おぅねぇすてぃ (新潮文庫)

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著者 : 宇江佐真理
  • 新潮社 (2010年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101199245

おぅねぇすてぃ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 安心して読める宇江佐真理さんの作品。
    単発です。
    「八重の桜」も終わりかけて、明治時代の話が読みたいと思って、見つけました。

    明治5年。
    函館の商社で働く雨竜千吉は、英語の通詞(通訳のこと)になる夢を抱いていた。
    幼馴染のお順は通詞の娘で英語が出来た。お順がアメリカ人の妻になったと知って、ショックを受ける千吉。
    何の約束もしてはいなかったのだが‥
    お順は正式な妻になったのだが、それでも洋妾(らしゃめん)呼ばわりされていた。
    再会した二人の心は通じ合い、お順は夫に離婚を申し出る。
    夫は1年間は再婚せず、男とも付き合わないという条件をつけ、配下に監視させた。

    千吉は仕事の都合でお順とすれ違う。
    夫との約束のために千吉と連絡が取れないお順は、女学校の助手となるが‥?
    急激に変化する当時の状況を丁寧に盛り込みながら描かれるのが面白い。
    歴史上有名な人物も出てきます。
    いささか優柔不断な千吉と、もともと気風のいいお順の、もどかしい恋のみちゆき。
    武家の出の千吉と町人のお順とでは、ちょっと前ならむしろ結婚が難しかったというのも不思議な時代ですよね。 
    平成13年に刊行された作品。

  • 明治時代、通詞(通訳)を目指す青年と幼馴染の女性との恋物語。
    普段時代小説は読まないのですが、珍しい内容と、英語が好きだったので読んだ記憶があります。爽やかで良いお話でした。

  • 明治初頭の函館・東京・横浜が舞台。英語の通訳(通詞)を志す青年と、訳あってアメリカ人貿易商の妻となり居留地に住む女性の物語。

    おーもーしーろーいー!

    維新後の激動の時代に、西洋風の新しい文化や生き方を受け入れつつも、御一新前の江戸に対する強い思い入れもあり、その中で日々模索している主人公たちの心情が生き生きと描写されています。

    あとがきにありましたが、こんな名作に重版がかからないなんて・・・、昨今の出版業界はキビシーのだなぁ。
    こないだの「本の雑誌」の特集にもあったけど。

  • ご維新を経て、千吉は新時代を見据えて英語の通詞を目指すことにしたが、目下は叔父の商社の函館支社を任され、英語の勉強は思うように行かない。さらに東京で別れてきたお順がアメリカ人の妻となったことも千吉を打ちのめしていた。
    遊び仲間の元大名家の子息や、独学で政府の通詞となった人物、日本に滞在する外国人らなど、千吉を取り巻く多彩な人物や維新直後の風俗が興味深い。将来やお順との恋に対する千吉の焦りも痛いほど伝わってくる。なので、ラストはいい意味で裏切られ、読後感がとても爽やかだった。

  • 明治時代を舞台とした恋愛。御家人だった主人公「雨竜千吉」が、明治維新で、叔父がてがける商社の仕事に入る。江戸の頃、よく致知が出入りしていた物産問屋で好きな女性「お順」がいた。外国人も出入りするため、お順は英語が話せた。

    あこがれとも、負けん気ともつかない気持ちで、英語を学んだ千吉。その力を多少見込まれ、叔父の商社の函館支店へ。英語を使う機会もないし、新しいものに出会うものもないと意気消沈していた千吉。そこで、多くの人に出会う。宣教師・ジャン・フィリップ、通詞(通訳)・財前卯之吉。財前卯之吉は実在の人物だという。函館では、地元の発展や教育に大きく貢献した人物らしい。

    ちなみに、タイトルは”honesty”から、作者の名前「宇江佐真理」の苗字「宇江佐」は"weather”からとっているらしい。

    財前卯之吉は、解説に実在の人物と書かれてあったが、もしかして他にもいるのではないかと思った。千吉を叔父の依頼で案内して、農業や牧場の指導をしたという設定になっている「アルフレッド・ドーン」にあたりを付けた。当時、お雇い外国人ということで、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカなどから西洋技術を伝える外国人を官費で多く雇った。そのうちのひとりの中にいるのではないかと思った。しらべてみると、なるほど、該当しそうな人がいた。それは、「エドウィン・ダン」。オハイオ州出身、北海道で指導など、重なる部分がある。

    紆余曲折を経てお順と一緒になる千吉。その紆余曲折を、明治の息吹をうまく織り込みながら書かれているのはとても面白かった。明治を舞台にした小説が少ないので、新鮮だった。

  •  いつもの時代背景とは違って明治維新後の物語。舞台も函館から始まる。ただこの作者の筆になる人の人となりや生き方が変わるわけではないので、雨竜千吉とお順をめぐる物語はいつものように流れてゆく。最後に後日譚が書かれているところが実在人物を思わせるがもちろん創作であって、千吉が函館で私淑する卯之吉は実在人物なのだそう。函館時代のエピソードで重要な役回りを果たす娼家の小鶴が不憫だ。そういう時代であったとはいえ、千吉もいいかげんな奴だ。大火の犠牲となったのは哀れだが、その方がよかったのかもという気もする。

  • 読み始め…11.11.2
    読み終わり…11.11.13

    御一新のあとの明治初期を時代背景にした純愛物語。この時代ならではの状況というものは今どきで考えると、そうそうにはもうありえないということも多くあります。このお話の中で例えていえば、遊郭に馴染みがいたりとか町が突然の大火事に見舞われ一夜にして大勢が焼きだされ、その中に大事な人がいたりとか...。

    そういった古い時代こその状況の流れや、決して先を急がないゆっくりとした時間の流れの中で進みゆくストーリーがなんとも心地よくてこの頃時代小説にすっかりはまっています。

    おぅねぇすてぃ=honesty=正直・誠実・潔白

  • 主人公が全然格好よくない。自分の下で働いてくれる人のことも、想いを寄せてくれた遊女のことも、真摯な言葉をくれた宣教師のことも、彼の心の奥には届かない。英語を学ぼうという彼に途をつけてくれた先達者の奇禍にも何ひとつしようとはしなかった。
    この格好の悪さが、多くの日本人の、今も昔も変わらない平均的な姿であると、自分を省みて安心してしまった。こんなでも、極東の僻地島国日本は千年以上も存在し続けている。世界が驚く清潔さと安全、最も歓迎される旅行者、日本男性の人気が低くても、日本女性は大人気である。
    文明開化時代のこの本では自然である、カタカナで書かれる英語が日本人の外国語に対する弱点を露呈していて面白い。カタカナとローマ字による表記を廃するまで、日本人の外国語修得は茨の道だろう。読者や作者がカタカナ表記に違和感を感じ始めたら、少しは進化が始まるかも。

  • ストーリーはすごくおもしろいし、さらっと読むことができた。文明開化という日本の歴史の中でもっとも変化の多かったであろう時代の話。昨日まであったことがなくなりどんどん世の中が変わっていく。それに対して好奇心を持ちながらもどこかみんなその変化についていけずに戸惑っている。西洋の思想、文化にあこごれを感じながらも日本人らしさを捨てられずにいる人々。その両面が見られておもしろかった。
    英語を学ぶのもこの時代ではすごく大変なことだった。昔の人の努力や粘り強さを見習わなければと思った。

  • キヨスクで求めた文庫本。
    帯の惹句で開花期の幼なじみの恋がテーマだと思って読んだせいか、不完全燃焼だった。

    あとがきでも著者が「単行本でも重版ならず」と著者が書いていた。
    初読みだったのだが。

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