カエルの楽園 (新潮文庫)

  • 457人登録
  • 3.70評価
    • (20)
    • (55)
    • (38)
    • (8)
    • (1)
  • 48レビュー
著者 : 百田尚樹
  • 新潮社 (2017年8月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101201924

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
伊坂 幸太郎
村田 沙耶香
有効な右矢印 無効な右矢印

カエルの楽園 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 百田尚樹『カエルの楽園』新潮文庫。

    久し振りに読む百田尚樹。何とあからさまな日本の国政批判的な小説を創作したものだ。面白いことは面白いが、内容については両手を挙げて共感できるものではなかった。一種の洗脳小説と言っても過言ではない。

    楽園のナパージュはジャパン、すなわち日本で、三戒は日本国憲法の第九条か。さすがに、ここまであからさまだと下品な感じがする。もう少しオブラートに包むなり、婉曲的な表現であれば、受け入れられる可能性があったかも知れない。

    平和を求め、ナパージュにたどり着いたアマガエルのソクラテスとロベルトは難民なのだろう。ヌマガエルは在日韓国人で、スチームボートがアメリカなんだろうな。

  •  世の中には二元論で割り切れないことばかりなのに、政治には右か左かしかないようだ。
     それ以外の選択肢は、もっと右か、もっと左か。
     本書は右翼視点の現代日本の寓話化である。


     様々な国で迫害を受けてきたアマガエルの二匹がたどり着いたのは、三戒を堅持するツチガエルの国ナパージュだった。 
    「カエルを信じろ。カエルと争うな。争うための力を持つな」
     ツチガエルたちは三戒がナパージュを守っていると信じている。
     
     しかしナパージュに危機が迫ってくる。
     国境の崖の下からウシガエルが登ってきた。
     三戒が国を守る。
     声高な主張にもかかわらず、ウシガエルたちは次第にナパージュの中央に侵入してくる。

     
     つまり、憲法九条をめぐる現代日本の縮図である。
     憲法九条を固辞するがゆえに、中国が攻めてくるというストーリーだ。

     憲法改正しないと日本は武力攻撃されても反撃することができない。それは分かる。
     戦後の憲法が現実に即していない部分もあるから改正は必要だろうとは思うが、そう言うと左翼からは「そんなに戦争がしたいのか!」と右翼のレッテルを貼られる。

     でも、憲法改正は国全体のことだ。
     しっかり国民の深い理解を得ようと説明がなされないまままに憲法改正を急ぐのは疑問だが、そう言うと右翼からは「今すぐ中国が攻めてきて占領されてもいいのか!」と左翼のレッテルを貼られる。

     施策に対して賛成か反対かしかない。
     反対するために存在するだけの左翼、危機を扇動する右翼。
     もし日本がカエルの国だったら、俺は大きい声の聞こえないところで冬眠していたい。 

  • カエルの楽園

    なかなか強烈なメッセージ性

    相手国に都合がいいことばっかり言ってると
    その人は 相手国から支援される

    ここがかなり味噌

    あと、自分が正しいことをするためになにをしてもというのは、、、、、

    なんにせよ、これを読んだ後に 朝日新聞でバイトするのは不思議

    くわえて、共産党などが
    国民と共闘
    と言っているが、国民の多くが支持しているのが与党である。
    あきらかに、共産党のスタイルとデイブレイク的なもの、ちかい

  •  祖国を追われ旅するアマガエル、ソクラテスとロベルト。彼らが行き着いたのはツチガエルたちが平和に暮らすナパージュという楽園だった。その国のカエルたちは「三戒」によって平和がもたらされていると信じ、「謝りソング」を歌い続ける。しかしウシガエルの侵略によりナパージュの平和が揺らぎ始める。そしてソクラテスたちはこの国を裏で守るスチームボートという鷲の存在を知る。ナパージュを平和たらしめているものは本当に「三戒」なのか。ツチガエルたちはどんな選択をすべきなのか。
     日本で集団的自衛権が議論され、安全保障関連法が成立した2015年9月、その半年後に刊行された百田尚樹氏による国家(国民?)風刺現代寓話小説。

     
    「ナパージュ」は日本
    「ツチガエル」は日本人
    ソクラテスたち「アマガエル」は母国を追われた難民
    「ウシガエル」は中国人
    「スチームボート」はアメリカ
    「ハンニバル3兄弟」は陸海空の自衛隊
    「エンエン」という祖国を持ちながらナパージュに住みつく「ヌマガエル」は日系韓国・朝鮮人
    人々を扇動する「デイブレイク」は朝日新聞
    皮肉たっぷりの「ハンドレット」は著者百田尚樹自身
    三戒の破棄を求める元老「プロメテウス」は安倍首相
    そして「三戒」とは日本の憲法9条
    スチームボートによるツチガエル大量殺戮は原爆投下を意味する。



