ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)

  • 609人登録
  • 3.94評価
    • (48)
    • (78)
    • (47)
    • (3)
    • (2)
  • 48レビュー
著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2010年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181882

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 今まで経験していないことでも、責任感と成功した高揚感が原動力となる。「責任感」はキーワード、これがない人とは一緒に仕事をしたくないな。

  • 【内容】
    コンスタンティヌス大帝の後、皇帝コンスタンティウスについて描いた一冊。
    大帝亡き後、大帝の息子3人と甥2人で統治するようにとの遺言があったものの、まずは甥が排除され、その後、兄弟たちも、直接コンスタンティウスが手を下したわけではないものの、次々といなくなり、最終的にはコンスタンティウスが一人で、ローマを統治することになっていく。
    コンスタンティウスは父親と同様に、キリスト教を奨励し、他の宗教を排除する方向にもっていく、これにより、ローマのキリスト教化が進み、ローマらしさが消え去っていく。
    【得たもの?やってみること】
    ・特になし
    【感想】
    ローマ人の物語もいよいよ終盤になってきて、キリスト教にローマは占領されてしまう。
    はじめは統治者の手段として、キリスト教が導入されたのに、そのうちキリスト教が主役をとってしまうようになるのは、宗教の力(価値観)は大きいのだろう。
    ローマが滅んで、現在に至るまで、この時にキリスト教を導入したことが、歴史に連なっている。この時に別の選択がなされいればどうなったのだろう。
    また、ローマでも最初はキリスト教を弾圧していた。日本でもキリスト教を弾圧した時期があったが、統治者にとっては、キリスト教の考えは危険な思想に見えるのは、東西で共通しているところが面白い。

  • 見事!ユリアヌスの立て直し。

  • 自分に自信を持つ人だけが、他者に対しても公正になれるのである。

    名言だらけの一冊。いよいよキリスト教を容認したコンスタンティヌス・コンスタンティウス父子の時代へ。身内を皇帝として擁立させるための言い訳として、「神が選んだから」という理由が必要になる。また、庶民と違う「神」として、皇帝は一部の取り巻き以外と容易に口をきかなくなる。そして、疑わしき者の粛清による、ゆるぎない皇帝の地位確立。どこかの国に似ているような…。いつの時代も、社会が不安にさらされている時は、強いリーダーが求められる。さらにスピリチュアルな方向に民衆が進む。この時は蛮族の侵入により、世界最強のローマ帝国に穴が開き始めた時期。強いリーダー+スピリチュアルの結果が、神に選ばれた皇帝の誕生であったのではないか。それにしても、ローマ帝国崩壊のきっかけの一端を担い、さらには暗黒の中世を築き上げたにも関わらず、今でも尚キリスト教は世界の大多数から支持される宗教であることを不思議に思った。

  • 紀元337年、大帝コンステンティヌスがついに没する。死後は帝国を五分し、三人の息子と二人の甥に分割統治させると公表していた。だがすぐさま甥たちが粛清され、息子たちも内戦に突入する。最後に一人残り、大帝のキリスト教振興の意思を引き継いだのは、二男コンスタンティウス。そして副帝として登場したのが、後に背教者と呼ばれる、ユリアヌスであった。

  •  コンスタンティヌス大帝の後からユリアヌス帝が副帝になるまでの話です。コンスタンティヌス帝といい,その前のディオクレティアヌス帝といい,後継者人事は難しいという印象を持ちながら読み進めていました。特に,4世紀のローマのように,下り坂を降りる一方だったローマであればなおのこと。
     本質的に内気で感情を表に出さなかったコンスタンティウス帝がただひとりの正帝になった後に,若さとともに,周りに希望をもたらすユリアヌスが出てくることで,ローマの末期を扱う塩野さんの記述も明るさが戻ってくるように感じました。スキピオ・アフリカヌスにも使った「セレーノ」という言葉が好きな塩野さんですが,ユリアヌスにも「セレーノ」なところがあると思いながら読み進めていました。
     次巻の主人公はその「ユリアヌス」です。

  • コンスタンティウス帝、最悪な性格だ。責任を負うことができない人間がトップになり、しかもその周りに要らぬことをいう人間がうじゃうじゃいたら、もう収拾がつかないだろうな。
    そんな中、ユリアヌスは全く立派だ。こういう若者が、ちゃんと皇帝として全うできたら、ローマ帝国復活もあり得たのではないか。
    なんだか嫌な感じの終わり方をした上巻だが、ユリアヌスはどうなってしまうのだろうか・・・

  • 大帝と呼ばれたコンスタンティヌス没後の分割統治から粛清、統合ののち次男コンスタンティウスが父の遺志を引き継ぐ。後に背教者と呼ばれるユリアヌスが副帝として登場するまでを描く。ローソクが燃え尽きる前にその炎が勢いを増すような、そんな波動を感じてしまう。

