- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181714
感想・レビュー・書評
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ユリウスクラウディウス朝のネロが自死した後のガルバ、オトー、ヴィテリウスのほとんど無名の皇帝の時代。
でも、これが面白かった。たった一年の間に死んでいった3人の皇帝は、何が足りなかったのか?塩野女史はすべて足りないと
ばっさりと切っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ローマが帝政になってから約100年。
カエサルより続く血脈がかの暴君ネロで途絶えた時。
ローマは大きな危機を迎える。
1年の間に3人の皇帝が殺され、まさに帝国そのものが崩壊の一歩手前まできてしまう。
その時、ローマ人はいかにしてこの危機を乗り越え、ローマ史上最も繁栄した五賢帝時代へと導いたのだろうか。 -
なんということだ。
悲しくなるほどの皇帝になった3人の統治。何をしてるんだ、とローマ市民でなくてもガッカリする。
剣闘士の試合のようにティベリウス派と元オトー派、プリムス率いる軍団との戦いを、平和を享受しながら眺めていたとの記述にえっと思うが、今の日本の政治に対する国民の態度と大差ないなと思ってしまった。
この後、ローマはどうなるんだと心配しながらの読了。2024年元旦の読書。 -
ネロの死によってユリウス=クラウディウス朝の帝政が終わり、内乱の混乱期を迎えた今巻。ガルバ、オトー、ヴィテリウスと、なんと1年間で3人も皇帝が次々と代わったというから驚きだ。
後半に父親が元老院階級ではない、たたき上げのヴェスパシアヌスが登場。盟友のムキアヌスも有能そうだし、次巻に期待。 -
ネロが自死してからの30年間のローマ帝国の様子。本のカバーに銀貨が載っていて、作者の説明書きがありますが、今回の巻はそれだけでは足りず、ネロから始まってネルヴァまで皇帝の顔を刻んだ銀貨が8枚も載っています。ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ドミティアヌスと非業の死を遂げた皇帝が4人もいて、作者もこの時代を「ローマ帝国にとって、苦悩と悲嘆に埋めつくされた時代の話…」としています。しかし、後世の歴史家の評価を鵜呑みにしておらず、この後の5賢帝と呼ばれる皇帝たちの力だけで、500年のローマ帝国が保たれたのではないとしています。…危機とは常にネガティヴな現象か…という疑問も提しながらこの時代を作者は検証していきます。
紀元69年の年、1年間に皇帝が3人も入れ替わる訳ですが、この皇帝となった人物たちは、資質に問題あり!の人物たちで国を治める力のないものばかりでした。そのため軍団同士の市街戦が繰り広げられる酷い事態になりましたが、それを庶民は剣闘士の試合の見物でもするように観戦したのでした。そのことの是非について、私も後世の歴史家の非難よりも、作者の言うように、ローマの庶民の批判精神の鋭さが印象的でした。この時代に生きていたら、こんな政治の混乱には、冷めた眼で勝手にやってよ!と思うだろうと考えました。そして、ひと頃の日本でも短期間にコロコロと首相が代わっていたなあと思い出すのでした。 -
紀元69年の「三皇帝時代」を扱う21巻。血の権威を失った皇帝人事の混乱に乗じて、三人の人物が勢いだけで皇帝となり、争いあう一年を描きます。失敗から学ぶと言いますか、私欲を貪るリーダーと保身に徹し抑止力のない元老院、呆れ果てて無関心になった庶民、という最悪の構図は現代にも通じるものがあります。
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失政を重ね帝国に混乱をもたらしたネロが自死した翌年(紀元69年)、ローマには3人の皇帝が現れては消えた。ガルバ、オトー、そしてヴィテリウス。初代皇帝アウグストゥスの血統ではない彼らに帝国の命運が託されたが、傲岸、生硬、怠惰という各人の性格に由来する統治力のなさが露呈、いずれも短期間で破滅した。さらにその間、軍団同士が争う内戦状態に突入し、帝政始まって以来の危機的状況に陥る。果たしてローマ人はこれをいかに乗り越えたのか。
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ネロの死の後に皇帝位につくことになった,ガルバ,オトー,ヴィテリウスの3皇帝の物語です。内乱で終始した1年強の時期ですが,アウグストゥス帝の血とつながりを持たず,これまでの「権威」を持たない皇帝が,行き当たりばったりで行動したことによる内乱の時期を読んでいると,統治者やリーダーとしての資質について考えさせられます。何が必要かという冷静な認識と,臨機応変での対応力と言えば簡単ですが,それを実際に身につけて,活用するというのは,組織のトップとして要求されることなのでしょう。また,この時代のいきさつを読んでいると,情報伝達のスピードについても考えさせられます。
この内乱を,どうやってヴェスパシアヌス帝とその周辺の人々が収拾させ,さらなる繁栄につなげていくかは,次巻以降の物語です。 -
23巻に記載