本にだって雄と雌があります (新潮文庫)

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著者 : 小田雅久仁
  • 新潮社 (2015年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101200217

本にだって雄と雌があります (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 本にだって実は雄と雌とがあって
    互いに巡り合えば自ずと子孫(本)が増えていく...。

    「私」と称して語る土井博は子供の頃、本好きだった祖父・與次郎と
    奇妙な現象を見る魔訶不思議体験をするのですが
    この與次郎おじいさんというのが一風変わったお人柄の持ち主で
    個性的というかユニークというか.....
    関西人の気風のよさで、屁理屈をまことしやかに並べ立てては大法螺を吹く。
    どこまでが本当で、どこからが冗談かなんてお構いなしです。
    おまけに寄り添う妻・ミキは、亭主・與次郎の法螺話には目がないほど
    顔をぺしゃんこにして笑ってくれるというのですから
    なんとも微笑ましく仲睦まじいご夫婦です。

    ひろぼん(私と語る土井博)にとっては子供ながらにちょっと怖かったけれど
    大好きな與次郎おじいさんとの摩訶不思議体験は、子供の頃の心に残る
    いちばんの出来事だったに違いありません。
    その與次郎おじいさんが亡くなったときひろぼんは
    "これにはまだ続きがある。次から次へと生まれては死に
    誰もが誰かの続きを生きる。與次郎が誰かの続きを生きたように
    私の人生もその続きを生きるのだ..."と感じたのだそう。

    だからなのですね。博は生まれたばかりの我が息子・恵太郎に
    うちの家族はこんな家族なんだよ..と、恵太郎にとっては亡き曽祖父であり
    博の大好きな祖父・與次郎の事をいちばんに語って聞かせ
    一族の他の面々についても順に語ることで、次の世代にも続いていくように
    その途中の役割を果たそうとしていたのだと思います。
    待望の我が子誕生の喜びに、赤ん坊に添い寝して目じりを下げて
    頬を緩ませ、精一杯の愛情で面白おかしくあやそうとする
    でれでれの父親の図が思い浮かぶようでした。
    おかけで傍で聞かされて(読まされて)いる我々には、
    お話を面白おかしくせんばかりと語る父親の冗談とジョークが
    少々耳についてしまうのですが...。
    なのでお付き合いする(読み切る)には少しばかり辛抱がいります。(笑)

    時代背景やお話の筋には
    古めかしさが感じられたので、いつ頃のことになるのだろうかと
    探ってみましたら、ここに登場している博さんと著者さんの生まれ年が同じでした。
    ということは....と自分と重ねてみると、そんなに昔じゃないのね。(笑)
    著者さんはご自身と博さんを重ねて描かれたのでしょうか....
    カバーに描かれているイラストもファンタジックなお話と重なっていて楽しいです。

  • 本にだって雄と雌があって、人の目のないところでアレコレをするそうな。そうすると、空飛ぶ本が産まれるんだって!

    雄本と雌本がアレコレして産まれた幻書を蒐集する一族のお話。選ばれた人のみが死後もはるか南のボルネオにあるというラディナヘラ幻想図書館で、羽の生えた6本足の白象に乗り司書をするとな。

    軽快な調子の関西弁で語られており、文章が面白いです。ギャグというか漫才というか、下ネタというか…お腹いっぱいになりつつも、ラディナヘラ幻想図書館や幻書の設定を生み出す作者の想像力は凄い。本がまるで生き物みたいで、夜中に動いたり、飛んだりしてたら面白いだろうなぁ。登場人物も魅力的。

    サルトルの『嘔吐・壁』とエンデの『はてしない物語』からできた幻書が『はてしなく壁に嘔吐する物語』(←!!)うわー…。

    物語も終盤近く、航空機墜落事故の時、隣に乗り合わせた幼い姉弟を司書の力で助けた時に與次郎(つまり與次郎最期の時)が話したこと。
    「人間はな、死ぬとみんな一冊の本になって、遠くへ飛んでいくんやで」
    私自身が祖父に自伝を書いてほしいとせがみ、書いてもらった後で最期を看取ったことを思い出して、涙した。実家に帰ったとき、おじいちゃんの手記を読もう。

  • 面白かった!

