ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2006年8月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181745

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ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • トライアヌスの治世と死

  • 本筋の話ではないけれど、「女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の良さには、羨望もしなければ嫉妬もかんじないものなのだ」その通り。

  • 初の属州出身皇帝となったトライアヌスを描く。賢帝と言われている皇帝の一人。アラビアとダキアの制圧に成功する。併合した後の処遇の方法は過去のローマ人とは異なる。従来はローマ人と被征服者の同化がローマの主流であったのだが、トライアヌスは被征服者を遠くに配置転換するなど非同化策をとる。著者はこの理由は被征服者の外側にさらなる脅威(カエサルの時代にはガリアの外側にゲルマン人がいたが、ダキアの外には脅威がなかった)がなかったからではなかろうかと説明する。結果的にはトライアヌスの策は成功する。
    属州統治の要諦は1.税率を挙げないこと 2.インフラを整備すること 3.地方分権の徹底 を挙げる。かいつまんでいえば被征服者が不利益を被らないことが成功要因のようだ。
    昨今の企業買収や子会社経営にも当てはまるのではなかろうか。

  • 五賢帝の中でも帝政ローマの絶頂期を築いたトライアヌス。
    欠点が少ないとキャラクターとしては魅力に欠けてしまうのだが、ダキア平定など、それを補って余りある業績を残した。

  • 賢帝の話。戦争のシーンは面白かったけど公共事業の話は退屈だった。安定している時の資料がほとんど残されていないのは興味深かった。

  • 紀元2世紀、同時代人さえ「黄金の世紀」と呼んだ全盛期をローマにもたらしたのは、トライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウスの三皇帝だった。初の属州出身皇帝となったトライアヌスは、防衛線の再編、社会基盤の整備、福祉の拡充等、次々と大事業を成し遂げ、さらにはアラビアとダキアを併合。治世中に帝国の版図は最大となる。三皇帝の業績を丹念に追い、その指導力を検証する一作。

  • トライアヌス頑張りすぎ

  •  初の属州出身の皇帝で,五賢帝の二人目であるトライアヌス帝の物語です。ダキア戦役やパルティア遠征,国内での大規模な公共事業など,五賢帝の一人として「至高の皇帝(Optimus Princeps)」と呼ばれるにふさわしい20年の治世であったと思います。
     次のハドリアヌス帝もそうですが,最盛期を担うためには,前任者が遺した功績と,それを引き継いだ者の能力や実績の両方が必須という思いを持ちながら読み進めていました。

  • 24巻はトライヤヌス帝の帝位在任の様子がつづられます。

    帝位在位初期には、ドミティアヌス帝以来の「貸し」を返済すべくダキア族を掃討することになるのですが、掃討後の対処が先代から続いた伝統と違います。

    戦後のダキア人の扱いについては、ローマ伝統の部族融和策を用いず、ほぼ総入れ替えのようなことを行い脅威を取り除くことにより、ローマの安定をもたらしています。これはカルタゴに対して行って以来長く封印されていた方法です。

    勿論、勝者、敗者の考えでは普通とも思えますが、ローマ人の物語を読み続けていると周辺が気になります。このような強引な方法は周辺地域と軋轢を生みますし、このことに端を発した元老院との政治的綱引き的にはどうなのか、他の属州民はどう思うのかなどいろいろ考えてしまいました・・・・。成し遂げるのはやはり大したものだと思います。

    このこと一つとっても、「いかに巨大な帝国の運営とは臨機応変と説得力をもって為されていたのか」と感じます。

    このあたりをきちっと実行できるところが、ローマ人の時代よりすばらしき皇帝(賢帝)とよばれたトライアヌス帝なのかも知れません。また、小プリニウスとの書簡による帝国運営の断片は、生き生きとその時代の政治を伝えています。

    思慮深い、いい政治の時代だったように思えます。

    どうも、ローマ以降、人類は進歩していないように思うのですが・・・

  • 皇帝トライアヌス。領土もローマ帝国史上、最大となり、黄金の世紀と呼ばれる時代を築く。属州ベティカ(スペイン南部)出身であり、属州出身のローマ皇帝が誕生。


    属州統治については、税制、インフラ(経済政策)、地方分権がローマの統治策という。税率はあげすぎない。分権はそのバランスが難しいが、属州総督の任期後告訴の制度は面白い。元老院属州のほうでよく問題が起こったらしく、皇帝はときに暫定的措置として、元老院属州を一時的に皇帝属州にすることがあった。このとき、皇帝に任命され総督となった小プリニウス。彼とトライアヌスの往復書簡のくだり、プリンシパル=エージェンシー問題そのものって感じです。


