あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)

  • 520人登録
  • 4.01評価
    • (39)
    • (63)
    • (32)
    • (3)
    • (0)
  • 58レビュー
著者 : 彩瀬まる
  • 新潮社 (2015年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101200514

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「みっともなくないように」「ちゃんと生きなさい」の呪縛。かわいそうな母親から、母親の言葉から逃げ出したかったはずなのに、それを今度は自分が振り翳すようになる。カーテン一つ選べないのに。苦い経験を経て、人間関係を紡ぎ直す。

  • 最近話題の一冊。

    同じ年代なのでとても共感できる。

    できるからこそ、読んでても面白いとは感じない。

    でも蜘蛛を潰せない、という感覚は好き。

  • 読み終わってるのに、
    ブログに感想を書いてない3冊目!
    これは、
    小泉今日子さんの「小泉今日子書評集」から気になった本の、
    「骨を彩る」を買いに行ったんですがなくて、
    あったのがこの「あのひとは蜘蛛を潰せない」だったんですね。
    新潮社推しなんで、
    先に「あのひとは蜘蛛を潰せない」を購入!
    ちなみに、
    「神様のケーキを頬ばるまで」は買ってますが「骨を彩る」はまだ手にしてない!
    で、
    モノクロームの世界に色を取り戻すってあったの!
    これ、
    個人的に「四月は君の嘘」とシンクロして欲しくなったの。
    でも、
    買ったのは読んだのは「あのひとは蜘蛛を潰せない」です!


    蜘蛛って色々言われていますね。
    1つは人脈を司る精霊です!
    ネイティブアメリカンが好きと言うか、
    インディアンジュエリーが好きで、
    経由して、
    ネイテォブアメリカンの影響も受けている。
    ホピ族の創ったリングに蜘蛛が描かれていて、
    蜘蛛は神様からの言葉を運んでくる精霊なんだって!
    糸で、
    降りてくるイメージが神様からメッセージを伝えに来るイメージになったんでしょう。
    つまり、
    蜘蛛=天使なんですね!
    で、
    その蜘蛛潰しちゃダメでしょう?
    と、
    思いつつ読み始めると蜘蛛のエピソードは最初の方だけ。
    しかも、
    脇役レベルの人とのエピソードでやんの。

    梨枝は28歳の実家暮らし。
    実家にはめんどくさい母と住んでる。
    ドラッグストアに勤めてて雇った大学生の三葉と付き合い始める。
    恋が梨枝を変えていったのか?
    三葉が梨枝を変えていったのか?
    独り暮らしが影響したのか?
    トラウマが表面に出てきたのが影響したのか?

    個人的には五月蠅いが、
    梨枝の母はいいなぁー。
    こういう母に育てられたかったって思ってしまう。
    家族ものを読んでシンクロすることはほぼない。
    でも、
    憧れたり、
    引いたり、
    残念な気持ちになったりするが、
    梨枝の母には憧れるというか、欲しいというか、僕は母であってほしいと思ってしまうのね。
    でも、
    どこかで梨枝と同じ気持ちにもなり、
    同居を止め、
    独り暮らしを始めてしまうはずなんです。
    絶対に傷つけてしまうであろうけど、
    悲しい気持ちにさせてしまうであろうけど、
    その関係に憧れる。

    雪ちゃんの料理下手!
    ちょっとわかる。
    うちも境遇が似てるから。
    雪ちゃんは梨枝母と上手くやれないから、
    似てる僕もやっぱりダメかな?
    でもでも、
    雪ちゃんも変わっていってるしね。
    梨枝も変わっていってるしね。
    そんなもんなんでしょうかね。

    バファリン女みたくならないようにがんばります!
    追伸
    バファリンはたまにしか服用しませんから大丈夫です!

    ちなみに、
    帯には椎名林檎さんがコメントを書いてて、
    ちょっと、
    刺さる紹介分が書いてあるんでぜひぜひ本屋さんで帯を読んで検討してほしい。
    個人的には、
    買って読んでいただきたい本である!