    最初のほうは数ページごとに声を出して笑い、終盤のあるところではぐっと胸がつまり泣きそうになった。
    教訓とか何もない。読書とは、楽しいことがすべてではないか? この小説には、先を読み進める楽しさがぱんばんに詰まっていて、それ以外のものまで押し込むとはじけてしまいそう。

    文庫の帯を森見氏が書かれているが、氏の作品がお好きな方にもおすすめ。

  • 前半は読んでいてあまりにも退屈な、登場人物の家族の内輪ネタとでも言うべき話を中心として展開される。他人の家のことなんか知らんがな、と、読むのは途中でやめようかとおもったが、最後まで読み通して良かった。中盤、與次郎の死、兵隊時代の話あたりから、物語は大きく動き出し、壮大かつドラマティックかつファンタジックな色合いに満ちた人生譚に心を掴まれた。
    読書の良さのひとつとして、虚構の世界にどっぷりと肩まで浸かる面白さがあると思うが、この本の中後半以降はその面白さに溢れており、きっとファンタジー小説好きの期待に応えてくれるものであろうと思われる。
    前半戦さえ耐え抜けば面白い。

  • 壮大なファンタジー!
    最初は、読みにくくかつとっつきにくい、クドイ関西弁の語り口調もだんだん慣れてきて、読み終える頃には、
    もう終わってしまうのか、と名残惜しい気持ちにさせられる。

    圧倒的な描写力で、目の前に様々なシーンが流れていく、とても素敵なお話だった。

    ファンタジーなのに、戦争の残酷さ、けして繰り返されてはならない事故のこと、戦前戦後の日本に起こったこと、その深い悲しみと虚無感を感じずにはいられなかった。

    人は亡くなるとどこに行って何をしているんだろう、って誰もがきっと一度は考えて悩むことに、
    素敵な答えを返してくれる、心が温かくなる素敵な作品。

  • 本当~~~に読みにくかったです。

    とにかく色々回りくどくて読み難い。
    登場人物も多く、しかも時代があちこち前後するのでややこしい。
    でも手に取った方は、諦めずに読んで欲しいです。
    最後には感動が待ってますから!!(笑)

    大阪弁のノリツッコミに、シモネタ、オヤジギャグが満載で、
    どこの法螺話かと言いたくなる話なんですが、
    実はめちゃくちゃ壮大な物語なんですよ。
    単なるファンタジーではなく、
    戦争や事故を絡め人の生き死にや暗い内面なども描かれてきます。

    途中、こんな壮大すぎな話どうやって終るんだ!!って、思いましたが、
    エンディングもまぁ見事!!
    感動しました。

    もう1回言いますよ~。
    諦めずに読んで下さい。
    本当に素敵ないい本です(笑)

  • 仰天!
    なんですかこの素敵なお話は!
    本が増える謎とかいう不思議なわくわくする気持ちも、與次郎さんとミキさんのほんわり幸せな気持ちも、死後の世界とか、未来を知る知らないとか哲学的な問いも、ぜーんぶ。
    幻書を手に入れてしまってると気づいた時の衝撃!笑
    物語を読む幸せここに極まれり。
    2016年しょっぱなからヒットが出ました。

  • 2012年に刊行された本の文庫化。よく知らない著者なのだが、『増大派に告ぐ』に2009年の日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューしたとのこと。
    リズムの良い文章と語彙のセンスが非常に面白い。人情話のような盛り上がりもあり、純粋に『楽しい』本だった。
    うちにも幻書が出てこないものだろうかw ロクなもんが生まれないとは思うがw

  • 多くのレビューにある様に、わたしもタイトルに惹かれて読みました。

    何となく井上ひさしさんを思わせる感じで好感が持てましたが、タイトルから想起される内容とだいぶズレがあったのでその点が残念。

    もっと徹底的に本の雄と雌を突き詰めて書いたら面白くなる気がするんだが・・・まぁ、深井家のクロニクルもそれなりに面白くはあるのですが。

    ファンタジーに分類される作品だと思うので、楽しく読めればいいのでしょうが、個人的にはリーダビリティは今ひとつでした。

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本にだって雄と雌があります (新潮文庫)の作品紹介

本も結婚します。出産だって、します。小学四年生の夏、土井博は祖父母の住む深井家の屋敷に預けられた。ある晩、博は祖父・與次郎の定めた掟「書物の位置を変えるべからず」を破ってしまう。すると翌朝、信じられない光景が――。長じて一児の父となった博は、亡き祖父の日記から一族の歴史を遡ってゆく。そこに隠されていたのは、時代を超えた〈秘密〉だった。仰天必至の長編小説!

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