定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

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著者 : 三戸祐子
  • 新潮社 (2005年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101183411

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定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  日本の鉄道は、世界で最も時刻が正確であると言われている。鉄道関係者に取材をしてかかれたドキュメンタリー。

     日本に鉄道が来る以前、江戸時代においても、寺社の役割として時を告げる鐘をならしていた。日本人には、一般の人々にも、時刻に対する感覚が養われていたのではないかと筆者は推測する。

     また、鉄道開業後の日本の地理的要因、街道沿いには比較的短い間隔で宿場町があったこと、そのため鉄道の駅間が短くなり、各駅間をおおよそ決められた時間で走らねばならない状況にあったのではないかと考えられる。

     現在、網の目のように張り巡らされた大都会での鉄道網は、一度どこかで列車が止まると、それが、他の路線に大きな影響を与え、たちまちダイヤに乱れが起こってしまう。
     日本の鉄道マンの、列車を遅らせないための技術は、運転士の秒単位での運転技術に、万が一にもトラブルを起こさないようにするための保線や、メンテナンスなど、様々な役割の人たちが、そのなかで最善の仕事を果たしている。

     非常に細かく調べられている。平成13年に単行本として書かれたものだが、その後、運行上のコンピュータサービスの進化、ICカードサービス、インターネットを使った顧客サービスなど、かなりのサービス向上がなされている。
     その反面、残念な事故も起こっている。鉄道の利便性をあげることも大切ですが、利用者は当たり前のように定時運転がなされている裏で、多くの鉄道に関わる人々がしている仕事について考えてみてもよいのではないかと思う。

  • 日本のすぐれた定時性は、回転率を極限まで高めていることの裏返しという指摘はもっともだと感じた。(良くも悪くも)日本の鉄道が上下一体・独立採算で運営されていることで、高い効率性が達成されており、それを実現するに至った文化的背景や技術にも触れられている。

  • 斉藤孝推薦。

  • 日本の鉄道は何故正確なのか?

    鉄道マニアなら一度は思うであろうそんな「謎」を、マニア的な視点からは程遠い、驚くべきアプローチにより解き明かした1冊。
    「何故正確か?」の前に「何故正確さを求めるか?」という問いを喚起し、鉄道開業以前の日本社会にその起源を求めた手法は、まさに驚愕の一言。目からウロコ、とはこのことです。

    システムの冗長性、あるいは運転司令室の緊迫感についての記述も、マニアではない作者の筆によるからこそ、分かりやすくかつ説得力を持って読者に伝わってくるのだと思います。

    ちなみに、文庫版あとがきが書かれたのが05年3月、出版されたのは5月。その間にあの尼崎事故が発生しています。
    もし、本書が世に出るのが数ヶ月遅ければ、果たしてどんな内容になっていたのでしょうか…

  • 日本の鉄道の正確性を江戸時代にさかのぼって丁寧に記述した金字塔的な1冊。後半には、その正確性を絶賛する一方、正確すぎる時刻表に対しての疑問も指摘されており、バランスのとれた一冊だ。

  • 一部で"神アプリ"と言われているYahoo!路線検索の責任者からプレゼントされた本。日本の鉄道の"定刻運転"はまさに神レベルらしい。なぜそうなったのか?それを考察するのがこの本である。

    本書ではまず日本の鉄道の定刻運転がどの程度精巧なものなのかを解説する。曰く「もし定刻運転のオリンピックがあったら日本は万年金メダル」とのこと(笑)。すごいレベルだ。

    続いて、核心である「なぜ?」に迫る。ザクッと書くと、歴史・文化的背景と、近代日本の急激な都市化に要因があるらしい。歴史・文化的には、まず参勤交代の正確な運行があるらしい。かつ江戸期の日本は寺の半鐘が数十分ごとに時報をする"時鐘"の制度が確立されていてどの階層でも時間感覚に鋭く、ペリーは「日本は時鐘がうるさい」と回想しているほどだったそうだ。

    もう一つの要因は、文明開化、富国強兵といった開国後の日本政府の方針により鉄道もどんどん延長されて行き、かつ東京や大阪など大都市圏への人口の集中が増し都市機能が集約化されるに至って鉄道網の精密化と正確さが増した、あるいは、人の移動を司る鉄道が正確さを増したが故に都市の集積化、大規模化も可能になったという相関性があるらしい。なるほど、深い。

