ローマ亡き後の地中海世界2: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2014年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181950

ローマ亡き後の地中海世界2: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 北アフリカを拠点とするサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、拉致された人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も組織された。
    イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙が上がり始めた・・・。
    (本著裏表紙あらすじより)

    暗黒時代の地中海。
    その暗黒時代からの脱却という意味もあるルネッサンス。
    でも片や文明復古を謳歌しつつあるところもあれば、同時代にイスラムの海賊に拉致され、奴隷として酷使された人々もいた、というのには少々驚きました。
    歴史とはそういうものなのでしょうね。
    このイスラムに海賊は18世紀まで厳然として存在していた、というのだから驚きです。

    十字軍とは別の国境なき救助団体。
    修道会や騎士団による救出団体ですが、戦う訳ではなく寄付で身代金を集め、それを支払うことで救助していた、というのは何だか今の時代にも似たようなことが思い起こされ複雑な心境になりました。

    次はいよいよトルコ侵攻とヴェネツィアの躍進、のはず(笑)
    楽しみです♪

  • 読了。

    ローマ亡き後の地中海世界 2 海賊、そして海軍 / 塩野七生

    もちろん1の続きでローマ亡き後地中海世界がどうなってたから、相変わらずイスラム海賊ですね。10世紀ころからのまとめです。

    シチリアはノルマン人登場でキリスト教の手になり王国化

    ピサ、ジェノヴァ、アマルフィ、ヴェネツィア等の海洋都市国家化

    海賊には海軍で!みたいな感じでピサ、アマルフィ、ジェノバが合同海軍を用意しだす。ヴェネツィアは独自路線。(海の都の物語はこの時期っすね)

    十字軍の時代、十字軍やってても地中海は海賊ですよと。

    ヨーロッパ諸国の沿岸で海賊により拉致され奴隷になったキリスト教を救出する組織
    救出修道会と救出騎士団のお話
    慈悲の心はすごいですね。

    黒人奴隷がどうのという前にイスラム海賊とイスラム地域によるキリスト教奴隷商売があったということですね。奴隷の歴史は長いですねぇ。もちろんイスラムの前にもあったでしょうが。それがもうビジネス化してるんだから止まらないですわね。

    ルネッサンス時期もその周辺では海賊と奴隷で苦しむ人がいたってこってす。おいたわしや...。

    ということで面白かったです。

    次の目次見るにバラバラな国が大国化するようなのでイベリア半島からイスラム追い出されるのかねぇ。

  •  ローマ亡き直後の世界から,十字軍前後の時代に時期を移した地中海世界の話になっています。イタリアで勢力を伸ばしてきた海洋都市国家が,北アフリカからの海賊に対抗するためにどのような政策を採ってきたのか,また,北アフリカとの貿易を維持するためにどのようなことをしたのかが話題の中心になっています。
     十字軍は地中海の西と東の話とのことで,この作品の中では簡単に触れられているだけでしたが,読んで行くと,次に「十字軍物語」を書きますよというようなヒントが垣間見られて,「何で作品が発表されるまで気がつかなかったんだろう?」と再読することで思ったりもしました。
     北側もやられるだけでは終わっていないという時代の話です。

     とはいえ,時代が変わり,1492年を迎えます。「あの街をください」といったマホメッド二世がコンスタンティノープルを征服したことで,地中海を挟んだ海賊や海軍の争いは,北と南の争いから,西と東の争いに構図が変わってきます。

  • イスラム勢に蹂躙されていた地中海沿岸の各都市のうち、海洋都市国家の幾つかが力を付け出し、対抗をして行く。
    それにしてもローマ法王、ビザンチン帝国の無力なこと。軍を持たない宗教と沈みつつある国家ではイスラムの勢いに勝てないとは理解できつつ、もう少し何か打つ手はあったのではなかろうか、と思ってしまう。
    彼らの無力を読んだ後で登場する救出修道会と救出騎士団の活躍は際立って見えます。

  • 10世紀から15世紀くらいまでを描いている。相も変わらずイタリアを襲い続ける海賊と、それに対抗し始めるイタリア諸国を追っていく。こうもサラセンの海賊の襲撃が続くイタリアでは、ローマ時代には「海に沿う町は「地の利を得ている」とされていたのだが、中世ではそれが「不利」に変わっていたのである」(p.22f)。シチリア島を支配したイスラム勢力は、そのすぐ対岸にあるイタリア本土のレッジョを948年に征服。教会のいくつかはモスクに改造され、イタリア本土にモスクが現れる。南イタリアの公式上の支配者であったビザンチン帝国は963年に重い腰を上げてサラセン軍と戦うが、見事に完敗。神聖ローマ帝国のオットー2世もまた、982年、サラセン軍に完敗して逃げ帰る(p.27-33)。

