爪と目 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 596
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101202716

作品紹介・あらすじ

あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけて――三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させる恐怖作(ホラー)。芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞受賞作を含む3作品収録
    表題作である受賞作は3歳の子供視点で描かれる
    義母(予定)のお話でした
    ちょっと読みにくさを感じつつもホラーな内容で
    まぁまぁ楽しめたかなと
    他2作もホラー系でした
    機会があればほかの作品も読んでみたいかもです

  • 久しぶりに、何のためでもなく、「ただ活字を読む」という欲のためだけに読み終えました。時間に追われているときに読む、良質な短篇はこの上ない至福ですが。ああ怖かった。
    帯の「史上最も怖い」という言葉は的を得ているからこそ、究極のネタバレというべきか、予感を促しすぎる意味で読者からすれば勿体無いような気もします。
    事実、悍ましいと感じる要素が沢山詰まっています。具体的な言葉で分析し始めようものなら自分の世界にピキッとひびが入ってしまいそうな感のある、人の奥底にある不気味な禁に触れてしまっている作品です。
    語ることの出来る要素で面白みを感じたのは、やはり「目」の役割です。解説にあった、動物の目の発達の過程の説明を含めて、考えさせられるところ、日頃考えることと繋がるところがありました。物事から恣意的に目を逸らせば、人はその物事を無かったことに出来て、ある種の独裁者になれるということ。でも、、、ということ。「目を閉じれば同じ」という言葉が出てくる宇多田ヒカルさんの歌をふと思い出しました。人は疲れてしまうと思考を停止して、目を閉じて、次に開く頃には状況が変わっていることを期待したりするものです。それは必ずしも現実逃避を示唆しているのではなくて、日常における睡眠も同じでしょう。でも、、、がいっぱいあります。自分の住んでいる世界に見たいものと見たくないものがあるということと、目が開いている限り物事を見続けなければならないこと、をどう理解すればよいのでしょう。自分で一生付き合って戦うしかないのでしょうけれど、戦うのに疲れてしまった人は他の存在を精神で殺してしまうのでしょう。私は目が見えることは尊いと思っていて失いたくありません。それでも、一見「できる」という良い機能に思われるものが、「できることをしない」という選択肢を危険を孕んでいるという事実は心に留めておくべきだと思っています。
    久しぶりに、心の向くままに目的もなく言葉を綴った気がします。少し気持ちが休まったのでこの辺りで。

  • 純文学ホラーという表現を予備知識に読んだ。主人公からみた、父の再婚相手をあなたと呼ぶ二人称小説で当時を振り返りながら話は進む。井戸川射子の、この世の喜びよもそうだが、二人称は苦手である。
    頭の中がこんがらがってきて、誰の誰目線?ってなってしまう。終始不気味であり確かにゾッとする何かがある。

  • 芥川賞を受賞した表題作、3歳の女の子がこんなに理路整然とした語り手になれるわけないやんけ、と思いながら読んでいたのですが、ラスト近くにちゃんとからくりが書いてありました。すごく目立たないところに。この点もそうなのですが、ミスリードを誘うような書き方もされていたりして、これまで読んだ藤野さんの作品と比べてかなり技巧に凝っているなあという印象を受けました。
    一方で「いやしい鳥」で描かれていたような訳の分からないエネルギー・勢いのようなものはあまり感じられず、そのあたりに魅力を感じていた自分にとってはちょっと肩透かしをくったような読後感でした。いや、もちろん上手いんですよすごく。特にラスト3行なんかはかなり印象に残る箇所ではあるのですが、これを怖いかっていうとちょっと違うような気もします。そういう意味では玄人向けの作品と言えるのかなあと。もちろん芥川賞受賞には何の文句もありません。

  • 「爪と目」こういう作品が芥川賞に求めてる地獄だなあ
    「しょう子さんが忘れていること」いや怖いんだけど。37歳の娘の殴りたくなる感いいね
    「ちびっこ広場」これは分かりやすいですね

  • この終始不気味な怖さはなんだろうか

  • "純文学も楽しめる私"を作り上げたかったのに、挫折しました。こーゆう意味がわからないもの、やっぱりダメなんだなぁと。一作目が終わると同時に切り上げました。残念。自分に。他の方の感想を読んで出直します。

  • ちびっこ広場しか意味がわからなかった。
    怖かった。
    一人称とはこういう書き方もあるのだなと楽しんで読めた。

  • 連れ子のわたし視点で語っているが、幼稚園にいるはずの時間帯までも把握してしまっている。。何故。怖いは怖い。それより不気味さが勝つ。眼ん玉はしっかりと見ています。 

    2話のしょうこさん、どういうこと?(・o・)だれ?川端くん?

    3話子供の頃よくあった似たような噂話。なのにゾクゾクする。ちびっこ広場に少女の霊がいないと証明できるといいですね、お母さん。

  • 意匠を凝らしていると余程のモノでないと結構辛いですが、本作まさにそれ。
    何処か書き手が酔っている感じがするし、そもそも怖くないというか嫌だが目を逸らせない小説を読まされていると思えなかったなぁ。悪意がストーリーとしての悪意に昇華していないというんでしょうか?

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著者プロフィール

藤野可織(ふじの・かおり)
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』でフラウ文芸大賞を受賞。著書に『ファイナルガール』『ドレス』『ピエタとトランジ』『私は幽霊を見ない』など。

「2022年 『青木きららのちょっとした冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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