  • 『いつかわかるわ。この世に、お母さん以上にあんたのことを考えてる人間なんていないんだから!』

  •  恋愛小説でありながら毒母がテーマでもあった。しかし、主人公が被害者意識に凝り固まっておらず、気持ちよく読めた。毒母だけど、それほどスポイルされていないケースなのかな。しっかりとした社会人として頑張っていた。

     冒頭のエピソードでいなくなってしまった中年男が最後まで存在感を発揮していた。彼を基準にいろいろな人を見渡すような構成となっていた。

     主人公は性経験がない20代後半であったが、さらっとセックスしていた。もっと掘り下げてほしかった。

     バファリン女という呼び名が口裂け女みたいな言いようで、ひどいと思っていたのだが、それほど他意はないようであった。僕も頭痛の時にイヴを痛みが消えるまで4~5錠飲むことがあるため、習慣にならないように気をつけたい。

     昨日読み終わった『脳が壊れた』と同じく、人と人とのつながりが大切であるというメッセージがこめられており、普遍的なテーマで、いろいろな人が形を変えて描くべきものであると思った。

  • ふと、宮崎さんが、私の中の出来事の位置づけを「失敗」から「残念」に変えてくれたのだと、化粧水のボトルを並べ直す瞬間に遅れて気づいた。
    ー梨枝


    展開が気になって
    あっという間に読めた。
    解説の山本文緒さんの
    例えは納得した!

  • 解説の山本文緒が書き過ぎ~真夜中のドラッグストアで蜘蛛を潰せない中年パート社員。柳原に呆れる女性店長は28歳の恋愛経験のない梨枝だ。夜勤を終えて実家に帰ると母が用意してくれた朝食を摂りビールを飲んで寝る。穏やかな柳原だが,休憩室で若い女性に寄り添って歩いていたという噂が流れ,やがて駆け落ちてきた女房を捨てて失踪するが,これは二度目だと奥さんは言う。代わりに夜勤のアルバイトに入ったのは三葉という大学生で,8歳も年上の梨枝の事が気に入ったというので驚く。幼い頃に家を出て行った父が残した家のローンを払い終わり,反りの合わない5才年上の兄は梨枝の幼馴染みのカマキリの雪ちゃんと結婚し,地方勤務となって家を出て行った。「ちゃんとした」「笑われない」育てられ方に反発を持つ一方で,母・紀子とは喧嘩をしたくない。その兄が最初の子どもが生まれるタイミングで本社転勤を機に家に戻ることになり,梨枝は家を出るきっかけを得る。一人暮らしを始めた梨枝の家で三葉と初めての性交を行い,若い恋人をちゃんとしたくなる自分に梨枝は驚く。雪ちゃんは禄に料理できず,兄は末期の子宮癌に侵された女性の見舞いに通っている。母は元気をなくし,家も荒れてきた。三葉はバレリーナの姉に期待を寄せすぎている両親と解り合えず,堅実な一人暮らしをしながら,バイトで貯めた金で絵を買いたいのだという。梨枝のアパートで過ごすことが多くなった三葉は目的の20万円を貯めて,就職活動も始めて梨枝との距離を空け始める。来店する度に頭痛薬を買うバッファリン女が気になり,銭湯でも一緒になり,紀子や雪ちゃんや梨枝のように可哀想な女性にできることはないかと考え始める。合い鍵で三葉のアパートに入り,バレリーナの絵を見つけ,梨枝は三葉に思ったことをぶつけてしまうが…~20才の男の子が28才の足の太い女に惚れるかなぁ。惚れられたらいいなぁという女性の願望…現実としてあるシチュエーション? ま,何事も上手く回り始めたねって所でお話が終わってますね

  • なるほど、「神様のケーキをほおばるまで」も良かったけど、こっちの方がよく出来てるわ。
    綾瀬まる、味わえる小説かける人やなぁ。

    28歳女性、引っ込み思案のドラッグストア店長が、バイトで入ってきた若い男と恋仲になる。次第に距離を詰めるまではエエ展開だが、付き合いだして同棲して、入れ込み過ぎて、過干渉で、距離をおかれる。

    筋だけ書くと、どっかにあったような小説みたいだし、現実にもこんなのいっぱい転がってそうな話である。それが綾瀬のペン(じゃないやろけど)にかかると、不思議な味わいの小説になる。味付けの基本は娘依存症的な主人公母の存在。この人が主人公の人生を大きく覆う傘となっていて、雨を防ぐつもりが日光すら当たらなくさせてしまったこと。

    大切な人に徹底的に干渉したい、という欲求は誰しもが少なからず持っているものだと思う。若いうちはその欲求に振り回されて、自分も大切な人もワチャワチャになって、結果ギクシャク。そういう苦い経験を踏まえて人間は成長していくもん…