    本書はその後、その定刻運転の具体的技術の解説に没頭していくが、さすがに私は読み飛ばしてしまった。。そして、最終章は、日本の鉄道の未来。結局、技術というのはその時代、時代の要請に応えるものであり、完璧とも言える定刻運転の技術は都市化の増大と日本人に画一さやせっかちさをもたらした。そういった生活のリズムや価値観が今後、社会の成熟化に伴い、"個別化"や"ゆとり"の方にシフトしていくと、自ずと鉄道の技術もそちらの方にシフトしていくだろう、ということを最後に予測している。その兆候はまだ見られない気もするが、これからは十分に考え得ることのような気もする。

    何れにしても、部下がプレゼントしてくれなければ、絶対に読まなかったような本。こういうセレンディピティーは嬉しいものだ。電車のに乗っだ時の目も変わること間違いなし。

  • 国民性なんて短絡的な言葉ではなく、調べあげた感がいい。
    江戸時代に既にダイアグラムがあったとは驚き。

  • 時刻表通りが「あたりまえ」とみんなが思うまでに持って行った企業努力に凄さを感じました。
    いろんな事を気づかせてくれる本でした。

  • 定刻発車の日本の鉄道の理由、仕組みを説いたもの。江戸時代の参勤交代にダイヤの発想があったこと、新宿や東京駅を始発ターミナルから通過駅にすることで停滞を解消、メンテナンスの重要性、といった事が印象に残った。2015.1.15

  • 経済と鉄道は似ている。
    経済も鉄道も、無数の人間をプレイヤーとするオープンなシステムであること。
    部分の変化がシステム全体の変化を呼び起こすこと。
    システムの安定のためには代替関係の設定が重要であること。
    未来についての予測や予想、情報がシステムの安定にとってきわめて重要な役割を果たすこと。
    状況の変化に応じてシステムを随時調整してシステムを安定に導く方法と、あらかじめ安定化の仕組みを仕組んでおいて自動的にシステムを安定化させようとする考え方の、二つがあり得ること。
    そして、経済において価格体系が需要と供給を調整するように、鉄道においては列車ダイヤが需給の調整機能を果たしていること。

    著者があとがきで書いているこの言葉で、私が何故鉄道に社会を感じるのかがやっと腑に落ちた気がしている。
    何気なく使っている列車を動かしているものは、日本の歴史的文化であったり、これほど大きなシステムであるなんて、考えたこともなかった。
    今後の社会を見つめる上で、鉄道を捉えてみるのは、案外近道であるのかもしれない。

  • 「お急ぎのところ電車遅れましてたいへん申し訳ございません」
    10分以上の遅れではじめて遅延とみなす国や、1時間2時間の遅れはあたりまえという国もあるなかで、数分の遅れでも謝罪する日本の鉄道。

    なぜ日本の鉄道はこれほどまでに正確さを求められ、その要求に応えられるのか。歴史的背景を紐解き、鉄道システムについて解説しながらこの問いに答えます。

    本書を読めば、電車の遅れにイライラしない人になれます。

  • 現在3000万人以上が住む首都圏、JR新宿駅の乗降客数は世界一の一日160万人。
    時間になっても電車が来ない…それで「まあ、そのうち来るさ」なんて構えてない。
    「神の思し召し」で納得する訳がない。絶対ない(笑)。
    当にこの国民性にしてこのシステムありき。なぜ電車は正確な時間にくるのか。
    著者は明治以前、江戸時代の参勤交代、更には奈良時代から現在の鉄道の源泉を掘り起こし、明治維新後の国家国民二人三脚での近代化の中で鉄道が巨大システムへと発展してきた過程、抱える宿命を探る(序章から第一部・環境まで)。

