死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)

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著者 : 清水久典
  • 新潮社 (2003年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101186214

死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • とても重い雰囲気が文章全体に漂う中、読み進めていかなくてはなりません。

    テーマが重いせいか、文章の書き方なのか、それとも日本海側に土地勘があまりないからなのか、なかなか文を読み進めることができませんでした。

    とても薄い本ですが、完読するまでに相当時間を要してしまったのを覚えています。

    まだ自分は独身ですが、自分が結婚しその立場になったらどうするだろう、どういう感情を抱き、どういう行動をとるだろう。そもそもこういう状態になる前に何かできなかったかなど、日本海の荒れた冷たい波を想像しながら読み終わった後もずっと考えてしまいました。

  • 涙なしには読めません。特に中年以降の方には。

  • 実話。 著者清水氏による手記である。

     北陸、金沢の近くで小さな縫製工場を営む「わたし」は妻とふたり暮らし。構造不況で会社は巨額の借金を背負い込み経営が悪化。時を同じくして妻は病に倒れるが、夫のそばに居たいと願い、入院を拒む。会社を立て直すため夫は車で各地を駆け巡り金策を続けるが、借金は膨らみ続ける。 ふたりはやがて、逃避行のようなあての無い旅に出る。
     
     オンボロのワゴン車に乗って、北陸の各地を虚しく走り続ける夫婦ふたり。旅は、西は鳥取、東は仙台へ…。そして妻のガンは日に日に悪くなってゆく。お金も尽き、ワゴン車でのホームレスのような暮らしに落ちてゆく。
     
     妻は年上の夫を「オッサン」と呼ぶ。夫は「ひとみ」と呼ぶ。「これからは名前で呼んでほしいわ」と妻がつぶやいたからだ。 「オッサンといられれば、それでええ」。妻の言葉がいじらしい。
     
     不治の病を抱えた妻との極貧の旅、未来の無い旅路。
    中年夫婦のふたりの日々なのだが、まるで純愛のようである。
    オッサンの優しさ、悔い、弱さ。 妻ひとみのけなげな想い…。
    しみじみと深く心に沁みる。 

  • 読みやすかったが、筆者の弱さが前面にでた作品。この人は若いころからずっと目の前の問題に取り組まず、逃げてばかり来た結果こんなことになっているのだと思った。しかし、弱い心は誰でももっているし、私もある問題からは目をそむけている。できるだけ誠実でありたいものだ。しかし、病気、貧困というのはつらいものだな。

  • こういう輩には腹が立つ。
    その場しのぎの行動しかできなくて、
    実直に生きてさえいれば悪いことなど起こるわけがないと思っている甘えぶり。
    ただの依存夫婦。

  • 2011年読了。映画化。

  • ・妻には十分なことをしてやった、なんてその時に言える男が一体どのくらいいるんだろうか。などと思いそこで考えることをやめる。

  • この著者は別に作家でもない素人の人。奥さんとの旅を書くためだけに筆を取った人。
    そんな人のわりに(言い方わるいけど。。。)、とってもよく書けてると思います。
    ただ、たまに昔の回想シーンが突然紛れ込んでくるので、ちょっとわからなくなる時があったけど、
    奥さんに対する思いがヒシヒシと伝わってきました~。

    ただね、本編が始まる前に、作家の高山文彦氏の解説が載ってあって、それを先に読むようになってるのよ。
    はじめの解説で大体の本筋がわかってしまうし、それを読むだけで涙が出そうになるのよね。
    だから、本編を読みすすんでも、ストーリーが分かってしまってたので感動がかなったのよね。
    ほんとは、涙が出る本なんだろうし、こういう本に弱い私は絶対に泣くはずだったのに泣けなかった。。。
    この解説はね~、従来の本通り、後にもっていくべきだと私は思うよ~。