    元老院属州と皇帝属州も、たとえば、ガバナンスの類型でいえば、中央集権か分権型、あるいは、自前で設立しコントロールが十分効く会社か、買収してあまりコントロールできていない会社かという状況にあてはめてみると、、、うーん、昔からある問題なんですね、これ。

    その統治をうまくやった皇帝とそうでない皇帝がいたわけで、永続する企業にとってもここから得られる教訓は多そうというわけで、そういう観点で読み返す日がやってこなければなりません。



    もうひとつ、人間の仕事の進め方の2分類ってのが自分のやり方もありはありと思えたので、よし。

    ミケランジェロのように、一つ、また一つと完成させては次に進むやり方。
    もう一つは、ダ・ヴィンチのように、すべてを視界内に入れながら、それらすべてを同時進行的に進めていくやり方。

    僕は完全に後者ですね。トライアヌスは前者だそうです。


    最後に、「過激化は、絶望の産物なのである。」
    この夏休みに観た緒方貞子さんのNHKスペシャルでも感じたし、少数言語を研究していた先生が言っていたことも思い出す。テロ、紛争の原因はやっぱり絶望ってのが大きい。貧困から絶望することも多い。彼らは本当に悪なのかっていう先生の問いかけが頭にまだ残っています。

  • 皇帝トライアヌスの巻。残存する資料が少ないせいか、塩野七生の文章もイマイチ勢いに欠ける。あるいは、トライアヌスが素晴らしい皇帝すぎて、イマイチ突っ込みどころがないのかも。いや、素晴らしいといっても、何が素晴らしいのか、イマイチ伝わってこない。当時の人達は、皆、称賛し、批判家のタキトゥスも「まれなる幸福な時代」としか書くことがなかったからこそ、結果的に、資料が残っていないとは、皮肉な話だ。

  • トライアヌスの巻。ローマ帝国が最大領地となった、と世界史の授業で習っていたので、ここいらでローマ帝国のターニングポイントというところでしょうか。ダキア戦役での対処の仕方なんてのは、ローマっぽくないのでちょっとずつですが王者としての驕りがあるんじゃないのか、とちょっと思いました。

  • 歴史上の事実ゆえにどうしようもないが、トライアヌスがパルティア遠征中に病にならなければ、ローマ世界
    どうなっていたのかは極めて興味深い。

  • 頑張ったトライアヌス

  • トライアヌス帝の巻。安定した治世でローマの最盛期を築いた皇帝。
    ローマの皇帝は楽ではないな、という印象。

    五賢帝という言葉は知っていても、名前は出てこなかったが、ようやく覚えた。次はテルマエ・ロマエのハドリアヌス帝。

  • トライアヌスの一生

  • 五賢帝の2人目、トライアヌス帝治世の巻。ネルヴァから皇帝の指名を受けてその座に座ったトライアヌス。属州出身として初めて皇帝についたトライアヌスは、今まで混迷していた国内外の情勢を治め、ローマ人の代名詞でもあるインフラ整備を充実させていく。カエサルやアウグストゥスのようなずば抜けた才覚はなかったが、皇帝として統治するための能力・気概は十分だった。
    その治世は20年と長く、しかしその治世があまりにも同時期のローマ人から評価されて逆にその活躍がほとんど残されていないというのが不思議。
    ピンチはチャンスとはまさにこのことではないだろうか。このあと、キリスト教との関わり方がどう影響していくのか気になるところ。

  • 読書日:2013年1月2日-8日
    title in Italiana:SAECULUM AUREUM.
    Imperator Caesar Divi Nervae Filius Nerva Traianus Optimus Augustus.
    今年初めての感想です。
    通称「Traianus」の生涯を1冊を通して描いています。
    彼が初めての属州民皇帝です。
    始めにそう書いていたのに元老院に気を配り、庶民にも良き生活を営んで欲しいと願って統治をした影響で、
    最後の頁になるまで、この事がすっかり頭から抜け落ちていました。
    賢帝である人の死以上に悲しい事はありません。
    帝国の興隆の様子はこれから目を離せません。