    「よくわからないけど――」ソクラテスは言いました。「三戒は宗教みたいなものだったんじゃないかな。ナパージュのカエルたちは殉教したんだよ」
    「信仰に殉じたカエルたちは、幸せだったのか」
    「わからない。ロベルトはどう思う?」
     ロベルトは黙って首を横に振りました。



     著者の言動や文章の書きぶりから、皮肉たっぷりに現代日本を風刺しているのは誰の眼にも明らかである。その前提で一度目はそれぞれが意味するものを何となく意識しながら読み、読後にひとつひとつが指し示すものを細かく考えてみる。そして再読してみると著者の皮肉と思想をもろに受けとることができる。
     明らかに政権寄り、9条改正の立場を前面に押し出した本書。ただウシガエルがあまりにも残忍な生物に描かれており、これをそのまま現代世界情勢に当てはめて考えることはできない。そんなことしたら、更なる溝を生み出すだけだ。著者は本書によって読者を説得したいわけではなさそうで、ただ単に保守層が抱いている矛盾に憤りを感じ、鬱憤晴らしのために書いた、という程度のものと受け取るのが良いように思う。まぁ、ナパージュ(日本)はスチームボート(米)によって守られているから平和が保たれているというのは、忘れてはならない大切なことだと私も思う…。

  • ナパージュの三戒を信じて疑わないカエルたちは、全く理解できなかったけど、同じ状況にいるわたしたち。
    冷静に真剣に見ればわかることも、与えられた情報に縛られ、いつの間にかフラットではなくなっている…
    それにも気づかない人たち…
    恐ろしい…

  • なかなか鋭く突っ込んだ内容でしたね。
    一度読んで、登場するカエルの実在人物等を知って、もう一度読みました。

  • 文庫版になったので、購入して読んでみる。
    読みやすい小説であっという間に読破。
    日本で置かれている危機や現状をカエルたちの寓話で
    端的に伝えている。
    ただ現実はカエルほど単純にはいかないと思うけど。
    今の若い世代がこの物語を読んでどう感じるのか
    興味がある。
    櫻井よしこ氏の文庫解説あり

  • カエルの国。見かけは楽園、その実は‥‥。住んでるカエルたちが楽しいならいいのかなぁ。私がその一員だったら??謝り倒して平和を得る、ごめんなさいで済むならすぐに謝っちゃうけど、それで済まないなら怒ったり手を出したりすることも必要だよね。日本の国が国として一つになるために戦があったように、地球が星として一つになるためには戦が避けられないかも。他の星からの侵略とかがあれば話して一つになれるかもしれないけどね。

    それにしてもソクラテスくんはずーっと「分からない」ままだったね。

  • 日本の状況をわかりやす~くまとめた寓話
    戦争にはいきたくないけど、
    他から仕掛けられたときどうするかって話。
    北朝鮮、中国がいつISみたいなアホなことしかけるか、
    または 仕掛けないのか、未来のことはわからない。
    戦争にしないためには、どうすればいいか、
    そんなことをタブーなしに考えるのに、
    必要な一冊。

  • 久々の良書。続きが気になって仕方なかった。信仰に関して考えさせられる箇所が多くあった。いくら端から見ておかしいと思える考えでも、本人が正しいと認識しているのであれば、それで構わない。しかし、それを他者に押し付けるのには疑問を感じる。そのような違和感を纏いながら進んでいくストーリーに、軽く鳥肌が立ちました。

  •  カエルの世界を舞台にし、誰でも気軽に読める寓話の形をとりながら、日本国の本質を鋭くえぐり出した警世の書。

     読むとこのカエルの楽園が今の日本で、その楽園を取り巻くウシガエルたちやワシが日本の外交情勢を象徴していることがすぐにわかり、カエルたちが仮初めの平和に甘んじていることが感じられました。

     このアジア情勢が緊迫している今こそ、本当の平和を築くために日本がしなければならないことを真剣に考えていかなければならないと思いました。

     おりしも間近に総選挙が迫っており、この世界のカエルたちのようにマスコミに踊らされることなく一人一人が答えを出していくことが大切だと感じました。

     そして、このお話のような結末にだけはならないように。

  • ぜひ読んでいただきたいのと同時に、自身の政治思想が左右どちらであっても胸糞が悪くなることにご注意いただきたい。左なら三戒を守らないハンニバル兄弟が許せないだろうし、右なら日本の現状とそれを体現した「平和」の薄ら寒さに改めて愕然とさせられるだろう。

  • おおお…これは…すごい。バスで読みながら顔が半笑いになるのを止めるのが大変だった。ここまで寓話として書いていいのか。百田さんが心配になるレベルだ。
    内容については、上司が単行本を読んだ際、盛大にネタバレしてくれたので分かっていたけど(笑)、読むとすごい。まさに今の日本。平和ボケというか…。
    もしかしたら明日日本のどこかにミサイルが落ちるかもしれないという状況にあっても、どこか現実感がないし。
    この本はあまり書店で見ないという声もあるけど、多くの人に読んでもらえたらな、と思う。

ツイートする