目皇帝ネロ登場。
若いスターの出現に、ローマ市民は最初、歓呼をもって迎えたという。
カリグラの時と同様だ。
16歳で皇帝につき、30歳で「国家の敵」として処刑されるまで、13年あまりの治世をクールに追う。母アグリッピーナ殺害や、妻オクタヴィアの処刑、師であるセネカの処刑など、暴君らしいひどい事件が相次ぐが、おどろおどろしく取りあげることはせず、淡々と、政治的な業績とその評価の面からこの滑稽な皇帝の生涯を描く。
時代は西暦50-60年代。この頃、ようやくブリタニアがローマ帝国の領土に組み込まれた。 -
ネロが暴君と言われるのは、残酷なキリスト教迫害について後世のキリスト教世界で取り沙汰されたことが大きいのかなと思いました。とはいえ、善政にもほど遠かったようです。