  • 大帝コンスタンティヌスが亡くなり、その息子と甥達が帝国を5分割して統治し始める。しかし、その5分割も主人公たちが1人また1人と消えていくことで結局次男のコンスタンティウスがすべてを統治するようになる。
    この血族同士の内戦でさらにローマは国内の優秀な人材を失い、またローマらしさをも失っていく。
    そんな中、蛮族の侵攻を防ぐため期せずして引き立てられたユリアヌスがガリアの地で力をつけていく。
    今までのローマ人の力・知恵が失われていく様は読んでいて悲しくなる。政治と宗教が結びついてさらに泥沼から抜け出せなくなっていくローマ。そんな中でユリアヌスがどのような人生を送るのかは気になるところ。

  • 久々にローマ的なものを取り戻してくれた感じのユリアヌスに好印象を持ちました。

  • 読書日:2013年4月16日-18日
    title in Italiana: DE CHRISTI VICTORIA. -RES GESTAE POPULI ROMANI-
    塩野さんは章毎の小さいtitleをつけるのが旨いと思います。
    大帝の死後に帝国は三息子に各々分割されました。
    これで漸く落ち着くと思いきや小titleに「一人目退場」と書かれていて思わず吹いてしまいました。
    一体何をしたのかこの兄弟は!!!と気付いたら年の離れた従弟のJulianusまで読んでいました。
    彼がCaesarになった時の様子が面白くもあり、微笑ましくもありました。
    皇子にも関わらず幽閉生活が長かった為に政治にも軍事にも縁がなく、好きな哲学を存分に学んでいた彼は24歳の誕生日にCaesarに即位しました。
    未経験にも関わらずGaliaを再建した手腕と性格は血以上に、彼本来の力だと感じました。
    これからの成長が楽しみです。

  • コンスタンスティヌスの後、権力を握ったコンスタンティウスの時代を書いている。コンスタンティヌスは帝国を五人の親族に分割統治するように遺言したが、コンスタンティウスは葬儀にあつまった親族を粛正し、実の子だけで帝国を三分割した。その後、長男が三男と戦い、部下が逃げて敗死、三男も部下にボイコットされ死ぬ。東方でペルシャと戦っていたコンスタンティウスだけが残った。こうしてコンスタンティウスが皇帝となったが、その治世は宦官を重用したものでオリエント的色彩の強いものであった。一方、粛正を生き延びたガルスとユリアヌスの兄弟は、司教の監視下で成長する。ガルスは副帝となったが、東方の安定に失敗し、宦官に拷問され死亡する。その後、コンスティウスは帝国の西方でたった蛮族出身の将軍、マグネンティウスと戦うことになるが、この戦いは激戦で多くの兵を失い、帝国防衛力が決定的に低下した。その後、西方の安定にはユリアヌスが派遣されるが、哲学の徒を自称するユリアヌスは案外、戦場でも勇敢で寡兵を率いて、ストラスブール攻略に成功し、なんとかガリアを再興する。はじめは司令官を軟弱だと見ていた軍団も英雄視するようになり、とうとう軍団に皇帝に推される。コンスタンティウスのペルシャ戦争にともない、軍団から精鋭を裂いて送るように命令され、とうとう決起する。速攻でコンスタンティノポリスに移動する。ペルシアから取って返したコンスタンティウスは軍旅の途中で病死、キリスト教を強力に振興し、司教の免税特権などを強化した。

  • 学校の授業では精々「ミラノ勅令」を出し、キリスト教を認めたことと、首都をローマからコンスタンティノープルに移したくらいしか知らなかったコンスタンティヌスが主役です。
    キリスト教を保護したことから、、大帝や名君と呼ばれることが多いけれど、先妻との子クリスプスの殺害や、その殺害にも関わってくる宦官の重用など評価が難しい皇帝だと感じました。
    また、それまで筆者が「ローマの特徴」としてあげてきたものの転換という意味でも、まさにここから中世ヨーロッパが始まったんだなぁ・・・。

  • 2012/07/28 購入
    2012/08/01 読了

  • コンスタンティヌスの子、コンスタンティウスの治世が中心。著者はキリスト教の台頭にも、コンスタンティウスにもどこか冷めている調子である。しかし、心躍る主人公が久々に登場する。20代まで幽閉生活を送っていたユリアヌスだ。副帝として、西方を任された彼は、ガリアの再興を成し遂げる。
    ”陰謀渦巻く中では、意外にも正面突破の方が効果がある”
    ”責任感と高揚感のカクテルが彼を酔わせた”
    著者の筆が躍るのを見ると、こちらもわくわくしてくる。次巻に早く向かおう(このような展開は久しぶりでは無かろうか)。

  • 自分をまもるためにはキリスト教の力に頼るしかなかったんだよねえ。これもまたトップの選択。

  • ユリアヌスかっちよえ~♪

  • 偉大な父を持った息子が何とか父のようになりたいと願って努力してみたものの中々上手くはいかなかったという感じでしょうか。
    コンスタンティウスは父親以上にキリスト教の振興に力をいれますが、その理由が今ひとつよく分からない。父親はあくまで支配の道具としてキリスト教を振興したわけですが、息子の方は純粋にキリスト教へのシンパンシーをより強く持っていたということでしょうか。
    それにしてもユリアヌスはよく殺されずに生き残れたなあ、とホッとしました(笑)。
    キリスト教社会からは背教者と言われ悪名高いユリアヌスの活躍(?)を楽しみに中巻に進みたいと思います。

