向田邦子の恋文 (新潮文庫)

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著者 : 向田和子
  • 新潮社 (2005年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101190419

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向田邦子の恋文 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「まいったなぁ。」

    これがこの本を読み終えて、真っ先に出てきた言葉だ。

    これは向田邦子さんの妹、和子さんの著書である。
    四人きょうだいの末っ子である和子さんが、世間では有名な脚本家だった
    邦子さんのことを少しも脚色せず、ただただ妹として、
    不幸にも飛行機事故で急逝した姉の人生に向き合っている。
    物書きとしては素人の和子さんが、丁寧に書き綴っている。
    そのことがとても胸に迫って、たまらなくなった。

    「まいったなぁ」

    わたしもいつか死んだあと、思い出したり振り返ったりされることになる。
    その時に近しい人たちが、誇らしく、愛おしく、思い出すことが嬉しくなるような
    そんな人生を歩んでいくようにしよう、だなんて思ってしまったではないか。

  •  読んだとき、とてもショックを受けたのを覚えています。
     妹さんがこんな私的なことを明かしていいのかと。
     若かったので、邦子さんのイメージが崩れたとおもったのか。

     今では、この向田邦子さんだから、あの短編集の数々があると思っています。

  • 妹の和子さんから見たお姉さんの姿。長女として母からも「娘でありながら、それを超越していた」と言わせるほど凛として「できた長女」だった家族の中での向田邦子さん。愛するN氏との書簡のやりとり。愛する人を失った廃墟のような喪失感さえエネルギーに変える。死ぬことは容易いこと、でもだからこそ向田作品の中の登場人物はもがきながら「生きて」いる。
    飛行機事故で亡くなったが、その前に乳癌と血清肝炎を患い、入院していた際に書いたのんきな遺言状———父の詫び状の背景を知ると、大好きな作品たちが、さらに味わい深く感じる。知れば知るほど、向田邦子という人がとても好きになる。

    ——————————————
    秘密のない人って、いるのだろうか。誰もがひとには言えない、言いたくない秘密を抱えて暮らしている。そっとして、こわしたくない秘密を持ちつづける。日々の暮しを明るくしたり、生きる励みにしたりする。そんな秘密もある。秘密までも生きる力に変えてしまう人。向田邦子はそういう人だった、といまにして思う。
    ——————————————

  • トットチャンネル以降、向田邦子さんを読んでみたくて、小説とこちらを選んだけのだけど、最初に読むにはセレクトを間違えたかもしれない。

    人の秘め事を明かすなんて、という抵抗感みたいなものはたしかにあったけど、全然それだけではなくて、でもそれ以上でもなくて。
    なにより向田邦子さんという人となりの凄さがあますことなく伝わってくる。

    内容という意味だけでなく、初っ端からとんでもないものを読んでしまった感じ。

    なんて人なんだろう。若いときに読まなくてよかった。

    なにかを読んでこんなに心がザワザワドキドキしたの久しぶり。もっと読みたい。エッセイでも小説でも。どうしよう。

    太田光さんによる後書きまで素晴らしいです。

  • 素敵な話です。
    向田邦子も素敵だけど姉妹の絆も感じる一冊です。とてもオススメ。

  • 表紙の写真が美しいのは、愛する人の前だったからなんでしょう。強くて優しい人だったと思いました。向田作品が好きな理由が分かったような気がします。航空機事故での訃報のニュースは今でも心に残っています。秘めた思いと周りへの思いやり、細やかな心遣いとユーモア。毅然とした才気をひけらかすことなく、皆独りで抱えてふっと消えてしまった人という印象がでした。

  • 妻子のあるN氏へ宛てた手紙とN氏の日記。

    いかにも男性の記した無骨な日記と
    反対に、N氏への手紙は少女のようでドジな向田邦子

    向田さんは、この二人の間の秘密を公表されることを
    望んでないように思えた。
    ひっそりと誰にも知られず秘密を持ち続けていたなら尚更

    向田邦子作品は、一度も読んだことが無いので
    これを機に読んでみたい。

  • 向田邦子やっぱりいいなあ。

  • 愛の言葉を紡がなくても愛を伝えることは出来るんだなあ、とつくづく思う。N氏にあてた手紙の中にたくさんかわいいが詰まっている。

  • 向田邦子という女性はなんとミステリアスな女性なんだろう、と思う。それは向田邦子の死に様がそう思わせるのかもしれないし、向田邦子というその人自体がそう思わさせるのかもしれない。向田邦子は生涯独身だった。けれども彼女の心の中には決めた相手がいた。その相手は人に言えるような相手ではなく、ただ2人きり、秘密をかかえながら、お相手のN氏が病気で亡くなる迄支えあった。そんな2人の恋に彼女の強さといじらしさに読んでいて涙が溢れた。またいつか読み返したい一冊。