    こうした状況は10世紀になって微妙に変わり始める。サラセンの海賊と戦う主体はイタリア人自身が主体になっていく。それも、海軍主体となる。イタリア人はそもそも、海上での戦いがサラセンよりも得意だ。それは戦闘力というより、船の操縦能力に優れていた(p.37,96f)。その延長線上にノルマン人による南イタリア、シチリア島の征服がある。1017年の南イタリアのプーリア地方からビザンチン勢力とイスラム勢力を追い出し始め、それは1086年のシラクサの陥落に至る。この短い間で、しかも少ない勢力だったノルマン人が征服できたのはとても意外だ。その理由としては、イスラム勢力内に新旧イスラム勢力の内輪もめがあったこと、南イタリアやシチリア島にキリスト教とが多く残っていて征服に参加したこと、そしてピサとジェノバの海軍力の助けを得たことが指摘されている(p.48-50)。

    このノルマン人が征服したシチリア島が迎えた平和が興味深い。イスラム勢力下ではキリスト教徒は存在を許されていたが、二級市民扱いで重税を課されていた。ノルマン人の元でのシチリア島では、イスラム教徒もキリスト教徒も完全に平等。それはノルマン人自体がこれら宗教の違いにさほどこだわりを持たなかったからだ。宗教の異なるものたちが、平和に共存できたこの時代のシチリアはまさに奇跡的であった(p.50-56)。それは、これもまたキリスト教信仰心はさほどでもなかったフリードリヒ2世を経て、フランスのシャルル・アンジュー、スペインのアラゴン家が支配する時代になると変わり始める。彼らの支配下でシチリア島はキリスト教の純化が進むことになる。シチリア島との関係を失ったイスラム勢力は、再び海賊としてシチリア島を襲撃に訪れることになる(p.102f)。

    この時代には、聖都奪還という壮大な目標を掲げた十字軍の時代だ。それに引き替え、海賊に拉致されて北アフリカで過酷な奴隷生活を送っている一般のキリスト教徒にはあまり目が向けられなかった。例外は1270年、第8回の十字軍だ。そこで、救出修道会と救出騎士団という、二つの国際的な任意団体が北アフリカのキリスト教奴隷の解放に尽力したとして取り上げられる(p.143-145)。この二つの団体は1200年を挟んで相次いで設立された。それぞれ、何回にもわたって大きな成果を上げている。特に騎士団の方は資料も多いらしく、詳細に書かれている。この騎士団は国家による支援もなく、557年間にわたって活動したというから驚きだ(p.220)。しかし、1480年頃には彼らの活動に不評が溢れるようになる。それは、金銀と交換に奴隷を解放させたため、身代金稼ぎの海賊が逆に増えたこと、そして身代金でイスラム世界が豊かになったことが理由だった(p.216f)。

    本巻でもサラセンの海賊に対するキリスト教徒側の反応を主に見ていて、特に名も無き庶民が多く奴隷化されたことへの権力者の無視、そして救出団体という草の根の運動を取り上げている。その時代に生きた人への視点としてとても面白い。

  • 相変わらず塩野七生の本は面白い。海賊ってこういうものだったんだ。。。キリスト教とイスラム教の戦いがよくわかる。結局、これが今でも続いていということに納得。

  • コアなイスラム教徒の勢力爆発と、イスラム教徒でよいという選択をした人々の経済的理由からの海賊行為への傾倒がよくわかる。
    また、キリスト教徒が同じキリスト教徒の奴隷を救おうとする活動は、宗教としての正しさではなく、それぞれの良心が行動の美しさを決めることだと思わされる。

  • 海賊といえばビッケをイメージするが、ここに登場する海賊は全然違った。
    こんな歴史があったんだ…

  • 3⇒1⇒2と読んだ2巻。今回は拉致される庶民と最後は救出修道会と騎士団の話。十字軍の話はこの本ではなしないとのこと。修道会・騎士団とも熱意と信仰・使命感がなければできないと思った。あってもできないよね。

  • 保有状況:&購入日:41985&購入金額:529

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ローマ亡き後の地中海世界2: 海賊、そして海軍 (新潮文庫)の作品紹介

北アフリカから到来するサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、奴隷とされた人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も結成された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙があげられた――。

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