ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2007年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181813

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ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • リーダーの物の見方に左右される。独裁はその目も曇らせるのか。

  • 失政を重ねたコモドゥスは暗殺され、ローマは帝位を巡って5人の武将が争う内乱に突入した。いずれもマルクス。アウレリウスの時代に取り立てられた彼らのうち、勝ち残ったのは北アフリカ出身のセプティミウス。セヴェルス。帝位に登った彼は、軍を優遇することで安全保障体制の立て直しを図る。だがそれは、社会と軍との乖離を促すものであった。衰亡の歯車は少しずつその回転を早めていく。

  • 五賢帝後の内乱と収拾。その後のローマの衰退を予感させる。

  • この時代も転勤は頻繁だったやね。

  •  コモドゥス帝の後のセプティミウス・セヴェルス帝の話です。最期の
    「互いのことも考えて,兄弟で仲良く統治するように。兵士たちを優遇し,それが他の何よりも優先することを忘れてはならない。」
    という言葉通り,ミリタリーへの優遇による,ローマ帝国の軍事政権化に大きく舵を切った統治者だったのですが,以降のローマ史を見れば,それが「終わりの始まり」になる決断の一つだったといえると思います。

  • 哲人皇帝の息子コモデュスが暗殺されたあとのローマ内乱からそれを制したセプティミウス・セヴェルス帝まで。

    セヴェルスは東はパルティア、西はブリタニアまで遠征。ブリタニアはカレドニア完全征服を目指したのだから、すごいじいさんです(60歳超えて)。ヨークで病死したあとは、前線に出ていた息子カラカラが早々にカレドニアと講和。

  • 皇帝コモドゥスが殺され、内乱に突入する。世襲ではなく、実力で勝ち取るということは、つまりは内部で潰し合いの下剋上が始まるということ。野生の動物の世界と同じ。優秀な人材も内部の潰し合いで消されてしまい、国家にとって多くの有益な人材も減ってしまうということにもなる。何であろうと内戦を上まわる弊害なしとして、帝位の世襲を選んだ皇帝マルクス・アウレリウスの選択ももっともだ。カエサルが内戦後、消されてしまうはずの人材を可能な限り救おうとしたことも、国家を考えればプラスになるのだった。カエサル自身は、それぞれの”自分の考え”を尊重しただけだったかもしれないけど。
    皇帝セプティミウス・セヴェルスでいったん落ち着くようにみえるが、皇帝マルクス・アウレリウスと同様、結局、家庭内から崩れていくのは悲しい。結局、やっぱり世襲も続かないのだ。
    ローマ帝国が滅んでいくのが見え見えで悲しい・・・
    それにしても、皇帝争いには元奴隷の子もいたりして、実力勝負の軍隊ではどんな家柄でも出世していたところはさすがはローマ帝国だ。

  • 内乱は体力の消耗にしかならない。「決められない国会」なんていうものも,武力の行使は無いものの,停滞しているという点では内乱状態と同じである。

  • 昨年10月から随分とあいてしまったけれど、再開。北アフリカ出身のセプティミウス・セヴェルスの時代。だんだん帝国が崩壊が加速していく様子がわかる。

  • コモドゥスが暗殺され、内戦に突入した時代。哲人皇帝のもとで重用されていた5人の武将が相次いで皇帝への名乗りをあげ、ローマ人同士の戦いを繰り広げる。
    セプティミウス・セヴェルスが最終的な勝者となり治世を行うが、軍を優遇した政策を行うことで、本人の意図とは反対に、ローマの人材循環システムが破綻していく。
    ユリウス・カエサルから連綿と続いたローマ人らしいシステムが徐々に失われていく様は、今まで読んできた読者としては寂しい限り。

  • コモドゥス暗殺後の4年にわたる内戦と北アフリカ出身の軍人セプティミウスの治世を書く。コモドゥス暗殺後、解放奴隷の子から「軍団たたき上げ」で出世したペルティナクスが帝位を継ぐが、支持母体であった近衛軍団へも「公正」で通したために、暗殺され、続いてユリアヌスが帝位に即くと、もうそこからは腕力勝負になり、セプティミウス、ペシェンニウス、アルビヌスなどが皇帝をなのったが、対ゲルマン防衛線を握っていたセプティミウスがガリアのアルピヌスに共闘を申し入れ、いち早くローマに入りユリアヌスを排除し即位、ついでシリアのペシェンニウスを排除、返す刀でアルピヌスをも排除し、ライバルをすべて消してから、軍人優待政策を行った。昇給・正式結婚の許可などだが、このため、軍人でいることが快適になり、除隊後の市民への環流が弱まり、軍人集団が社会から隔離されていく。セプティミウスは最後のローマ街道や凱旋門、息子カラカラの時に完成する大浴場などのインフラ整備もしたが、今までの皇帝がしなかった故郷のレプティスの町を整備して、「故郷に錦を飾る」ことをし、温存に努めてきたパルティアの息の根を止めたりし、最後はブリタニアで陣没である。息子はカラカラとゲタだが、両方ともできが悪く、カラカラは父の右腕であった近衛隊長を口論から殺し、母の目の前で弟ゲタを殺している。