  • 「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」などの原作者:向田邦子の没後、遺族によって公開された手紙の数々。



    ひとさまの書いたラブレターや日記を、のぞき見するみたいで抵抗はあったが結局手に取ってしまった。





    エッセイでは「なぜ猫を飼うのですか」という質問に

    「これはなぜ結婚しないのですかという質問とおなじくらい答えが難しい。

    しいて理由をあげるのなら、猫にはなぜか縁があったが人間の男性にはなぜか縁がなかったからということであろう」

    と記述していたが、本当の「結婚しない理由」は「N氏」だったのかと合点がいった。

    N氏は妻子ある身。向田邦子は秘密の恋をしていた―――





    ちょうど33、4歳と今の私とそう変わらない年頃、妻子と別居中だったN氏のもとに通い

    仕事で会えないときは手紙でやりとりしていたという。



    当時だって各家庭に電話はあれど、仕事で缶詰になってるときに長電話はできなかったのだろう。

    今みたいにメールがなかった世の中、速達・ときには電報で「恋文」を送っていた向田氏の書く文面は

    小説ほど色っぽくはないのだけれど、全体的にざっくばらんな(馴れからくる気安さからか)感じの中に

    「だれかさんみたいに、来なくてもいいよなんてひどいことは言わないもん」と、すねてみたり

    仕事がはかどらない、とかおなかを壊したとかちょっとした「弱音」もちらほら入っていたり、「素のかわいらしさ」が垣間見られる。





    N氏は病気療養中のため、体調を気遣う文章も目立つ。

    相手に「気を遣わせている」という負担を与えない絶妙なさじ加減で。





    手紙と同時にN氏の日記も公開されてるのだが、無愛想な文章は向田氏のそれと対照的である。

    昭和の男性ならではのテレ、とかハッタリなのかもしれないと思うとなんだか微笑ましい。

    その日の買い物メモも残っており、昭和30年代当時の物価も興味深い。





     彼からもらった幸福を自分も彼にあげよう





    向田氏はそれ以上のものを望まなかったように思う。想像でしか言えないけれど。



    でも、その思いや決意はN氏の自殺によって断ち切られる。

    自分が糧になれなかった無念はいかばかりのものだったのだろう。





    本来ならば、第三者が目にするはずのなかった5通の手紙。

    その時期に「得たもの」「手に入らなかったもの」が、のちの向田作品の中に息づいているような気がする。

    ぜひ、彼女の作品をひとつでも手に取ってから読むことをお勧めする。

    特にはじめてのエッセイ集・「父の詫び状」あたり。





    少し脱線するが、この本の解説を爆笑問題・太田光が書いており、その読解力・文章の巧さ・ひいては頭の良さに改めて脱帽した。

  • 【本の内容】
    脚本家への道を歩みはじめ、徹夜続きで仕事に打ち込む姉・邦子を慈しみ支えた一人の男性がいた。

    一途で切ない、秘密の恋だった-。

    邦子が急逝して二十年、妹・和子は遺品の中から、亡き二人が四十年近く前に送りあった手紙をみつける。

    遺された文面から今なお香り立つ想いが、遠い日をよみがえらせ、妹は姉にそっと語りかけ始める…。

    幾つもの想いが響き合う、姉と妹の「最後の本」。

    [ 目次 ]
    第1部 手紙と日記
    第2部 姉の“秘め事”(帰ることのない部屋で;遺品の整理;茶封筒のなかの“秘め事”;『父の詫び状』へのお詫び;故郷もどきへの“嫁入り”;『ままや』の暖簾をたたむ;私の知らない姉;N氏との出逢い;父のよそ見;母の率直な思い ほか)

