- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181929
感想・レビュー・書評
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アッティラ、ゲンセリック、オドアケルと5世紀蛮族の有名人が勢揃い。華やかで魅力あふれるローマ帝国の衰退ぶりに悲哀を感じ、本当にローマは終わるんだとまじまじと思った。フン族のアッティラの破壊ぶりは、後年のモンゴルによるオアシス都市バーミヤンの徹底破壊を思い出さされた。
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壮大なローマ帝国の歴史がいよいよ幕を閉じる時。
読んでいる間中何度も、これまでのローマ帝国の栄華や華麗な登場人物を思い返した。
スキピオ、カエサル、アウグストゥス、トライアヌス…彼らが繋いできたバトンが途絶え、ローマがローマでなくなる時。
これまで長く読んできたからこそ、それを目の当たりにするのは辛かった。
現実を直視せず利己的な為政者、政治に無関心な有権者が国の退廃をもたらすのだと感じる。
それは、古代ローマに限った話でなく、現代にも通ずる。
皮肉なことに、国の繁栄が国民に安寧をもたらし、それが国民に自国の安泰を過信させる。その結果、政治の退廃、国力の低下へと繋がっていく。 -
ついにローマ帝国が終焉を迎える。といっても、劇的なエンディングがあるわけではなく、川面に浮かぶ泡が溶けてなくなるように。あと1冊、きっちり看取ろう。歴史を通読することで、現代に活きる『何か』を掴めるかもしれない。
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ローマ滅亡時のアッティラ侵攻をきっかけに、人々が逃げ込んだ干潟が後のヴェネツィアへ繋がっていくっていう流れ、好きです。
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1回目の「ローマ劫掠」から紀元476年の西ローマ帝国滅亡までの物語です。坂を転がり落ちていたローマも,フン族のアッティラなどの度重なる侵入を受け,「消え失せる」ときを迎えます。侵入という外的な要因だけではなく,坂を転がっている5世紀に入っても,内乱などの内的要因で,転がり落ちるスピードを増している様子を読んでいると,混乱の衰亡の時期とは,指揮系統や戦略がはっきりせず,外的要因と内的要員の双方から「消え失せる」ところまで,坂を下っていったというようにも思います。ローマという国家に限らずとも,多くの場面で見られることなのかもしれません。
塩野さんが15年をかけて出版され,執筆はそれよりも長い時間をかけられた「ローマ人の物語」ですが,その中でも,西ローマ帝国の滅亡という重要な場面の描写は,冷静な叙述になっていて,とても塩野さんらしい場面だと思います。 -
ローマ帝国が遂に滅んでしまった。誰一人気づかないうちに…
それにしても、ローマの危機というのに、それなりにローマを守ってきたアエティウスが無能な皇帝にキレられて、殺されてしまうというのはどういうことだろう…そもそもその前に、有能な武将の二人を争わせて一方を殺させるなんて、自滅ではないか。
東ローマ帝国と西ローマ帝国の違いは、対処する人が腰を落ち着かせて対処 できたこと、というのも、なんだかタッチの差というか、運命というか。
また、どちらも、分かれ道となる重要な時期を女が支配していたというのも興味深い。
東ローマ帝国の実力者だった、皇帝の姉のプルケリアが、それなりに上手く対処し、しかも、弟の皇帝が死んだあとは、自分の権力の障害にならない無能な男を選んだのではなく、それなりの男を選んで、自分の夫として、神意による正統性を裏付けて皇帝にしたのだからなかなかだ。
唯一の条件が、自分は神に貞潔の誓いをした身だから寝床を共にすることはできない、というのは、ちょっと笑った。
しかし、全般的キリスト教の雰囲気がして、その派閥の争いも絡んでいたりして、なんだかやはり、もはやローマという感じがしないなぁ…