    でも、、、、。
    なんで男寡っていくのは可哀相なもんなんだんろう。
    Widowよりもなんかこう哀愁をおびると言うか、孤独感がいっぱいに感じるのよね。
    自分勝手に生きてきた男の人に限って、奥さんに死なれると反省するのか、死んでやっと奥さんの存在の大きさを知るのか、涙がでるよね~。

  • 妻が死ぬまでだけの旅を書いているのではない。
    妻の喪失と共に、苦しみぬいた<私>の手記だ。

    弱っていく妻を見て病院に行くことを勧めた<私>だったが
    「一緒にいられなくなるわ…」とぽつりと呟く妻の言葉が引き止めた。
    旅はゆるやかに、だが妻の病気、そして死に向き合わねばならないものであった。

    「妻のいる気配がして、よく横を向いた。そしてひとり、初めて寂しさを知った。」
    フィクションとは違う、リアルな苦しみ。
    妻がいなくなってからの様子は本当に苦しげだ。
    だが、その苦しみを乗り越えていった<私>は強い人物なのだと思う。

  • 2012/07/24 津市津図書館---芸濃図書館。

  • 1回読んで「痛かったろうなぁ」くらいしか感想がなかったけど
    レビュー書くついでにもう1回ざっと読んでみた

    やっぱり痛かったろうなぁとオモウ
    奥さん、スゲーなぁとオモウ

    他人事なのでもっとこうすればあぁすればと
    旦那に言いたいことはあるけれど
    家族ってそんなもんかな
    他人にはわからないもんがいっぱいあるよな

    星3つにしようかなーと思ったけど
    たぶん読み返すことはないだろうという点で2つにしておく

  • これは小説というよりは、手記と言った感じ。

    人生、先に何が起こるかわからない。
    自分の先はどんな人生になるんだろう?と、ちょっと考えてしまった。(^^;)

  • 前半のほうが泣いた。病状がすすむに連れ文字を追うだけ。

  • 小さな縫製工場を経営していた平凡な夫(著者)と末期がんに侵された年若の妻とが、借金苦と病苦という現実から逃れるために、なけなしの現金(50万円)を持って、古いワゴン車で日本各地を逃げ回った軌跡が描かれています。この出来事は1990年代後半に起こった特殊な死体遺棄事件として当時結構話題になったらしいです。

    日々衰弱していく妻に対する夫の想い、借金返済のために東奔西走する様子は、読んでいて切なくなったりしますが、それ以上に感じたのが、彼ら(特に著者)に対する焦燥感でした。

    現実と正面から向き合う事を避け、ひたすらダラダラとその日を暮らしてしまう、その凡庸さ。

    困難に対して立ち向かわなければならないと分かっていても、いつもつい逃げてしまうのです。結果、妻は車中で亡くなってしまいます。(ただ、この逃避行自体は、この夫と妻の二人にとってはかけがえのないものとなったようです。)

    ただ、「普通の人って、きっとこうなんだろうな」とか、「もし自分が同じ立場にあったとして同じようにグダグダしてしまうかもな」とも思いました。そういう意味でもかなり切ない作品でした。

  • 病気の妻と破産した夫が、妻が亡くなるまで車で宛のない旅に出て、静かに、でも大切な時間を埋めるように過ごす時間の物語。

    普通に面白いが、うーん、あまり大きな抑揚がないというか、もう少し心が揺さぶられるような話を期待していたかな。何よりも、本の冒頭に、内容が分かるような解説みたいのがあるのが不満の理由だと思う。

  • 心の奥から絞り出す様な切なさと悲しさ。自らの人生の回想と妻への懺悔。借金と病からの逃避をするけれど、旅路で、あらゆるところで過去の記憶と現実と病の陰につきまとわれる、夫の苦悩。夫に置き去りにされる妻の心細さ。
    奥さんの最期は幸せだったのかな。愛する人に側にいてもらいたかった望みが叶ったけれど。
    漠然とだけれど、ヘッセの「幸福」という詩と重ねてしまった。

