パンドラの鳥籠: 毒草師 (新潮文庫)

  • 59人登録
  • 3.32評価
    • (0)
    • (8)
    • (9)
    • (2)
    • (0)
  • 3レビュー
著者 : 高田崇史
  • 新潮社 (2015年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101200712

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

パンドラの鳥籠: 毒草師 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 御名形史紋が謎を解く「毒草師」シリーズ第三作目です。
    二作目の「白蛇の洗礼」はまだ読んでいません。
    買うタイミングを逃したので、本屋さんで見つかりません。

    「白蛇」でも、西田くんは酷い目に遭ったようですね。
    当作では御名形の助手として神凪百合という女性が登場していますが、「白蛇」では事件の関係者だったようです。
    毒に耐性があるので、当作では彼女にしか出来ない役目をキッチリ果たしています。

    当作のテーマは「浦島太郎」です。
    「箱を開けると悲惨な目に遭う」という共通点で、「パンドラ」のエピソードも出てきます。
    当作に登場する鬼村警部補は伝承に興味のある方なので、御名形の講釈を好意的に聞いていました。
    ただ、筆記係の刑事さんにとっては苦行だったろうな。

    西田は、知り合いの医者・一ノ関先生経由で相談事を持ち掛けられる。
    女医・星川涼花の叔父が行方不明になったので探して欲しいようだ。
    叔父・田所は、「魔女の薬草」を探す目的で「魔女の鳥籠」と呼ばれている廃墟に向かっていた。
    「魔女の鳥籠」がある場所は人里から離れていて、深い竹林がある。
    「魔女の鳥籠」には魔女・祝が住んでいて、「人間の生き血を吸う」という噂があった。
    しかも、竹林には首なし死体が転がっていたり老人のように白髪になった若者の死体が発見されたりしていた。
    薬草絡みということと一ノ関先生の指名があったということで、西田は御名形を頼って田所を探そうとする。

    当作は、「魔女の鳥籠」に入り込んだ人物達の視点と西田くんの視点で進行しています。
    事件の方は、「物語のような魔法は起こらないだろう」と考えれば、「幻覚を見せられているんだな」と思いました。
    お香のような匂いが強調されているので、幻覚を起こさせている原因はお香だろうということは誰でも気付くでしょう。
    祝の正体が涼花なのか姉の鈴香なのかは分りませんでしたが。

    「魔女の鳥籠」や祝の正体は、涼花の実家・井筒家の宝を守る為のものでした。
    井筒家の長女が斎宮のような役目を務めていて、誰も近付けないように建物の中を毒で満たしていたそうです。
    祝となった鈴香には毒の耐性がありますが、迷い込んだ男達は毒の効果で快楽と恐怖を味わいます。

    首なし死体の正体は、「ミイラは薬になる」と信じていた井筒家の考えによるものでした。
    もしかしたら、被害者達が食べた料理は人肉だった可能性もあるんですよね。
    白髪になった若者は毒の影響によるもので、彼は涼花の不倫相手だったそうです。

    浦島太郎と乙姫の正体は何か。
    玉手箱の中に入っていたものは何か。
    何故、乙姫は浦島太郎に「開けてはいけない」玉手箱を渡したのか。
    以上の謎が当作の肝となっています。

    浦島太郎は猿田彦のような役目を務めていて、宿禰でもあった。
    乙姫は豊受大神であり、神功皇后であり、水神でもあった。
    そして、蘇我家と推古天皇を表してもいた。

    井筒家に伝わる玉匣の中に入っていたのは、乙姫の残した髪と亀の甲羅でした。
    もしこれらをDNA鑑定して推古天皇のものだと分かれば、歴史的に大きな意味があるそうです。
    天皇が蘇我家の血を引いていることが明らかになると、藤原家にとってはマズいことになります。
    井筒家は浦島太郎の家系を裏切った一族で、代償として玉匣を秘密裡に守る役目を負っていたそうです。
    井筒家の当主である涼花の父と鈴香は死んでしまいますが、涼花は祝となって、玉匣と慕っていた叔父の首を抱えてさすらうことになります。

    当作でも、西田くんは女性に惑わされて生命的ピンチに陥ります。
    御名形が前以て「『魔女の鳥籠』は毒に満ちているから、百合に様子見して貰う」と説明しておけば、西田くんは危険な目に遭わなかったと思います。
    西田くんはヒロインポジションの人ですよね。
    ミステリという構成上、ヒロインがピンチになるのは仕方ないんですけどね(笑)
    西田くんは百合さんに淡い思いを寄せているようですが、百合さんは御名形の方が好きっぽいなあ。

    浦島太郎と乙姫は七夕にも関連しているようで、御名形は「後で話す」と言っています。
    文庫本の帯に「七夕の雨闇」が紹介されているので、「毒草師」シリーズはまだまだ続きそうですね。

  • 今回の話は、いつもとはちょっと違っていて
    謎解きというよりは、浦島太郎伝説の蘊蓄の嵐ってところかしら?
    歴史は時の権力者によって、都合よく作られているってのは
    とっても納得いったわ。
    どうしても残したい事は、関係者だけがわかるように
    民話や伝説といったものに形を変えて、受け継がれる。
    まさに歴史民俗ミステリ!
    特に深いと思ったのが、浦島太郎の「玉手箱」と
    ギリシャ神話「パンドラの箱」だったりする。
    渡す側の意識というのを考えたことがなかったけど
    深いわぁ~!!大満足です。

  • 昔話に隠れている真実が、これでもかと語られて見えてくる。そこまで読むのか‥‥参ってしまう。事件に至る背景がここまで長い時間の果てとはムムム

全3件中 1 - 3件を表示

パンドラの鳥籠: 毒草師 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

パンドラの鳥籠: 毒草師 (新潮文庫)の作品紹介

丹後半島で二年前、生薬学者が姿を消した。地域には三百歳の魔女が棲むといわれる洋館があり、首なし死体も発見されている。編集者・西田真規は、薬学の鬼才にして唯我独尊博覧強記の毒草師・御名形史紋、その助手の神凪百合と共に謎を追う。浦島太郎の「玉手箱」とギリシャ神話「パンドラの箱」がリンクする時、謎に繋がる一筋の道が現れる。知的スリルに満ちた歴史民俗ミステリ。

パンドラの鳥籠: 毒草師 (新潮文庫)はこんな本です

ツイートする