エトロフの恋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101187129

感想・レビュー・書評

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  • 無限カノン最終作。
    次もあるのかな?話が娘のスタート地点には戻ってきたけど、カヲルの人生は決着がつかずに終わった。
    青くて血を流しててもがいていたカヲルくんは、声も男も失ったおじさんになってしまった。
    キャベツと鮭の塩スープ、太古からの暮らしをする森で生きる魔女みたいな老婆と家族。見つからない居場所。択捉島に住む謎の日本人の男。政治的な何らかのメッセージのようだけど、実際は国の中央にいる好きな人との僅かな繋がりを夢見る哀れな男、という政治的とか情勢とかにここまで踏み込んでいながら教訓的な話も作者の政治的思想も読み取れぬ、ただの垂れ流しの小説。
    島田雅彦の、若くあろうとするおじさんの昭和の文章が、くたびれたカヲルと、寒々しいモノクロのエトロフとよく似合う。

  • 2007-03-00

  • 今回は、カヲルが択捉にたどり着いた所からの話。前二作よりは読みやすかったが、一々話すセリフがクサすぎて、クサッとなった。魔方陣グルグルならギップルが悶絶してしまうだろうな、なんてことを考えた。

  • 婚活にオススメな小説で、見かけたと思う。

    間違えて、3巻から読んだ。

    好きだった人が天皇と結婚してしまった。
    失恋した、主人公の男、カオルは、エトロフに行く。

    予言とか、現実身がなくて、面白くなかった。



    本文最後

    『あなたは心から会いたいと願っている人に会うことができます。その人もまたあなたにあいたがっているからです。



    もう少し先のことです。森で会うでしょう。』



    パパとも、先に、また再開するのかなあ。
    ただただ、暇つぶしのように、人生を生きればいいのか?

  • 無限カノン三部作の最後。
    前二作の二人称の語りとは違い、カヲルの一人称で語られる。
    命がけの恋を失った後、なんだかんだで妻子を得たがその後、商売道具である歌声を失いどん底へ。偶然にも旧友と再会し、なぜかエトロフ島に住むことになる。そこで現実離れした人々と出会い交流を深めていく中で自身も悟りの境地に至り、それまでの苦しみから解放される、失ったはずの恋によって。
    正直な感想としては、この三作目は必要だったのか?と言うか、こういうカタチでしか決着できなかったのか?と思ってしまう。
    恋を失った後が端折られ、妻との出会いや生活も端折られているため、歌声を失った後、何故妻子の元へ戻れなかったのかが理解できない。
    エトロフ島でも若い女性に恋をし、一方で不二子のことも引きずっている。妻子が蔑ろにされている感じがちょっと受け入れ難い。

  • 無限カノン第三部。第2部の終わり方からは予想外の展開。史緒も不二子も現れず。カヲル、エトロフ、ニーナ、マリア、コースチャ、ヴォトカ、エルム爺さん。男性機能が復活を遂げたのだ。

  • 前二作に比べると、場所もストーリーも随分遠くに行ってしまったなという感じ。カヲルさんの語り口も悪くないけど、前二作に慣れていたので、取っ付きにくかった。不二子本人が出なくても構わないが、絡む部分がもっとあれば良かった。ラストのパートをもう少し読みたかった。それでもこの三部作は、とても読み応えがあり、恋愛の切なさをひしひしと感じさせてくれます。

  • すべてが終わったあとにようやく物事は語りだされる。
    何故なら物語には始まりと終わりがあるからで、
    終わらなければ語られない。

    ゆえにここでは死者の物語しかない。
    生者はまだ語るための終わりを迎えていないのだと。
    そうして、無限カノンはここに来て豊かなどん詰まりを迎える。

  • 私はこの『エトロフの恋』を無限カノンと切り離して読めればすごく好きなのに。どの国家にも属さない、現世と彼岸との間に浮かぶメランコリーの孤島。そこに住む人々の孤独、灰色の海と森との共存のあり方に静かに深々と浸ることができた。追憶を語り合うことで生活を土着する人々の清廉さに心を寄せることができた。だから最後にこれは無限カノンが内包する物語なのだと覚醒した瞬間、なんだか私は興醒めしてしまったんだ。革命の引き金となるような恋なら既に歴史上あるだろう。それらを倣うほどの恋の引力を二人の間に感じることはできなかった。

  • 野田カヲルとその一族の恋を描いた「無限カノン」の最終章。
    がらりと変わって50代になったカヲルの一人称で描かれる。不二子との永遠の恋を抱えたまま、なぜか底なしのメランコリーだけがあるエトロフへ旅に出たカヲル。
    第一部、第二部に比べて観念的で、ちょっと退屈してしまった。しかし逆に第一部、第二部が苦手だった人はこちらの方が好きになるかも。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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