    [ POP ]
    秘めた恋を貫いた向田邦子。

    病のせいで落ち込みがちな恋人N氏を励まそうという思いやりにあふれた手紙には、いつも天真爛漫、ユーモラスに振る舞う彼女の日常と、N氏への労りの言葉が綴られている。

    その一途さが可愛らしく、恋のセンスはこういう心意気に出るのだと感心。

    一通目の手紙に目を通した時、何かいけないものを見てしまったような気がして、すぐに本をとじてしまった。

    そこにあらわれたむきだしの気持ちに戸惑った。

    いっぺんに読んでしまうのは、とてももったいないと思うほどの、飾らない感情があった。

    向田邦子が心に秘めて愛したのは、妻子持ちの男性だったという。

    そのN氏と交わされた手紙と電報と彼の日記が、活字ではあるが何も変えられることなく収められている。

    仕事やその日に食べたもの、相手への気遣いなど内容は平凡なのに、お互いを思いあう様が目に見えるようだ。

    遠距離恋愛ではなかったので、多忙にもかかわらず邦子はちょくちょく彼に会いに行っていたようだ。

    二人の間で交わされた手紙は、今でいえば携帯でちょっとしたメールを送りあうようなもの。

    だけど、なんでもない内容の裏側にあれだけの思いを込めることはできないだろう。

    思わず誰かに宛てて便箋に思いをしたためたくなった。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • たまにはノンフィクションも読まなければと思って。前半の手紙のやりとりで、邦子からN氏へ送った手紙の、締めの挨拶がとても好き。「愛してる」とかそういう言葉ではなく、「手足を冷やさないように」とか「みかんを大いに食べるべし」とか、きっと手紙の内容よりも、この最後の“挨拶”が、恋文の本題なんだと思う。ほとんどメールの文化しか知らない私、この“挨拶”を切り捨ててしまった気がして少し淋しくなった。
    太田さんの文章まで読了後、女でいることの責任感みたいなものを勝手に感じてる。強く生きなきゃだめなんだなって。

  • 向田邦子の長女らしい文章や感覚が好きで殆どの作品を読んでるけど、これは初めて。
    このタイミングにこの本は文選を誤った。
    2人のやりとりがひたひたと染み入る。
    やっぱり向田邦子の感覚はとても共感できて、大好きな物書きさんで、女性だ。
    「誰かさんみたいに、こなくても平気だよ、なんて、ひどいことはいわないもん。」スタバで泣かされた。

  • 向田邦子さんは、ものすごく人を尊重できる人だったのだなあと感じた。
    決して人との距離が遠い訳ではなく、すぐ側であたたかい眼差しを向け、相手の言葉をしっかりと受け止めて、話をする。
    そんな印象をうけた。

    N氏が外国の本を買ったり、新聞を読んだりしているのをみて
    本は旅なのだ、なんてことも感じたりした。
    そんな旅をして、邦子さんのことが好きでも、あるいは、だからこそ、
    どんどん認められて行く彼女を見つめながら、身体の不調と生きていくのは辛かったのかなあ。

    太田さんのあとがきにもあるけれど、「〜誰かさんみたいに、こなくても平気だよ、なんて、ひどいことはいわないもん」
    という一文がすさまじく心に残る。

    男の弱さ、強がり、に対する憎しみと赦し。

  • ■偏食・好色・内弁慶・小心・照れ屋・甘ったれ・新しいもの好き・体裁屋・うそつき・凝り性・怠け者・女房自慢・癇癪もち・自信過剰・健忘症・医者嫌い・風呂嫌い・尊大・気まぐれ・オッチョコチョイ・・・。あなたはまことに男の中の男であります。私はそこにほれているのです。
    ■生まれてきたことを喜ばれ、両親に愛されて育ち、普通に生きていけることは、とてもありがたいことだと思う。
    ■我が家はデコボコがあったり、隙間風が吹いたり、いろいろある。だから、考えたり、知恵を絞ったり、いたわりあったりしていける。何もなかったら、嫌なことないでしょ。何事も考え方や気持ちの持ちようでプラスになるし、プラスにしていけるから面白いんだし、楽しい。この家に生まれたのは運がいいのよ。それを生かさなくっちゃ

  • はたから見ると、痛々しくも感じるが、
    でも、一生懸命自分の人生を生き抜いた
    ヒトなんだということがよくわかる。
    作品からは、うかがい知ることができない
    一面がここにはある。
    向田邦子ファンならずとも、
    ひとりの女性の生きざまを見る。

  • 彼女のやりとりした手紙を読んで、何とも言えない気持ちになった。
    歳を重ねて今となってわかる作品のよさ。
    そのベースとなってる彼女が少しわかった気がする。

  • 手紙のやりとりの中で、ふたりとも食事のことを詳細に書いているのがよかった。

  • 日々の出来事、食べもののことなど、何気ない日常のやりとりだけれど、文章からは、相手への思いやりと、語りかけたいという気持ちが溢ていた。私のような、文章の下手な人にとっても、肝心なことは、相手に向けて語りたいという気持ち、真っ直ぐ向き合う姿勢ではないだろうか。
    これが、向田邦子の生き方の、仕事への姿勢の、作品のベースだったのね。

  • 向田邦子が恋人にあてた手紙と恋人が邦子にあてた手紙および日記がしるされている。また、向田邦子の妹が姉にまつわるエピソードを記述。あとがきは向田邦子好きの太田光。
    手紙から売れっ子脚本家で寝る間もない隙間をぬって恋人に会いに行っているようすがしれる。疲れ果てたときに、顔をみてほっと一息ついて、また仕事にもどっていって、大変だろうけど充実していたんではないだろうかと想像した。
    しかし、二人の関係は恋人の自殺でおわる。恋人は病がもとで身体が不自由になっていてそれが原因かは書いてないが、献身的にそばにいてくれる女がいながら死を選ぶんだと、男と女の感覚の違いを感じた。太田光のあとがきにあった、男は弱くて、強がり、という言葉をあてはめて男の人をみると、あたっているように見えてくるから不思議。
    向田邦子関係の本は初めて読んだけど、本人に興味をもった。家族を支え、親をたて、つらい恋も秘めて自分で受け止め、前向きな発言をし、、という印象を受けた。別の本も読んでみたくなった。

  • 故人の秘めた手紙や走り書きのようなメモなどを家族が『これは世の中に発表しなければいけない!』といような代物なんだろうか。。。

    向田さんが、誰にも言わなかった秘めた愛なのだから、そっとしておくのが良かったんじゃないかなと思います。

    なんてことのない日常のなかに『みかんをたくさん食べてね』などN氏の体への気遣いがあって。とても向田邦子さんらしいなとおもいました。

  • 妹の和子さんが姉邦子さんの死後20年たってやっと遺品と向き合い、その中から見つけた『邦子から恋人N氏への手紙』と、同時期のN氏の日記から始まります。
    現在のように携帯やパソコンなどのメールなどもちろんない時代。もちろん手紙は手書きでポストへ。文面は日々のつれづれや相手への労わりの言葉など。本の題名が『恋文』なので愛の言葉がどれほどに溢れているのかと期待していて、手紙と日記が割いてある70ページまで少し拍子抜けしてザッと読み。赤の他人に読まれるとは思っていない文章、二人だけに価値のある文であるからこそ、それはしょうがない。
    でも読み進めてその二人の当時の背景を知ると、何気ないその文章にお互いの静かな愛を感じた。あ~、上手く言い表せない。和子さんのターン読了後、手紙と日記の箇所を再読しました。最初に軽く読んでしまって反省。

    N氏の最後の日記、いたって普通。案外そんなものかもしれない。どんな苦しみがあったのかは憶測でしかない。残された邦子さんの悲しみも同じく。
    でも秘密の恋であるからこそ、その内容を知りたくなるのが世の常、というか私が知りたい。妹和子さんのこの本だけでは足りない~!というのが本音。他に邦子さん関連の本を探してみようかな?

  • 自立したいい女ってどんな人のことを指すのかしら? と聞かれたら真っ先に差し出したい本。裁縫、料理が得意で、経済力もあり、仕事も出来る。きりりと涼しげで、いかにも賢そうな顔だちに、チャーミングな丸い鼻が添えられている。まるで隙がなさそうなのに、好きな人にはついついお菓子を食べ過ぎたことを反省する手紙を書く。……邦子姐さん、本当に萌えます。

  • 111103byNHKnews恋文大賞第2回を耳にして

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