    なはずが、主人公母のように成長しきれない人はたくさんいるんだろうなぁ。我が子であれ大切な恋人であれ、過剰に関わるのは不幸の元なのだということ。子供はいずれ巣立つものだし、恋人は所有物ではない。人間は一人では生きていけないものだけど、インフラ整備状況としては一人で生きていく程度の整備はされている(現代日本)。

    大切なもの(人)との関わりに、どれだけ上手に距離を置くか。近づきすぎると見えなくなるし、近眼になって本当の姿を見えなくもなるんやで。
    若い頃なら分かっていなかった間合いの大切さが、苦い経験を経てちょっと分かる歳になったことで、この小説をしっかり味わえた。

    綾瀬まるは…中年殺しなのかもしれない

  • まずは毒親を持ち、苦労する主人公に共感。さらに言えば、主人公よりは三葉クンにより共感したかも。

    序盤、母の「支配」からなんだかんだ理由をつけて脱却しない主人公に少しイライラ。

    一人暮らしからの三葉クンとの半同棲生活は順風満帆だったのに、少しずつそれが崩れ始めるその要因が、主人公自身に染み付いた母親の影響だった(「ちゃんとした〜」的な価値観)のが、そら恐ろしく感じました。

    最終的に母の価値観——世間体を気にするところや、周囲との衝突を自分を殺してでも極力さけようとするところ——をはねのけ、ほんのちょっと自分らしさを主張できたところは少し感動すら覚え、同時にうらやましくも思いました。

    この本は各キャラが持っている各キャラ自身の考え方やポリシーのようなものがそれぞれしっかりとあって、どの人物も(個性を確立しているという意味で)ユニークだったところが印象に残りました。

    その中で、主人公が最初空気のようにあたりさわりのない言動によって没個性になっている訳ですが、最後にその個性を得ることができ、ようやく一人の人間として存在できるようになった点に感動したのかな、と思います。

  • 主人公28歳、独身女性・女手一人で育ててくれた母と二人暮らし。

    ・・・この設定なので、最初あまり入り込めなかった。主人公が若いからかな?と思ったんだけど、そうではなくて
    主人公の母親の気持ちがわかる年齢になっちゃったので(苦笑)母親の一言一言が、何が言いたかったかわかるというか。

    全体を流れる不快感、依存、不安。そんなものでときどき気持ち悪くなる。重い。

    母との葛藤を乗り越えて、恋愛も一山超えたあたりの主人公はとてもステキですけれども。
    主人公の義姉と母親のギョーザ作りとか、食事後のカレー作りをすすめるあたりもmとても好きですけれども。
    こんなハッピーエンド、なかなかないだろ?とは思うけれども、だからこそ、良かった。(前半読んでる最中は☆2つかな?と思ったけど、ラストが良かったので☆3つです)

  • 初めて読む作家さん。
    主人公と少し立場が似ていると思い、気になって読み始めたのだが、冒頭が上手いと感じた。
    すっと溶け入るように、物語に入れた。

    タイトルにもある「あのひと」は序盤であっさりといなくなってしまう。その理由にもビックリする。
    けれど、「あのひと」は悪い印象ではなく、主人公の梨枝の中にずっと残っている。

    その代わり、若い男の子がやってくる。
    まさか、相手にされる訳がないだろう。おかん的要素が重くてすぐに逃げられるだろうと思っていたのに、結局は別れない。
    お互いに葛藤があって、相手に反発するところがあって、それでもお互いが必要で。
    男女関係とは難しいものだなぁ。

    梨枝の性格には、共感するところもいくつかあった。
    人の顔色を窺ったり、人のチェックをもらわないと安心できなかったり、自分がやらねばいけないところは腹をくくったり・・・。
    母からの思いも、それを拒否しきれない思いも、わかるなぁー、考えさせられるなぁーと。
    これは女性らしい考え方なのかもしれない。男性はどう読むのだろう。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。

    【キーワード】
    文庫・女性・仕事


    +++1

  • 題名に惹かれる。そして、特に期待していなかったのに、なかなかよかったw
    主人公のような女の人には、正直イライラするかも。
    三葉くんのような、ピッタリな男の子と出会えて本当によかった。
    まわりの人たちも、なんだかみんな一癖あって面倒くさいけど、人なんてみんな一皮むけばこんな感じなのかもしれない。
    ひとりではダメな感じでも、身近にいる人と補い合って生きていけるなら、それも有りかなと思う。

