震える舌 (新潮文庫 草 189-1)

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著者 : 三木卓
  • 新潮社 (1980年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101189017

震える舌 (新潮文庫 草 189-1)の感想・レビュー・書評

  • 野村芳太郎の映画がカルト評価されていて(祝DVD)一部には
    有名な作品だが、今回古本でゲット。
    これ読んで破傷風について調べてみると、それはそれは壮絶な症状。
    この被害者の女の子はもちろん可哀そうなのだが、本作の主人公は
    その我が子を見守り、そして見守ることしか出来ない夫婦。
    彼らの悲しみ、不安、疲労、お互いへの一瞬の憎悪など
    微妙な変化が随所に出てきて、胸が痛くなる。
    特に父親の、病室でやや生気味の手羽先を食べて、微妙に肉に
    血が浮き出る描写、おむつを取り替えるときについた尿を
    手洗いしても、そのとき自分の手の包帯についたとこは取り変えない
    ところ・・・、極限の状態の中で見せる悲しさと優しさの描写が
    素晴らしい。
    子供についてはこの症状のために、どれだけ苦しんで、どれだけ
    つらいのかは一切語られない。
    悲鳴の描写だけである。
    その子が終盤に発する言葉「チョコパンが食べたい!」は、読者に
    悲しさと嬉しさと、そして恐ろしさを届ける見事な一言になっている。

    そして、ハッピーエンドとは行かないまでも、どこかに希望を
    もたせるラスト。
    短くても、非常に重い良く出来た小説。

    物語を彷彿させる、微妙に不気味な装丁。
    そして200円と言う価格が何とも言えないので、是非
    この新潮文庫版を探してみてほしい。

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