    失ったものを惜しんで嘆き、
    色々の目あてを持ち、あくせくとしている間は、
    お前はまだ平和が何であるかを知らない。

    すべての願いを諦め、
    目あても欲望ももはや知らず、
    幸福、幸福と言い立てなくなった時、

    その時はじめて、出来事の流れがもはや
    お前の心に迫らなくなり、お前の魂は落ち着く。

  • 富山などを舞台とした作品です。

  • 実際にあったことを、手記とした書かれたものです。月刊誌「新潮」に連載されたのを、多くの方の希望で1冊の本として出版されました。


    亡き妻への哀惜の手記。


    会社が傾き、自己破産への道をたどった夫。妻は一回りも年下。一緒に縫製の仕事をしていたが、妻の体はガンに侵されていた

    手術をしたが、早ければ3カ月で再発の可能性があると言われます

    夫は金策と妻の病気から逃れるように、一時期行方をくらましてしまうのです。

    夫の帰りを待つ妻は、心細い思いをし、家を出た夫は全てを捨てて死のうとまで思います。


    しかし、結局は妻のところに戻ります。そして、今度は妻を連れて、逃亡の日々を送ることになって行きます。

    車に少しの荷物を積み、所持金は60万。日本海側を、仕事探しながらの旅が始まりました。

    そこで、感じたもの、観たものは今までのどんな時に感じたものより、美しく、暖かく夫婦の心にしみていきます。

    妻は夫をオッサンと呼びます。夫は妻を・・・・初めて名前で呼ぶようになります。


    長い旅の後半、妻はドンドン体力が落ち、話すこともままならず、そしておむつの交換も夫が・・・。

    医者に行こう・・・・いやや、オッサンと離れたくない。

    この繰り返し。

    夫は、途中で妻を観るのが辛くで逃げ出したくなった事もあったのです。


    そして9カ月・・・・妻は、夫がちょっと離れた間に息を引きとります。


    辛くても、愚痴一つこぼさず、オッサンのそばに居られたそれでいいと・・・。

    夫も、長い結婚生活で、初めて妻の存在を身近に感じ、愛おしいと接した9カ月でした。





    お金が無いから病院に行かなかった・・・それだけではないのでしょうね。

    実際、ここまで追い詰められたことが無いのですから、気持ちを分かるはずもないのですが


    これを読みながら、夫婦の愛を考えさせられました。

    友和さんをイメージし、妻は石田さんのイメージで、一気に読みましたが本当に素晴らしいキャスティングだと感じています。


    夏の公開が待たれる作品です。

  • 実際は想像を絶するほど大変だったろうけど、大枠のストーリーとしてはありがちかな・・・


    実話に対して感動を求めると、期待したほどではなかったときに余計しゅうんとなるからしばらく感動エッセイ的な本は控えようと思った。

  • 人としては美しい。行政が起こしてはいけない事件。

  • ええ~~~っ!?(笑)
    これじゃあかんやろ…?
    もっと適切に生きるべきです。
    としか思えないんだけど。

  • 解説が前になければ・・・。心が苦しくなる本。

  • 病院で死を迎えることは許される
    家で死を迎えることも許される
    もちろん、医師が死亡診断を書くにあたり、継続的な診療を受けている必要性はある
    今の時代、本人の尊厳を重要視している
    そんな中で夫婦と言うつながりをもった二人が二人の思うように(もちろんいけない事だと自覚しつつも)生活を続け、ふたりらしい生活・楽しみが最期にあるのであれば、それを認めたい
    などと考えた作品
    さらっと読めたが、それなりに人生について考えさせられたような気がする

  • この奥さんはしあわせだ。わがままを貫きとおした。そこには法も権力もありゃしない。旦那はひきずられた。図らずもアナーキーになってしまったダメ夫婦がいとおしい。そもそもみんな病院で死ぬのがおかしいだろう。

  • 奥さんの「最期まで一緒にいたい」と思う気持ちがとてもせつない。
    でも…結局この旦那さんは色々な事から逃げていただけの様な気がして腹立たしい。

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死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)の作品紹介

高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った…。「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった-。

死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)のKindle版

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