- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101186375
感想・レビュー・書評
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とても舞城さんらしい作品。
人間賛美
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家族と成長の物語。
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大好きすぎて吐きそう
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「すねなんか好きなだけかじればいいけど ー 心はかじられると、痛いし、辛いし、ねえ、苦しいし…かじられた分、心ってのは削られて減るんだわねえ…」
「『吸血鬼は実在する』って書いてあったんだよ、それもキリンの脇の下に。怖くない?」
「何でそんなとこに書いてあんのよ」
「逆に、そこにしか書けなかったんじゃない?そういう情報だから」
「ああ…」
「誰かに読んでほしいとかじゃなくて、とりあえず書いておかないと、みたいな」
『架空の物語っていうのは、本当のことを伝えるために嘘をつくことなのだ。』
「ああ…正論ね。正論って駄目だよね。人の怒りとかってコンロの火みたいには消えないから、うまく騙して振り回して風に当ててやって、ゆっくり鎮火させないと駄目なんだよね。」
『自分ってこうなんですよって言いたいのと言いたくないのとのせめぎ合いの中で言葉が暴走しちゃったのかもしれない。自分のキャラを演じてるっていう自分に気がついてそれを踏まえた新しいキャラを作り出してってのを重ねた挙句に混乱して意味不明のまま自分の中に引きこもるみたいにして脱出…最悪だ。
何がしたいんだろう?自分でもよく判らない。』
『正論ってのは他人を正すためにあるんじゃないんだよ。世論ってのはあくまでも自分と言う潜水艦の周囲の状況確かめるために発信するソナーなんだよ。自分が正しいと感じる、信じる意見をポーンと打って、返ってくる反響で地形を調べるのだ。ソナーで道が拓けるわけじゃない。』
『正しさで人は変わらない。正しさで人を動かすことができない。』
「あんたねえ、ぶちぶちうざったいよ!あんたの世界観と実際の世界は関係ないの!こうあって欲しい形と実際の形が違うことに失望して落ち込むくらいなら実際と違うことを望まなきゃいいのに!理想と現実のギャップなんてまんま受けとめられないなら理想語るのやめな!ちょっと人前で理想言って良いカッコしたいだけの子と変わんないよ!本当の理想主義の人は、ギャップを測ってそれ埋めるために実際の作業始めるんだから!」
『仮のものしか出せない未来のチケットの本物を求める私が間違っているのだ。』
『男って凄い。チンポ一本でこんだけいろんな人を振り回すことができるんだもんな…。』
『私は家族の何を知ってたんだろう?
私たちは、どれだけお互いのことを見過ごし、見逃し、見損なっていたんだろう?』
『いや、他人に影響を与えるなんてなかなかできないものだ。
人にはそれぞれの考え方、感じ方、価値観、行動原理があるってのは基本前提として誰にでも備わっているのだ。お互いの違いを認めてるからこそ、そうそう本質は変わったりしない。』
『人間のゼロは骨なのだ、とまた思う。
そこに肉と物語をまとっていく。歴史と記憶と想像と思い込みと願いと祈りと連想と創造。物語を物語が飲み込んで、時には思わぬ飛躍も起こる。』 -
その時その状況の登場人物達の考えやあれこれが面白い。相変わらずと言えば相変わらず。でもちょっとは温かみがある良い小説だったと思う。どこかで誰かが言ってた気がするけれどやっぱりタイトルは矮小な感じがします。タイトルだけじゃなくて、ところどころそういう偽悪的な、あえて矮小らしく振る舞おうとするような文章がたまにあるけど、あんまり好きじゃない。もうちょっと舞城が落ち着いてきたらそういうのってなくなるんだろうか? ともあれこれからも面白いものを書いて欲しいです。満足。
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してやられた