  • 読書日:2013年2月16日-18日
    title in Italiana:FINIS PRINCIPIUM.
    Septimius Severusが帝位するまでの内乱状態は丸でNero帝以降の様でした。
    そして彼が軍人にとって天国の様な法を制定したが為にだんだん軍色強い国になりつつある、帝国が少しずつ崩れて行くという印象を受けました。
    強くそう感じたのは息子のCaracallaが弟Getaを母の前で殺した所です。
    国の上に立つ者がこれではとの想いで読了しました。

  • 五賢帝の最後、マルクス・アウレリアスからコモドゥス、帝位争奪戦(内乱)を経て、セプティミウス・セヴェルスまでの約50年の物語。強大なローマ帝国に周囲の「蛮族」が攻め入ったり、皇帝の政治にチグハグ感が出始めたりと、徐々にほころびが出てくる時代である。
    「結果は悪かったとしても、当初の意図ならば立派で、善意に満ちたものであった」は、ユリウスカエサルの言葉だが、善意が必ずしもよき結果につながらないことが頻繁に起こるとともに、悪意とも言える冷徹さで実行した場合の成功例も数多くあるというのは、自分の行動基準を考え直さないといけないかもしれない。

  • 映画「グラディエーター」のモデルとなったコモドゥスが、動機の

    はっきりしない暗殺で治世に幕を引いた後、帝国は内乱時代に

    突入する。

    5人の皇帝候補が乱立するって、どっか国のどっかの政党の

    代表選か。はたまたソ連撤退後に軍閥が群雄割拠したアフガ

    ニスタンか。




    「それにしても、内戦はやはり悲劇である。犠牲になった個人にとって

    も悲劇だが、「国家」にとっても悲劇である。これさえ起こらなければ、

    ローマ帝国という「共同体」に貢献できた多くの有能な人材が、ただ単に

    敗者になったというだけで消されてしまう。なんであろうと、内戦を上まわ

    る弊害はなし、と確信して、それを避けるためには、帝位の世襲という、

    ローマ人が飲み下すのに慣れていないことまでした、マルクス・アウレリ

    ウスの悲劇が今さらのように思い起こされる。」

    内乱の後、帝位に就いたセプティミウス・セヴェルスは、前記のように

    反対者の粛清を行った。スッラとマリウスの粛清合戦、アウグストゥスによ

    るアントニウス支持グループの粛清と、これまでにも帝国には粛清の嵐は

    あった。

    しかし、それは対立候補として立った者と親しかったという理由だけでは
    粛清の対象にはされなかった。敗者さえも取り込むローマ人の「寛容」は
    どこへ行ってしまったのか。

    そしてセヴェルスがやったことはまだある。トライアヌス帝もハドリアヌス

    帝も、本国イタリアではなく属州出身の皇帝であった。セヴェルスも

    北アフリカ属州出身なのは同じだ。

    属州出身者にも元老院の議席が与えられて久しいので、属州出身者が

    本国で頭角を現すのは珍しいことではない。しかし、セヴェルスは前2者

    の属州出身皇帝がしなかった地元への利益誘導と、出身地を同じくする

    者の積極的な登用をした。

    加えて、自分を支持してくれた軍団へのお礼なのか。大幅な軍団優遇

    政策を始める。これがミリタリーとシビリアンの乖離を引き起こす。

    おまけに蜂起した訳でもないのに、パルティアに攻め込み、後々の禍の

    タネを撒く。

    後の世から見れば失政なのは明らかな政策でも、やっている本人は

    「善かれ」と思ってやった政策なのだろう。著者はそう弁護する。

    でもね、なんか違うんだ。これまでのローマ皇帝と。ローマの皇帝は

    オリエントの専制君主とは異なるはず。それなのにセヴェルス帝には

    オリエントの君主と同じような匂いがするんだよなぁ。

    軍事力を背景に、元老院を抑え込んだ皇帝は病の為に遠征先の戦場で

    世を去る。ふたりの息子を共同皇帝に指名して。

  • 11/4/29
    コモドゥス死後の内乱の時代。セヴェルス皇帝。コモドゥス死後ローマは内乱に突入するが、セヴェルスは迅速に行動し、ローマに入り、他のライバルに打ち勝つ。ここまでは有能な人に思えるが、その後はパッとしない。軍事国家化へとつながる軍団兵の待遇改善、悪影響が大きいパルティア遠征。ローマ時代最後の大きな街道が作られたのもセヴェルス時代。徐々に滅亡の足音が近づいてる感がひしひし。