  • 読んでいる間、ぞわぞわした。
    身に覚えのある感覚。抱く不満と不快感と苛立ちと恐怖。

    この手の話の大団円は、そんなはずないと思えてしまう。この作品の結末にもそんなはずないと思う部分もある。けれど、素直に、こういう結末でよかったなと思う。

    読んでいると目をそらしたくなる。否定したかったり手を差し伸べたくなる。だからこそ、ちゃんと手元に置いておきたいと思う。

  • 暗いは暗いでもあまり好きじゃない類だったのとテーマが苦手だったけど、「むりやり言うと、こんがらがって他のものになっちゃうから、言わなくていいよ」っていう台詞は良い。まさしくだなと思った。

  • 私が抱えてる不安がそのまま書いてある部分がたくさんあった。そのままの自分を誉めてもらった経験が少ないと、不安になるんだよ

  • 女性が抱える不安の全てを綺麗にまとめて描いてくれた。大好きとしか言いようがない。

  • 「あのひとは蜘蛛を潰せない」彩瀬まる
    28歳でドラッグストア店長の梨枝は、過保護で厳しい母親との二人暮らしで男性経験も無い。「みっともない」ことを極端に嫌う母親の影響で波風を立てない、人と争わないことばかりに気を使って生きてきた梨枝は、自分に自信が無く決めることが大の苦手である。そんなある日、梨枝は20歳のアルバイト学生と恋に落ち、初めて家を出ることに…。
    あらすじを書いてみると恋愛が主眼の話のようにみえるけど、母親と娘の葛藤、母親の呪縛からの自立が大きなテーマ。とにかく嫌われたくない、そんな思いに縛られ、梨枝、梨枝の母親、義姉それぞれが言いたいことが言えずに少しずつ壊れていってしまう。たとえ恋人同士でも自分の思いを正確に相手に伝えるのは難しいし面倒くさい。それでも思い切って相手の懐に飛び込んだとき、歪んでチグハグだったものが少しずつ整っていく。
    蜘蛛を潰せないのは優しさなのか弱さなのか、湿気を帯びた空気が段々カラッとしていくような読後感を楽しめる一冊です(^o^)

  • 小さい頃の他の人からすると小さなことが自分にとっては大きな問題としてのしかかる。
    だけど、そのことも一緒なら乗りこえられることもある。
    嘘に浸っているうちに自分でも何が本当かわからなくなる。
    そういう時に縋ってしまうのは小さい頃から言われた、感じたある種の呪縛のようなもの。
    そんな自分を三葉くんの自信過剰な雰囲気と冷たさに憧れを感じ執着するような気がする。
    だけどそこに垣間見える三葉くんの冷たさや意地の悪さは姉への執着と自分の弱さを孕んだ闇だと思う。
    だからこそ自分は姉とは違うと言われたことで三葉くん自身も解放されたのかもしれない。

  • 巻末の解説で本書の魅力は大方語り尽くされている観があるが、端的に言えば「三十路手前のパラサイトシングル女性が、その現状を打破していく物語」だ。一見退屈そうに見えるストーリーだが比喩の仕方がいちいち新鮮で、毎度驚かされるし、度々描かれる人間関係における難しさに頷かずにはいられなかった。

  • タイトル、テーマ、比喩表現と絶妙ですごいなぁ、と。
    彩瀬さん好きな女の子が、絶妙なビルドゥングスロマンと言っていたが、確かに現代的な教養小説ってのがピッタリくるかも。
    山本文緒さんが、演歌とは違ったウェットさと表現してたけど、確かに。演歌な書き手の桜木紫乃さんと比べると面白い。どちらも女を描いてながら、方向性が全く違う。ただ、彩瀬さんは男性読者はつきにくそうだなぁとも思う。

  • 面白かった
    主人公が急激に成長していったね

  • タイトルや著者名から軽い小説だと思っていたのですが、読んでみればズッシリとした重みを感じる本でした。
    誰も悪くはないのに壊れかかる家族と男女の仲。それがちょっとしたはずみで修復されていく。この流れがわざとらしくなくて見事です。
    でもそれも一時的なものなのでしょうね。またいつか壊れ始める。さて次はどうなるのかな。そんな事を考えさせられた本でした。

全58件中 1 - 25件を表示

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)の単行本

あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)のKindle版

ツイートする