  • 「ミラノ勅令」によりキリスト教を公認し、絶対専制君主制を確立し、

    首都ローマをないがしろにして、コンスタンティノポリスに新都を

    建設したコンスタンティヌス帝は25年の治世の後、ペルシア戦役へ

    赴く途上で病没する。

    死の2年前、コンスタンティヌス帝は自分亡きあとの帝国の統治を実子
    である3兄弟と甥ふたりの、5人で統治するよう分担地域を決めていた。

    自分が帝位に就いたのは4頭政が原因の内乱を勝ち抜いたからだった。
    この内乱の芽を摘む為のシステムだったが、見事に裏目に出る。

    そりゃそうだよな。4人でも上手くいかなかったのに、ひとり増えてるのだ
    ものな。しかも全員、肉親。骨肉の争いのほうが、血腥くなるものだ。

    まずはコンスタンティヌス帝の葬儀の際に甥ふたりが殺害され、次は
    長男と三男の争い。長男を倒した三男は、配下の将兵に反乱を起こされる。

    たったひとりの最高権力者になったのは、次男のコンスタンティウス。
    しかし、元来小心者で疑い深いコンスタンティウスは、自分の右腕になった
    であろう人々を、次々と粛清して行く。

    そして、最後に副帝として登場するのがユリアヌスである。キリスト教史観
    では「背教者」と呼ばれる人であるが、ローマが既にローマでなくなった
    この時代の「最後のローマ人」なんだよな。




    6歳で父を失い、20歳まではほぼ幽閉生活。兄のガルスがコンスタン

    ティウス帝の副帝になってからは多少の自由は認められたものの、

    軍務にも政務にも無縁な哲学を学ぶ学究の徒の生活だったユリアヌス。

    副帝であったガルスがコンスタンティウスにより、謀反を企てたという

    ありもしない罪で殺害されてのち、唯一残った皇帝の肉親として副帝

    となる。

    そんなユリアヌスにコンスタンティヌスが与えた任務は、既に防衛線さえ
    ずたずたになったガリア地方の再興だった。なんとこれが上手くいって
    しまう。軍装姿で兵士たちの前に初登場した時には、その似合わなさに
    兵士たちは笑いをこられるのに必死だったと言うのに。

    「プラトンとアリストテレスの弟子を自認しているわたしに、今やっている
    以外のことができると思うかね。わたしに託された不幸な人々を、見捨てる
    ことなんてできると思う?彼らに幸せな日常を保証するのは、今ではわたし
    の責務なんだ。わたしがここにいるのは、それをやるためなんだ。(後略)」

    軍事でも政務でも相談役でもあったサルスティウスの転出等、皇帝からの
    嫌がらせを受けながらも、ユリアヌスは強烈な責任感でガリアを再興する。

    ガリアには、150年振りにローマの誇った安全保障が復活する。そして、
    ユリアヌスにはこの先、新たなる孤独な闘いが待っているのだ。

  • キリスト教が蔓延してくる頃

  • イタリア、ローマなどを舞台とした作品です。

  • 11/5/8
    正帝コンスタンティウスと副帝ユリアヌス。ライバルを殺したり、兄弟を失ったりして再び1人だけの正帝となるコンスタンティウス。宦官を侍らせ、キリスト教を振興する。親、兄弟を殺されながら副帝になり蛮族を征伐しガリアを再興するユリアヌスがかっこいい。

  • コンスタンティヌスの後を継いだ5人の後継者のうち、最後まで残ったコンスタンティウスは何とも、思慮は深いのだろうが、煮え切らない性格であまり好きになれない。そのコンスタンティウスの命を受けて副帝となったユリアヌスだが、それまでは哲学を学ぶ青年という感であったものが、ガリアに赴き、経験を積むことで成長していく姿は見ていて頼もしい。
    本書で書かれているとおり、人間というのは社会的な動物であり、自分が必要とされている人間であるという自覚によって、より大きな仕事が出来るのだろうと思う。ただし、それは本人の素直さや優しさなどの条件が必要なのではないか。著者の文体で描かれるユリアヌスを見ているとそんな人柄が伺える。

  • 大帝コンスタンティヌスの死後、帝国は彼の3人の息子と2人の甥に分割統治されることになりますが粛清や内戦の末、結局次男のコンスタンティウス一人が残ります。
    どんなに上手くやったつもりでも、手綱を握る人がいないと分割統治とは上手くいかないものだと思いました。

    内戦で弱体化した帝国に進入する蛮族。
    蛮族進入による土地の荒廃化で生産性が落ち逼迫する財政。
    コンスタンティウスの政策によりますます台頭するキリスト教。
    肥大化した宮廷の中で暗躍する去勢者。
    もはや衰退の一途をたどり嘗てのローマには戻らないと思える状況の中では、最後のほうのユリアヌスの活躍が希望に見えます。

全48件中 1 - 25件を表示

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)に関連するまとめ

塩野七生の作品一覧

塩野七生の作品ランキング・新刊情報

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする