雀の生活 (新潮文庫 B 4-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101195025

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  • 「雀」と呼ばれる詩的生命体・・・

    たぶん、ぜんぜん科学的でない、詩人の感性と情緒だけによる「雀」といういきものの観察と分析。

    出だしは
    ≪雀を観る。それは此の「我」自身を観るのである。雀を識る。それは此の「我」自身を識る事である。雀は「我」、「我」は雀、畢竟するに皆一つに外ならぬのだ。≫

    随筆なのかと思って読み始めてみたらどうやらながいながい散文詩だった。
    雀のさまざまを分析しているようだが論理によってではなく情で描いている。
    その基調の気分は「かわいい」と「さびしい」だろうか。
    そして雀のありようにわびさびを感じている。
    同じことをくだくだ繰り返しているようでもある。でもずっとそのつぶやきを聴いていたいような気分にもなるのだ。
    それは雀好きという共感なのかもしれない。

    詩人にとっては詩的なきっかけになる形而上学的生命体なのかもしれない。

    ある意味宗教的ですらある。
    「雀教」?

    ここまでやってくれると内容はともあれこの文章のありようじたいが大好きだ。

    2012.01.11読了

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著者プロフィール

1885年(明治18年)、九州・柳川生まれ。童謡を含む幅広い作品で、日本の近代文学に偉大な足跡を残した詩聖。処女詩集『邪宗門』でエキゾチック感覚の象徴詩人として知られる。

「2020年 『美の魔睡 邪宗門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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