    列車の運転士にとって、一秒は重く、10センチは大きい。
    決められた時刻、決められた位置に揺れなく停車しても、誰に褒められる訳でもないのに、黙々と正確な運転を努めようとする意識と脅威の運転技術。
    車両の設計、整備を担当する“機械屋”は「今年の故障件数は去年より少なく、来年の故障件数は今年より少なく…」と、線路のメンテナンスを担当する“保線屋”は「俺が担当する線区からは絶対にトラブルを出さない」という気概の下に仕事をする。
    それぞれの専門家が、それぞれの責任で、それぞれの要素技術を鍛え上げ、ノウハウを蓄積し、多くの攪乱要因を克服してきた。その数字、日本とドイツの鉄道の100万キロあたりの列車故障比にして、大都市交通で1対40、超高速列車で1対20。
    そして利用者もまた、マナーを守ることによって定時運転を支えている。
    国鉄時代、赤字を抱えていた頃でさえ、列車は定刻通りに運行していた。民営化され、システムが進化しても、二律背反する正確と安全を守るのは、結局はまだ「鉄道員の誇り」といった現場の人間の意識と技術にその多くを支えられている。
    日本の近代化と共に歩み、毎年の自然災害、いくつかの震災、そして戦災を乗り越えて来た鉄道は今、正確さを超える時を向かえているのかも知れない。来るべき未来、鉄道はどうあるべきなのだろうか──(第二部・仕組み)。

    鉄道が抱える問題はあらゆる企業や社会そのものが抱える問題に共通しています。
    日本は鉄道に限らず飛行機(空)、船舶(海)、車、そして人間も過密状態で、実は安全と大事故が背中合わせの社会。そこで人命に関わる大きな事故があまり起こらない、安全でしかも正確なシステムを作り、運営していく為には膨大な時間と費用と人の努力を費やさなければならず、要するに日本人、日本という国は、企業や利用者という枠を超えた個々の努力なしには立ち行かないということを改めて実感させられます。
    毎日がんばって働く人、これから働く人に一度読んでほしい一冊です。

  • けっこう読むのに時間がかかった。。途中で読むのが疲れちゃった・・・かな?
    随所で「へぇ」ポイントはあったものの、基本は「日本人きっちり」「みんなの協力のもと定刻が維持されてるんだよ」ということを中心にして、話が展開されていく。取材を元にしたレポートもあるが、結構筆者の想像である部分も多い。同じようなことを行っている部分も何箇所かあったような気がするので、もうちょっと本薄くできたんじゃない?とも思ったりする。

  • 日本の鉄道運行ダイヤの正確さは世界的に有名だが、この正確さを支える仕組みがなんなのかを素人でもわかるように解説されている。
    そもそも、日本の「時刻」対する認識はヨーロッパなどに比べてもも古く、平安時代から、人の出生の時刻が刻まれていた、というのは興味深い。

  • なぜ日本の電車は正確に走るのか?
    その起源を江戸時代からさかのぼり、事故が発生した時の回復なども。
    当たり前のことがどのようにして行われているのか、よくわかる本でした。
      

  • 最近鉄道ネタが続いているな。まあ自分のブログなんだから何書こうと勝手なんだけど。先週久々に鉄道の旅をしてきたせいで、昨日はそのビデオの編集と整理、今日は帰途の日没後に読みかけたこの本を読み終わった。
    日本の鉄道が正確だとはよくいわれることで今さら驚かないが、2003年のJR東の数字で遅れ1分以内なのは新幹線96.2%、在来線90.3%、1列車あたりの平均遅延は新幹線で0.3分、在来線0.6分ときくとこれはやはり驚きの数字だと思う。ぼくが毎朝乗る列車なんて1分以内の遅れで着くことあるかなあ。先日の函館往復の特急も好天で遅れる要因が何もないのにいずれも3分くらい遅れていたし。JR北は遅れがちだということはまさかないだろうけど。
    日本の鉄道が正確な原因として、日本人は江戸時代から決められた時間で生活する習慣ができあがっていたことと、人口が稠密で駅間が短いのでシステム的に遅延が許容されにくかったことが大きな要因である、と著者は説く。なるほどとは思う。まあ国民性というのも大きいのだろう。昔外国で暮らしていたとき、テレビの番組が定時に始まらないのに驚いたことがある。日本なら秒単位で正確に番組が流れていて、鉄道以上に遅れなんてありえないだろう。そしてわれわれはそれが当たり前だと思っている。
    それはともかく、鉄道の本に対しては点が辛くなるのを割り引いても、正直いってあまりおもしろくなかった。文化的背景を主として読めばそれなりなんだけど、技術的な部分は掘り下げが不足している。長さのわりに内容がなくて冗長。最後の方なんて不要では。

