- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181745
感想・レビュー・書評
-
属州出身の皇帝。堅実ですごいなぁと思う反面、少し退屈した。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
特になし。
時代的にやや退屈。 -
4-10-118174-8 290p 2006.9.1 ?
-
この上巻では、愚帝とされていた時代の後の「賢帝」とされていた時代の話。
その初期の「トライアヌス」帝の話です。 -
いわゆる「五賢帝」の2人目にして、初の属州出身の皇帝であったトライアヌスの治世を取り上げている。
ローマ帝国最大の版図を達成することとなるダキア遠征といった外征、ローマを中心とするイタリアへの投資を誘導する経済政策、数々のインフラ整備、さらには元老院や裁判への出席をはじめとする日常の統治と、およそローマ皇帝のやるべき仕事を、全ての項目にわたって真摯にこなし、そしてその成果を挙げた皇帝という印象を受けた。
本書の中で筆者も何度か述べているが、良き皇帝であろうとして、その努力を怠らなかった皇帝であり、その意味で「賢帝」という評価はもっともである。
あまりに明確な欠点がなかったがゆえに、歴史家が食指を動かさず、伝記が残っていないというのは非常に皮肉な話である。
そうであるからこそ、乏しい史料の中からトライアヌスの業績を丁寧に描き上げた筆者の仕事は、非常に有意義なものなのではないかと感じた。
同じ筆者でもカエサルの描き方とは対照的であるが、歴史家とは異なる作家という立場から描いたローマ史の魅力は、このようなところでも発揮されている。
そして、国家を統治するということが、本質的には英雄の仕事ではなく、地道、かつ誠実な仕事の積み重ねであるということを、この巻全体を通じて静かに訴えているように思った。 -
カバーの金貨について
皇帝トライアヌス(皇帝への道;気概を胸に;ひとまずの帰都;古代ローマの“君主論”;空洞化対策;育英資金;ダキア問題;第一次ダキア戦役;建築家アポロドロス;「トライアヌス橋」;黒海から紅海へ;第二次ダキア戦没;凱旋;戦後処理;公共事業;属州統治;プリニウス;私人としてのトライアヌス;パルティア問題;遠征;死)
著者:塩野七生(1937-、北区、小説家) -
自分は五賢帝の存在すら知らなかったので、トライアヌス帝の功績などは全く知らなかったのだが、これを読むとかなりよい皇帝だったのではないかと思える。
それにしてもローマ皇帝の最重要な役割が「安全保障」と「公共事業」であるという事はこれまでにも書かれていたが、ドナウ河に掛けた橋の設計図を見た時には紀元2世紀の段階でこんな建造物が作れたのかと感心してしまう。
[more]
トライアヌス帝が就任直後に低地ゲルマニアに留まり、首都ローマに中々帰還しなかったと読んだ時は、反逆者とかが首都にででこなかったのかと思ってしまうが、そう言った記録は全くないのだろうか? -
ローマ帝国の最盛期の時代、賢帝の世紀と名付けられた5人の皇帝の初めの皇帝がトライアヌスです。
さぞかし、華やかな展開が繰り広げられるのかと思いきや、この時代を書くに当たって作者の困り果てた事情が曝け出されます。それは、トライアヌスの治世についての信頼を置くに値する文献が絶無だったからです。いつも良きにつけ悪しきにつけ参考にしていた歴史家タキトウスもこの時代については「まれなる幸福な時代」という一行を書いただけでした。そのような、冒頭の「告白」があってのこの巻の内容ですから、血踊るというような場面の記述はなく、ダキア族相手の戦争にしても戦記物が残っていないため、「トライアヌス円柱」にある場面ごとの浮彫りの解説になっています。
ローマ帝国皇帝の三大責務として、1.安全保障、2.国内政治、3.社会資本の充実があるとのことですが、トライアヌスは、この3つの責務を一つ一つと着実に進めていきます。さらに、物語として読むのに楽しみな私生活にしても、トライアヌスには邪悪や堕落の一かけらも見出せない…と言わしめる存在ですから確かに伝記を書く方は困ってしまい、読む方も面白くもないのでした。そうは言っても、目いっぱい頑張って、任務途中で病に倒れた彼に作者は、属州出身者として初めてローマ帝国を治めたことをねぎらっています。 -
ローマの版図最大とするトライアヌス治世の時代。
あまり資料が残っていなくて、小プリニウスのメッセージやトライアヌス円柱が貴重な資料となっています。
彼の大事業のひとつトライアヌス橋はその後解体補強破壊研究などがありましたがドナウ川を大型船の航行に活用したいオーストリアハンガリー帝国により姿を消したそうです。
ダキア戦役での大成功そしてパルティア遠征
唯一の欠点が酒飲みということか。
最後に塩野女史
「あなたはなぜ、あゝもがんばったのですか」
トライアヌスの肖像に問いかけます。
彼女の憶測にほろっときます。