預言者の名前 (新潮文庫)

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著者 : 島田雅彦
  • 新潮社 (1996年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101187051

預言者の名前 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 特定の宗教を持たない人が多い日本人だからこその宗教観だと思いました。

    限りなく一民族国家に近く、ある程度の価値観を共有できる日本だからこそ、八百万の神の考え方が受け入れる事が出来るのではないかとおもいます。
    そして、敗戦により宗教をぶっ壊された日本人だからこそ、なんの神様もいない中で一つのベクトルに集中出来るのでしょう。

    今や殆どの戦争の原因になる宗教。
    幸か不幸か特定の宗教に偏らない国に生まれたからこそ、しっかり自分を持っていきていきたいものです。

  • 世界三大宗教を取り上げ、「預言者」によって彼らがそれぞれにとって唯一の神をある意味で葬り去る過程を、連作短編のようなかたちで描く。出てくるひとたちはなんだかみんな極端で、各々の正しさというものを強固にもっていて、でもその正しさは彼らの文脈においてしか通用せず溶解していく。反宗教小説。読みながら宗教と文学はどうしてこんなに近しくて、でも違うんだろうっておもってました。ひとつのテキストに対してあらゆる解釈を行いながら生きるのか、あらゆるテキストに対してあらゆる解釈を行いながら生きるのか、なんていうんだろう。必要とするフィクションの数の差ではなく、フィクションの多様性はそのままあらゆる多様性に繋がっていて、そこを歓待していくのが文学なのかなあ。夏目漱石「門」のようなタイプが後者を選び取るんだろうか、よくわからない。わたしはどうしてこんなにフィクションを必要とするんだろう。それも文学のかたちになっているフィクションを。言語による芸術だからなのか。っていうかんじに、読みながらぐるぐるしちゃいました。花村萬月の宗教小説より見所があるとおもう。神々の混血、全体性への回帰(何者でもないものになるというのは、そういうことに近い)、こういった考え方はたぶん汎神論的な、日本人には比較的受け入れやすいもの。いろんなものを脱臼させるような意地悪いユーモアセンスを楽しめるか否かが好みの分かれるところかと。付録の性格の悪さには笑いました。とりあえずわたしはけっこう好き。島田雅彦いままでそんなに注目してなかったけどもっと読んでみようとおもいます。

  • どの章もかなり面白くてどんどん詠み進んで行くのだが、
    最後で、あれ?終わり? となる辺りが、少し苦しいかも。

  • 風変わりで面白かった。

  • こんな文章を書けるなんて、素晴らしい才能だ。

    初めて読んだのは、大学2年のときだったような。

    大学図書館で読んで、その後、文庫で買い直した(古本)。

    内容は全体として繋がっているが、どの部分からつまみ読みしても楽しめる代物。

  •  この本では、宗教に関する根本部分が批判されているが、人の心を救うという宗教が人と人との争いを呼んでいると言うことや、人を救うと称して金を巻き上げているだけの宗教など僕の思うに当たり前の欠点を批判しているように思う。しかしワタルは、僕の考えと違い信仰者に対して働きかけていくことで宗教をなくしていくことに努めている。僕は、信仰者は信仰を続ければいいと思って関わらないようにしようとしている。それは逃げで良くない事なのかもしれないが、働きかけが争いとなるなら働きかけようとは思はない。
     この本の構成で、共通の登場人物を持っていて主人公の変わっていく書かれ方が楽しいと思う。しかし最後はなんだかとぎれて終わっているような気がする。

  •  久しぶりに読んだ島田雅彦の小説。けっこう挑発的な内容。イスラム圏では出版出来ないと思う。ローマ教皇も怒りそう。分かりやすい話じゃないけど、それでもどんどん読めてしまうところが、島田雅彦の凄いところだと思う。

  • 島田作品から抜け出せなくなり始めた。

    2002年5月15日読了

  • キリストやマホメットみたいな預言者が現代日本に生まれたらこんな奇行をするだろうという話。
    宗教は曼荼羅のように細分化されるべき等の視点は面白かった。しかし語りつくされたテーマなだけに、新しさを感じるほどではなかった。
    神に期待するなという教義?は仏教に近いんじゃないかと思う。
    小説としては、最初の改宗者の手紙が無神論者のコンプレックスが刺激される内容で面白かった。
    巻末の聖典を模した索引が笑えた。

  • 典型的無宗教な日本人なので、
    宗教と向き合うことでさえ稀。
    宗教に目覚めさせるための本じゃないんだけど、
    のめり込む気持ちはちょっと分かった。

    死んでも地獄なら生きてる間だけでも救われた気分でいたいさぁ。
    めんどくさくなくて救われそうな宗教ならなにか信じてみるのもアリだな。
    仏とかねはーんな感じは病みそう。やっぱ無難にキリストかなぁ・

  • グルングルンしていた、宗教っていう世界についての 1つの出口みたいな。

    なんか、わからないけれど なんか少し好き。

  • 日本人だと無頓着になりやすい宗教意識。。日本人は宗教なしで生きていける場合が少なくない。戦争もなく、物質的に豊かで、快楽にすぐ手が届くから。また、信仰を持った人はマイノリティーなので、マジョリティーが大好きな日本人には、信仰しないことで世間体なんかを気にしなくてもいい。恐怖から救う宗教の必要性が低い。恐怖があまりないなんて結構甘っちょろく生きてる僕には何も言う資格がないハズ。だけど「平和とは自分の信仰と自分の信仰が異なることを認めるところから始まる。分裂こそが平和をもたらすのである。一切を唯一絶対神の支配下に置くのではなく、唯一絶対神の支配下にある全てのものを分裂させていく」というこの小説の言葉には共感した。ネット上で「神」って乱発してる日本人、しっかりしろい。

  • 世界を救うのは亡命チベット人であるように思えてならない。もちろん、文学的な世界のことだが。いっぽうで、政治が文学化することは容易にありうる。カンボジアの大虐殺はまさしくそれだ。ポル・ポトは政治家ではなくフランス文学者だった。そして真逆に文学が政治化することもありうる。政治化した文学は絶えざる階級意識とプロレタリアート/ブルジョア転向を生み出す。それは使い古された12音階、手垢にまみれたコード進行のようで、飽きがくる。よってある一定水準以上の物書きはポル・ポトや石原慎太郎になるか、文学を政治化にさせるのではなく文学を文学化させる道、大江健三郎や中上健次のような針路をとる。そのあいだで戯れようとするなら、島田雅彦が生まれる。

  • 判りづらい作品でした。
    狙った所は悪くなかったと思うんだけど、読み手に不親切。

  • 預言者の名前

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