  • ネルヴァの後継者、トライアヌスの一生を書いている。この人、プライヴェートではほとんど「ネタ」がないらしく、伝記が一切のこっていない。スペイン属州の出身で、眷属まで地味だった。ダキア(ルーマニア)と戦い、自分で『ダキア戦記』を書いたらしいが散逸、円柱に刻まれたシーンでその展開が再構成されている。ダキアの戦後処理は敗者同化路線をとることができず、ダキアをカルパチア山脈の向こうに押しやり、新たに植民をした。その影響として現在もルーマニアはロマンス語なのである。晩年、永年の仮想敵国パルティアの首都を陥落させ、「至上の皇帝」となったが、遠征先で病になり、ハドリアヌスを後継に指定し、死亡した。首都では死者なのに凱旋式が行われた。はじめての属州出身皇帝で、ローマ帝国の最大版図を実現、公共工事に尽力、おびただしい量の建築をおこなった。フォーラムは壮大なつくりで、アウグストゥスの五倍の用地を丘を削ってつくった。橋や街道は障害物があっても、とにかく崩して進むというタイプの建築で、ドナウ河にかけた橋の規模は壮麗である。小プリニウスとの往復書簡も面白い。とにかく、がんばった皇帝で、公平な人だった。

  • ・ネルヴァ → トライアヌス → ハドリアヌス
    ・ダキア戦記(敗者と同化せず) → パルティア遠征 → 失敗、病死
    ・アポロドロス → トライアヌス橋、フォールム、ベネヴェントの凱旋門、アルカンタラの橋

  • ●内容
    ・五賢帝の2人目、トライアヌスの評伝。
    ・トライアヌスについては同時代資料がないので、考古学の成果や2次資料から評価を組み立て。

    ●コメント
    ・1次資料がないという事情から、人物像がはっきり描かれていない。他の巻だと、皇帝たちを題材に著者のリーダー感などが語られるが、ここでは一般論にとどまる。

    ・このトライアヌスの仕事ぶりと、次期皇帝のハドリアヌスの仕事ぶりを比較したコメント。
    (引用)
    人間の仕事の進め方は、大きく分けて次の2つに分類できるのではないかと思う。
    1つ、また1つと、完成させては次に進むやり方。
    すべてを視界内に入れながら、それらすべてを同時進行的に進めていくやり方。
    トライアヌスは前者、ハドリアヌスは後者。

  • このシリーズもいい。こんなトップが何代も続けば、繁栄する。しかもその間の周辺国のライバルがいないもんね。

  • 物語24冊目。

    時代はやっと五賢帝時代。
    皇帝トライアヌスが死ぬまでに行ったことが列挙されている。
    行ったことが多すぎてただただ感嘆するばかり。人物像があまり見えてこなかったが、これだけのことをこなしながら生きていくのは大変だろうなぁ。

    トライアヌス円柱についての説明は順番になっていて分かりやすかったが、全部の写真が見たかった。現地に行くしかないか。
    それにしても橋を作る技術はどうしたらそこまで発達するのかと疑問に思うほどしっかり作られていたようだ。当時生きていたら、驚くばかりであっただろう。

  • 賢帝の中の賢帝、トライアヌス帝の治世を描いた巻。
    属州出身の皇帝である。血縁ではなく実力と運、時代の要請で皇帝となり、ローマ帝国の最大版図を実現してしまった男でもある。
    著者が繰り返し引用する皇帝の役割、すなわち安全保障(外交)、国内の安定(内政)、そしてインフラ整備をパーフェクトにこなし、かつ20年にわたり健康を維持し長期政権を保ったのは確かに賢帝のと評されるだけのことはあるのだと思った。しかし、評判の良い人間ほど記録が残らないものだとすると、様々な歴史、伝承は積分するとマイナスに偏っているということだろうか。

  • 五賢帝の一人 トライアヌスの治世。ダキア戦役、そして最後にはパルティア問題、ユダヤ教徒の反乱。
    ローマ帝国を最大の版図にし、至高の皇帝と言われるが、後世に残る資料のなさが残念。同時代に生きた辛口のタキトゥスでさえ書く材料がなかったか。
    全長1キロ以上の石橋をはじめとした建築物の技術力、芸術性など、当時の技術力に圧倒される。建築家アポロドロスの凄さか。

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