ローマ人の物語 (31) 終わりの始まり(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181813

感想・レビュー・書評

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  • 軍人皇帝セベェルスの巻。
    ニゲル、アルビヌスというライバルとの対決を制して皇帝になるが、内乱は国を細らせる。敵対した者にも厳しい対応をして人材も不足していく。そしてセベェルスが大事にしてきた家族も、皇帝の息子たちとして我を強くだしてきて悍ましい兄弟喧嘩に。
    カラカラはどこまで増上慢になっていくのか。

  • 終わりの始まり、というタイトルがしっくりくるドヨンとした読後。何だかもの悲しさが漂う。ローマの未来は完全に暗雲の中。
    カラカラ帝。カラカラ浴場でしか知らなかったが、この先を読むことがしんどくなりそうな始まりの終わりだった。
    改めて、カエサル、アウグストゥスの凄さを実感する。
    塩野さんの文章や構成は満点なのだが、ローマのことを考えると評価は3つという結果。

  • 2022/01/11 木の本棚より 歴史 @図書館 ◇塩野七生

  • 統治に興味がないのに帝位に居座って、無為無策の限りを尽くしたコモデゥスが暗殺され、次に帝位についたのがペルティナクス。
    彼は、年齢が高かったこともあり、次の皇帝までの中継ぎと自覚していた。
    その上でコモデゥスの治世中に乱れた世の中を立て直すために、各方面に活躍をした…のだが、彼を一番に推してくれた近衛軍団の長官・レトーに対して美味しいポストを用意するのを後回しにしたため、たった3ヶ月で彼の手の者に暗殺される。

    レトーが次に白羽の矢を立てたのはディディウス・ユリアヌス。
    しかし、彼がなるくらいなら、と、待ったをかけたのが3人で、ディディウス・ユリアヌスを暗殺した後、ローマ帝国は内乱の時代に入る。
    最終的に年齢的に若くてやる気に燃えていたセプティミウス・セヴェルスが皇帝となったのだが、ローマらしいローマ皇帝を目指す彼の政策が、後々ローマ帝国の衰亡を加速させることになった…らしい。

    つくづく思うのが、当たり前のようにローマ帝国の礎を築いたカエサルとアウグストゥスはすごかったな、ということ。
    自分の行動にどういう意味があるか、人はこうされるとどう動くのか、組織とは、経済とは、国防とは、内政とは…。
    特に練りに練ったようにも見えなかったけれど、実はものすごくしっかりとした基礎だった。
    というのも彼らは、皇帝という存在が自分のためにあるとは思っていなかったから。
    権力を持つ者こそが自己を抑えなければならないことを熟知していたから。

    ペルティナクスはそれができたかもしれない。
    自分を中継ぎと認識していた彼ならば。
    けれど、飴と鞭ではないけれど、ある程度「推してよかった」と思わせることは必要だったんだなあ。

    その後に乱立した皇帝候補たちは、多分ペルティナクスの覚悟を持っていなかった。
    皇帝として何をなすべきか、ではなく、自分のために何をしようか、が強かったのではないか。
    自分から皇帝に手を挙げるということは、そういうことなのではないか。

    歴史に「もし」はないけれど、ペルティナクスが統治していたら、ローマ帝国はもう少し長く続いたのかもしれない。

  • 仮想敵国パルティアとの関係が興味深かった。例えは変だけど、アンパンマンとバイキンマンみたいな。お互い落としどころはわかってる、お互いに息の根を止めてはダメみたいな。それを破ってしまうとは…。カラカラと聞くと大浴場というワードしか頭に浮かばないけど、いくら憎しと言えど、家族の肖像から弟の顔を削るとかって…暗っ!

  • [評価]
    ★★★☆☆ 星3つ

    [感想]
    コモドゥス暗殺後の時代
    この時代は内乱期だが皇帝となったセヴェルスが他の候補者を順番に排除し、ローマ帝国の統治を開始した。
    無難に統治することができているとは思うが、皇帝が前線で死ぬようになると少し前とは時代が変わったと感じる。

  • 残念な内乱のお話し。

  • 何だか良い皇帝の実子が皇帝になるとダメな皇帝になるような気がする。

  • このシリーズの長さが奇しくも物語るのかもですが、長すぎるってのはやはりダメなんですかね。作家もこの巻、何かノリが悪い感じもする。
    しかし終始権力者のお話、こういうお話が好きな一定層には堪らんのですかねぇ。

  • 皇帝コモドゥスの暗殺後、首謀者であるレトーはペルティナクスを皇帝に推挙する。皇帝に就任したペルティナクスは、しかし、レトーの処遇を誤り、殺害される。
    その後、ディディウス・ユリアヌスがレトーにより皇帝に推挙されるが、セプティミウス・セルヴィスも皇帝に名乗りをあげる。その他、アルビヌス、ニゲルの2名も同時に皇帝に名乗りを挙げ、ローマは内乱の様相を呈する。
    彼らはそれぞれ帝国の防衛を担う各方面の軍団長だったが、セルヴィスがアルビヌスと同盟し、ローマを急襲。元老院に認められていたユリアヌスを撃破。その後、ニゲルを東方にて撃破し、同盟相手のアルビヌスをも撃破。セルヴィスが皇帝位を獲得する。
    セルヴィスは、軍の待遇改善を実施するが、これが軍の権力を高めることになる。また、パルティアを攻め、パルティアの深くまでに攻め込み、パルティアを弱体化する。
    治世の最後半には、ブリタニアの攻略に取り組むが、病に倒れ、前線で死去する。
    皇帝位は、息子のカラカラに引き継がれるが、ローマの衰退は加速していく。

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