  • 戦場で皇帝が死ぬ時代、で終わった。このシリーズ、だんだん初期のころの勢いに任せて読めるような躍動感ある読書ではなくて、淡々とこなす読書になりつつある。

  • コモドゥス殺害後の帝位争いの話。解放奴隷からのたたき上げのぺルティナクスが皇帝に任ぜられるも「急に権力者になった者のとるべき権力基盤の補強措置」を怠ったために殺害されてしまう。その後3人の属州総督による争奪戦が始まり、「非ローマ的な皇帝」とまで後に呼ばれたセヴェルスがそれを制す。
    ここからローマ帝国の凋落が始まるが、その原因を作者は矜持という言葉で端的に表している。
    「死ねば誰でも同じだが、死ぬまでは同じではない、という矜持をもってローマを背負った、リーダー達の時代は終わったのである」。歴史を作る人の持つべき価値観・美学の中でも、古今東西変わらない普遍的なものの一つだろう。

  • メモ:内乱の時代。皇帝センプティミウス・セヴェルス。軍人皇帝。軍人の給料を上げる。実力主義。軍団兵の婚姻許可。軍団生活が居心地が良くなりすぎ、結果として軍事関係者のローマ社会からの孤立化と軍事政権化を招く。東征。ブリタニア。戦線で死。

  • いよいよ、カラカラ帝が登場した。

  • コモドゥスから内乱期を経てセヴェルスに至るまでの物語。安心安定な五賢帝の時代に慣れてしまったローマ市民は、自らの意思でリーダーを選ぶことが出来なくなり、終わりへと坂を下っていく。
    確かにここに登場する皇帝は、カエサルやアウグストゥスに比べれば平凡な人間達だが、ローマの終わりの始まりは決して彼たちだけの責に帰すものではない。作り上げたものの維持は作り上げる以上に大変、また、作り上げたものは何時か消えて無くなる運命を持つのか、考えさせられる。

  • コモドゥス死後の内乱からセヴェルスの治世まで。
    転がり落ちるようだ。磐石ではないのだなあ。
    この巻ではまだ崩壊の予告に留まっているが、次巻以降これが加速し現に滅びていくのだと思うと、楽しみな反面憂鬱でもある。
    予備知識としてはコンスタンチノープル遷都や、キリスト教の公認→国教化くらいしかもっていない時代だが、そのあたりについて詳述されるであろうことにも期待。

  • 2007年8月頃読了

  • 五賢帝の時代がおわり、その次に訪れた内乱を収めたのが、セルヴェ ルス帝。ここから武断政治が始まるという。
    これをもって終わりの始まりと呼ぶ。

    著者は、セルヴェルスによる軍人福祉優遇策の導入についてこう述べている。
    「善意が必ずしもよき結果につながらないという、古今東西いやというほど見出すことができる人間社会の真実の例証であるとおもう。」

    これも自らに通じる戒めである。

  • 2009/06/13 購入
    2009/06/21 読了 ★★★
    2016/05/28 読了

  •  本書で語られるのは、五賢帝時代の掉尾を飾り哲人皇帝として名高いマルクス・アウレリウスから、セプティミウス・セヴェルスまでの治世です(紀元2世紀末から3世紀初)。タイトルのとおり、いよいよローマの衰亡が描かれていくことになります。
     ギボンの『ローマ帝国衰亡史』を初め、ローマ帝国の衰亡は五賢帝時代の終焉とともに始まったとする史観がこれまで主流でしたが、本書ではこれに異を唱えています。ローマが絶頂を極め、後世の評価も高いマルクス・アウレリウス帝の政治を、第IX巻で扱ったハドリアヌス帝やピウス帝、さらにはユリウス・カエサルとも対比させ新たな視点で検証すると、ローマ衰退への道は既に敷かれ始めていたということが明らかになるのです。
     指導者である皇帝たちの資質の変化や、国内の階層間の対立、そして帝国を外から脅かす異民族の存在など、さまざまな要因が作用して、帝国はゆっくりと没落への階段を降りていきます。ついには、マルクスは戦地で没し、その息子コモドゥス帝は怠惰に陥り暗殺され、続く時代では帝国を守ってきた将軍たちが割拠して帝位を争うという、「黄金の世紀」では考えられなかった混乱へと突入していきます。
     永遠に続くと思われた右肩上がりの時代を終え、新たな時代へと踏み入ったローマ帝国。その指導者たちの迷いと奮闘ぶりから浮かび上がってくるのは、「矜持」を中心に据えた新しい指導者論です。同じように混迷と不安に覆われている現代の日本にとっても、彼らの生き方から学ぶことは多いに違いありません。
     「ローマ人の物語」全15巻を時代ごとに三つに区切ると(ローマ建国からユリウス・カエサルまでの「第一期」、アウグストゥスによる帝政開始から帝国の絶頂期までが「第二期」)、この巻は「第三期」の始まりと言うことができます。第一期や第二期のローマ帝国を常に視野に入れて叙述される本書は、「ローマ人の物語」の導入篇としてもふさわしい内容であると思われます。

    マルクス・アウレリウスの善政ぶりでも、復活しないローマ。
    前任だけでは、世の中が回らないかと思ってしまうないようです。
    才能がないとしりながらも、コモディウスを肯定にしなければならなかった現実。
    現代にも適用できる問題山盛りです。

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