二十歳の原点序章 (新潮文庫 た 16-2)

著者 :
  • 新潮社
3.43
  • (5)
  • (9)
  • (27)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 124
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101183022

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • こっちこそ、前日譚?

  • 『二十歳の原点』(新潮文庫)へと続くことになる、著者が高校3年生から大学3年生までのノートを収録しています。

    人生に対して真摯な、そしてときに観念の空転に陥りがちな、内省の記録という印象です。言葉遣いの端々に、著者がコミットしている学生運動から借りてきた哲学的な考察が見られます。悲劇的なのは、本書の最後の方に記された、小林という男との不本意な関係についても、著者は観念的な言葉の助けを借りてしか記述することができなかったという事実です。自身の心と身体のもっとも深いところに突き立たれた暴力を、観念的な言葉に騙り取られてしまったところに、著者の苦しみの核心があったように思います。

  • たくさんのことを望みすぎなのだろうか?
    それとも、もともと弱いのだろうか?

    中身のない観念は無為だ
    若いときにはこれからの人生のことを考える必要に相対する。しかし、その材料は自分たちの周りにいる大人、社会、メディアを通した認識、書物による把握...など。
    そのどれもが知った気になれるし、枠さえも作ることができる(になる)。社会、世の中といったものすべてを知ることはできないが選択せねばならない。
    なかば義務のようなものだ。

    職業のみならず、その他一般の諸事さえもが
    完全な理解の上に築かれていない、選択されていないことの認識は心板に刻みつけておく必要がある。

  • 「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」

    1969年6月、立命館大学の学生であった高野悦子が自ら命を絶った。享年20歳。『二十歳の原点』は彼女が書き残した日記である。1969年1月2日、20歳の誕生日からそれは始まる。

    立命館大学文学部に入学した後、彼女は読書やアルバイト、そして学生運動との狭間で、自己を確立しようと努める。考え、迷い、悩み、叫び、行動を起こす。喫茶店「シアンクレール」で思案にくれ、あるべき自分を模索し続ける日々。

    時として、その終着点は「死」に向けられた。しかし多くの場合、彼女は「生」への強い想いを抱き続ける。明るさとせつなさを交錯させながら、強く生きることを切望する。

    6月22日、彼女は長い長い日記を綴る。睡眠薬を大量に飲みつつも、それに打ち勝って眠らずにいられるかを試し、最後に一編の美しい詩をうたう。それが彼女の最後の日記となった。

    20歳の日々。何を考え、どのように生きていただろうか。そんなことを考えさせられる本でした。

  • 高校から大学生になるまでの人生を、精一杯生き抜いた彼女の日記。

  • 未熟な自分を認めること。そういう出発点に立つこと、原点に立つこととの格闘。

  • ある二十歳の女の子が自殺するまでを綴った日記(実話)。
    これを読むと結構ヘコム1冊。

  • 高校生から大学生になるまでをつづった日記

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1. 高野悦子(たかの えつこ)
1949年1月2日 - 1969年6月24日
『二十歳の原点』で知られた女性。逝去当時、大学生だった。栃木県生まれで、栃木県立宇都宮女子高等学校を卒業し、立命館大学文学部史学科日本史学専攻に入学、京都に拠点を移す。ジャズ喫茶に通い、詩作、そして学生運動に励んでいたが、1969年6月24日、列車に飛込み逝去。死後、20歳の誕生日から続く内面の吐露を記した日記が、同人誌「那須文学」に掲載され、1971年に『二十歳の原点』という題で書籍化、ベストセラーとなった。2019年に没後50年を迎える。

2. 高野悦子(たかの えつこ)
1929年5月29日 - 2013年2月9日
映画運動家、岩波ホール総支配人。『母 老いに負けなかった人生』『岩波ホールと〈映画の仲間〉』などの著作がある。

高野悦子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×