杉原千畝: 情報に賭けた外交官 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101200668

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦下、ユダヤ難民に日本のヴィザを発給し、六千人の命を救った外交官・杉原千畝。彼はなぜ、政府の命令に背いて「命のヴィザ」を出し続けることができたのか――。そこには、世界情勢を読み解き、綱渡りの駆け引きに挑む〈情報のプロフェッショナル〉の素顔が隠されていた。〈外務省のトレジャー・ハンター〉が放つ、渾身のノンフィクション!『諜報の天才 杉原千畝』改題。

感想・レビュー・書評

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  • #880「杉原千畝 情熱に賭けた外交官」
     インテリジェンス・オフィサーとしての杉原千畝に側面を当てたノンフィクションであります。故に彼の経歴を時系列に述べた評伝的書物とは違ひ、著者が夥しい量の資料・史料と対峙した結果の成果が如実に表れてゐる訳です。
     無論望む資料が総て探せる事はないので、どうしても「ここから先は自分の推測である」といふ面もあります。この人の研究はまだ道半ばなのでせうか。
     しかし、昨今のロシアによるウクライナ進攻を見るに、この国(ソ連時代含む)のやり口はまるで変つてゐないなあといふのが率直な感想であります。

  • 杉原發給許多猶太人通過日本的簽證,但戰後依然被迫離開公職,令人唏噓(可能未有一定資力的猶太人大量在敦賀登陸,可想而見此舉是多麼地引起其他官僚的反感,而他的行為應該就完完全全被看作是一個"迷惑"而已)。這本書雖然也提到一部份杉原作為俄語專家、諜報外交官優秀的一面,甚至在1941年更早探出德國早就想對蘇聯動手,然而卻沒有引起任何重視與討論。杉原所救出的猶太人在各地生根開葉,然而他的公職生涯應該沒受到應有的尊重。想到杉原的心中,不禁覺得無比心痛。戰後過了很久他終於獲得猶太人的表彰,然而看他低調的行事可以知道這無法減少他生命中遭他人白眼的"迷惑"的苦痛與良心(儘管是人道行為但她清楚意識到給他人帶來困擾)的撕扯。一個偉大的生命鬱鬱不得志,終其一生卻必須縮起身子低調地生活,究竟老天的安排是為什麼呢。

    情報人員也是為國家捐軀與付出,作者卻必須在一開始打預防針擔心讀者觀感不佳,這點讓人非常訝異。可見某種將諜報視為不淨的意識還在底流中吧。

  • 面白い。

    展示を見て、気になったので買う。
    ヒューマニスト杉原というのは否定しないのだけど、
    それを外交官という枠組みでやり切った(お咎めはなかった)ところが最大の見所。

    実際にはめちゃくちゃ優秀なインテリジェントオフィサーだからこそ、出来たのだしやれたともいえる。またそのヴィザで動けるようにした人もいたことは忘れてはいけないと。

    得たものとしては、単にヒューマニスト=人類愛を説くような、イメージはやはりそこまでなくて、分かりやすいのだけど。そうでなく、緻密に計算しているというところで、本音や本心は、ユダヤ民族を敵に回して(しかもそれは先祖代々)国益になるのか、否、ならないであろうというところだったと言える。

    ヴィザ発給を求めた人全員が出せたかは不明だし、日本側では対応に困っているというところは書かれているが、その件に関して詳細はそれほどないところ。

    本書はとくに若い人に読んで欲しいとあり、杉原千畝という人を知らないのであれば必読というところで。

  • 「また、桜の国で」を読んだあと
    同時期の杉原千畝を知りたいな、、と思って購入。

    人道家というよりは外交官・情報士官としての内容。
    隙の無い仕事ぶりがわかります。
    こんだけ語学を得意になりたいなあ。。。

  • 2023年8月読了。

  • ナチスの迫害から逃すために、独断でビザを大量に発行し、6000人ものユダヤ人系難民を救った外交官、杉原千畝。上の意見にとらわれず、自分の判断で、目の前の困っている人たちのために最大限できる事を尽くす勇敢な姿勢がかっこいい。杉原さんの業績は今もなお日本とリトアニアの架け橋となっている。本人の死後も日本とリトアニアの友好関係を繋いでいるという事実に外交が持つ大きな可能性を感じた。

    杉原さんが行ったインテリジェンス活動は人々に平和と秩序をもたらすための活動であり、人間同士の深い信頼関係に基礎を置いていた。特に良質なインテリジェンス活動ほど、「信義」が必要である。先方との信頼関係にもとづき、情報を「ギブアンドテイク」で手に入れるのが常道であり、強引に情報を奪うようなことをすれば、結局信頼を損ない、その後の活動が困難となる。それに対し、「謀略」は信義ではなく金銭などの具体的な「見返り」によって成立する。

    国同士の関係は人と人との関係で構築されていることを改めて実感した。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/743362

  • 「外交官=インテリジェンス・オフィサー=情報士官」
    と本書にはある。
    情報が何よりも大切である、と著者は言いたいのだと思う。
    ただ私はヨーロッパに行った事が無く、
    またヨーロッパの地理も歴史も理解できていないので
    内容はほとんど理解できなかった。
    いつかヨーロッパ中を旅行し、歴史系の博物館を見て回り、
    第一次世界大戦や第二次世界大戦の遺跡を見て回り、
    ヨーロッパの近現代史を理解したい。

  • 第二次世界大戦下、ユダヤ難民に日本のヴィザを発給し、六千人の命を救った外交官・杉原千畝。彼はなぜ、政府の命令に背いて「命のヴィザ」を出し続けることができたのか――。そこには、世界情勢を読み解き、綱渡りの駆け引きに挑む“情報のプロフェッショナル”の素顔が隠されていた。
    なぜ杉原千畝に興味を持ったのか契機を忘れましたが、誰かがおすすめしていて買ったような。随分長いこと積んだままになっていました。命のヴィザを発行しユダヤ人を救った人物として非常に有名な杉原の伝記ですが、話はヴィザよりもソ連に対する諜報活動が主なテーマであり、いかにして彼が有益な情報を得ていたかということが解説されます。しかし第二次世界大戦前後という時代やそもそも内密な情報のやり取りになるため資料が少ないこともあり、データをつなぎ合わせて筆者が組み立てた仮説になりがちです。とはいえ、全体的に冗長なところはありますが杉原の誇りや考え方が伝わってくる良書でした。

  • 杉原千畝の生涯を現存する書籍や伝聞から迫っていく歴史物。ただ歴史の教科書のように何年何月に何があったかを時系列に追っていくのではなく、証拠となるものから推測される理由を語られる。やられていたことは分かるが、本人の感情や心理はあまり描かれていない。時代の背景となる世界史の知識がもう少しあればと思った。

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著者プロフィール

2022年2月現在
外務省外交史料館職員

「2022年 『命のビザ 評伝・杉原千畝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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