大阪ラビリンス (新潮文庫 あ 46-32)

制作 : 有栖川 有栖 
  • 新潮社
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本棚登録 : 169
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101204376

感想・レビュー・書評

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  • 『銀二貫』(高田郁著、2009)でなにわの商人魂に感涙して以来、大阪を舞台にした小説・時代小説を探してきた。
    『プリンセス・トヨトミ』もページをめくる手が止まらなかったけど、もっと小説に、大阪に、夢中になりたい。

    そんな中、本書の背表紙が目に留まる。
    相変わらず資料を見つけるのだけは得意である…
    見つけたは良いけど、またいつものパターンで飽きてこないか聊か不安に。

    要らぬ心配。

    ページをめくる手が止まらん。
    短編集だから飛び石をジャンプして渡ってくように次々と大阪にまつわるストーリーに出会うことができる。
    有栖川有栖氏(編者)のストーリーのチョイスがまた良いセンスしてる!!

    私のお気に入りは、
    ・面影双紙(横溝正史)
    ・川に消えた賊(有明夏夫)
    ・天幕と銀幕の見える場所(芦辺拓)

    さすがは横溝氏!
    どうにかなっちゃいそうな位、ゾクゾクの連続。ラストにとどめを刺された。
    有明氏の捕物帳はシリーズを通して読みたいと思った。新旧が混在した維新後が舞台になっている時点で面白いやろし面白いに決まっている。笑
    恐らく大阪が東京をしのぐマンモス都市だった頃が背景であろう芦辺氏によるミステリー。
    奇想天外でまさにラビリンスに相応しい世界観。「何でもあり」の大阪だから尚更奇々怪々に映って見える。

    なかなか良い出発点を見つけましたえー。

  • 大阪、いやナニワを舞台とした短編小説を集めたアンソロジー。
    世間で思われている「大阪」ではなく、自分たちも含めた土着関西の人たちが想う「古き良きナニワ」を感じる作品ばかりなのが、昭和生まれ大阪育ちの俺には実にうれしい。

    王道オダサクは外せない。宇野浩二、おせいさん、あたりは随想っぽい小説、小松左京の作品はプリンセストヨトミっぽい。その合間合間に横溝正史や芦辺祐、有明夏夫とミステリーを挟むのがアクセント。ミステリーに固執しない有栖川有栖のセンスの良さ。

    そして「ラビリンス」ときて大阪が舞台なら、絶対外してほしくない堀晃の「梅田地下オデッセイ」の存在感がすさまじい。1970年代のウメチカを舞台としたSF小説なのだが、古さを感じないアドベンチャーSFである。初読は大学時代なんだが、30年以上もたって、この本で再読できたことの喜び。今読んでも面白かったことの感動…

    大阪人じゃなくても楽しいと思うが、大阪人であればあるほど、このアンソロジーははまれるはず。
    ひな壇芸人の大阪弁に「こんなん、大阪ちゃうわ」と感じているクラシック関西人は、是非この本を読んでみてほしい。

  • 世代やジャンル、有名無名?まで幅広く編まれていてとてもおもしろかった。織田作之助もあれば梅田を舞台にしたSFなどもある。大阪好きな人にはオススメ。

  • 大阪をテーマにしたアンソロジー。編者の有栖川有栖は以前より「戯画化された大阪」でない「大阪」をテーマに据えたものを発表していたが、このアンソロジーでもそういった大阪の魅力や味わいを持たせた作品が集められています。「ボケとツッコミ」も「粉もん」も「でんがなまんがな」もない大阪を堪能できます。

    収録作家は宇野浩二、横溝正史、織田作之助、小松左京、堀晃、田辺聖子、有明夏夫、岩阪恵子、芦辺拓、柴崎友香。なるほどという顔ぶれで純文学からSF、ミステリとジャンルも多岐に富んでいます。
    お気に入りは「梅田地下オデッセイ」(堀晃)。梅田地下街に閉じ込められた人々の話。ただでさえ迷宮と呼ばれる地下街を舞台にし、パニックものにするのかと思いきや、思いも寄らぬ方向へと導かれます。

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