  • 遠山緑生先生 推薦

    こちらは新書というか文庫ですが。ノンフィクション「読書の楽しさ」の一つに、「当たり前だと思っている事が、実は当たり前ではない」事を知ったときの驚きがあります。
    私にとって、今この世の中は生きやすくない。とりあえず「正しいとされていること」が気にくわなくてしょうがない。ので、「当たり前だと思っている事の当たり前じゃなさ」が書いてある本に出会えると、ものすごく楽しい。
    この本は、「日本の鉄道は諸外国に比べて定時性が<異様なほど>高い」という「当たり前の事実」の確認から始まります。あ、当たり前じゃない?(少なくとも鉄道マニアにとっては)「当たり前の事実」なんですよこれは。
    「そもそも日本人にとって時間って何なの」というあたりまで深掘りして、少なくとも「鉄道が定着する前の日本人は、全く時間に正確ではなかった」、といったような「当たり前ではなかったことが当たり前になっていく歴史」が描かれています。
    というような流れが最高にワクワクするので、お勧めします。
    ところで、今ある社会を当たり前のものとして受け入れて、流されて、それに不満がないならば、読書をして知識を身につけると、生きづらくなるだけなので、あんまり読書とかしない方がいいと思います。

  • 日本の鉄道しか知らないのでこの正確さを当たり前のように思っていましたが、言われてみればなるほどと思わせられることがたくさん書かれていました。私のような素人にも読み易い鉄道入門書です。

  • 図書館で借りました。
    この本が書かれた後に福知山線の事故があったのかなあ?
    鉄道の安全神話が壊れた瞬間でしたね。あの事故は。

    それにしても欧米と日本では背景と利用目的が違うのだから当然運用方法も違ってくるということは良くわかりました。鉄道は日本人にとって定刻に走って当たり前、と言う存在なんですね。
    今は検索エンジンで簡単に乗り換えも調べられますので便利になった反面、電車の遅れにはさらに厳しい目が向けられている気がします。

  • 非常に面白かったです。
    日本の鉄道が世界一正確だということはなんとなく知っていましたが、その背景として日本人の時間に正確な国民性、地理的制約、鉄道会社の努力があったことは知りませんでした。
    都市形成において、鉄道が果たす役割の大きさにも改めてびっくり。

    すべてにおいて、スケールが大きい話なんだけど、一方で非常に身近な話でもあり、読みやすい本でした。

    ちょっと前に発行された本なのでJR西日本の列車事故や、最新のシステム
    の話などはわかりません。そういった話も知りたくなりました。

  • 日本が世界に誇れる(数少ない?)ものの1つ「定刻発車」を江戸次第までさかのぼる歴史面・鉄道システム面から分析。こういう作者と当事者たちの熱が伝わってくるドキュメンタリーは好き。これを読むと、無愛想な駅員さんや電車の遅延もなんだか許せてしまう。

  • 日本の鉄道も最初はいまほど正確でなかった。幾人もの普通の鉄道マンの努力の積み重ねで今の状態まで来たのだという事がよくわかる
    面白いです。

  • 定時運転の技術だけでなく、なぜ求められるのかまで調べられている。
    鉄道が日本に輸入される以前の時代から調べられていて、日本人の時間感覚を江戸時代まで掘り下げて解説している。
    難解な専門用語は少なく読みやすい。


    作者はあまり言及していないが、最大の要因は東京一極集中にあると思う。
    定時運転に関わるすべての人は利用者を含めて正気ではあるが、俯瞰すると異常な事態だと思う。
    そして、1分と違わない定時運行を鉄道以外にも求めるのはどうかと思う。

  • 鉄道運行のとっかかりとしては最適な本だと思う。軽い日本の鉄道に関する歴史から始まり指令室でのダイヤ回復の動き。ダイヤの解説など盛りだくさんである。広汎な解説もありなかなかおもしろい。駅が多い方が回復運転がしやすいなど目から鱗である。

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定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)の作品紹介

電車が2〜3分遅れるだけで腹を立てる日本人。なぜ私たちは"定刻発車"にこだわるのか。その謎を追うと、江戸の参勤交代や時の鐘が「正確なダイヤ」と深く関わり、大正期の優れた作業マニュアル、鉄道マンによる驚異の運転技術やメンテナンス、さらに危機回避の運行システムなどが定時運転を支えていた!新発見の連続に知的興奮を覚える鉄道本の名著。交通図書賞・フジタ未来経営賞受賞。

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