それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

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著者 : 加藤陽子
  • 新潮社 (2016年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101204963

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 我が国の現首相をはじめ政権与党議員の愚かさがよく理解出来る本。政治システムが機能不全となっている現在、懐古趣味の年寄りのポチに成り下がっている文科省の検定などやめて、本書を中学、高校の教科書に採用して欲しい。我が国の報道機関が取上げないため国内ではほとんど知られていないが、国際的に常識になりつつあるトランプの米国とその唯一の親友が率いる我が国の北朝鮮問題を契機とした世界的な孤立。そんなものに付き合わされたくないので、今回の総選挙では是非とも自民党を大敗させたいと思う。再読してさらに理解を深めたい。

  • 母が満州で生まれたこともあり、なぜ満州という国があったのか、なぜ日本は戦争をしたのか、なぜ人はそもそも戦争をするのか、とずっと疑問に思っていた。

    その答えを知ることができた(ような気がした)のは、今まで
    「NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか」「おじいちゃん戦争のことを教えて(中條高徳)」のふたつ。

    が、本書を読んだ上では、上の2つの情報はほんの一部でしかなかったことが分かる。

    NHKスペシャルでは、国民がマスコミに煽られて圧倒的に戦争を支持したのだ、とあった。しかし本書では、その国民がなぜ戦争を支持したのかを多角的に分析する ー 経済的な背景(国民の50%を超える農民の困窮)、選挙制度の問題(農民の意思が反映されない政治)、軍部の見立てと意図(ソ連攻防のための満州重視、軍隊を長期的に維持するために国民の支持の必要性、そのための選挙運動さながらの国民への満州の魅力アピール...)

    国民と経済と政治と軍部と世界の動きが、うねりを創るがごとく、戦争を生み出したのだという事実。

    私が幼い子供に満足な飯も与えられないような貧しい農家の主であったなら、やはり満州の侵略を支持しただろうか。

    1人の国民は、歴史に対して何をすることができるのだろう、と考え込んでしまう。

  • 著者は東京大学文学部、1930年代の外交、軍事を専門とする。


    国民の正当な要求を実現しうるシステムが機能不全に陥ると、国民に、本来見せてはならない夢を擬似的?見せることで国民の支持を獲得しようとする政治勢力が現れないとも限らない。著者は危惧する。



    南北戦争後のアメリカ、リンカーンの演説にも見られるように、膨大な戦死者が出たとき国家は新たな社会契約、すなわち広い意味での憲法が必要となる。それは日本国憲法制定の背景でもある。

    戦争の犠牲の大きさや総力戦という戦争の仕方それ自体が、戦争をしている国の社会を、内側から変容させざるを得ない。



    胡適の「日本切腹、中国介錯論」は初めて知った。
    胡適はすぐれた才能を蒋介石にかわれ、駐米国大使となった人で、1935年、「日本切腹、中国介錯論」を唱えた。

    中国に対して思うままにふるまう日本から中国をまもるには、米ソ両国と日本を戦わせるしかない。

    「アメリカとソビエトをこの問題に引き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、二、三年間、負け続けることだ」といったという。
    しかもこの時点で、太平洋戦争の流れを予言したかのように言い当てている。

    これには驚いた。
    胡適のような人材を登用する仕組みは、現在に至っても日本にはできていないように感じる。

  • 読もう読もうと思っていた本が文庫になっていたので購入。

    日清戦争から第二次世界大戦終戦まで約50年。高度成長から今まで位の時間で、制限選挙の制限度合いの変更であったり、世界恐慌や飢饉もあるなかでの政治について、中高生への講義。

    戦争というと構えてしまうけれど、政策の一つと考えると一大政策における首脳部の考え方と施策、そして国民への広報方法についての参考になる本。

    戦争が政治の延長なら、政治は国民の生活の延長で、生活は自身の安全保障とも捉えられるので、経済的な計算をせずに感情的なメリット・デメリットで捉えている国民も多かったようなのはBrexitとも同じ模様。

    失敗の本質的な意思決定についての話は少なめで、どちらかと言うと危機感から出てきている意思決定についてと、国民感情の醸成と言ってもいいような部分での話と、目的を決めたら突っ走れ的な高度成長期にも通じるお話。

    今も昔も中国はドイツと組むのだなとか、Windows、インターネット、スマホ、SNSのようなものが国民の意思決定に関係してきている以上、いろいろな国の社会秩序に影響を与えていると考えられるから、民主主義国家以外においてはルソーの言う戦争状態に当たるのでは?とか、政策のサンクコストは経済的なことだけでなく政策立案推進者の面子によるのであるなら、いかにしてそれを回避するべきかとか色々と考えさせられる内容だった。

    他界した切れ者の大叔父が陸軍士官学校出で、「金時計組は頭のレベルが違う」と言っていた。そのレベルの人間があのような施策なら、それをさせるのは信心的な思想であろうか。

  • だいぶ以前には結構勉強したつもりだったんですが、忘れてます(^_^;)
    戦争を中心とした日本の近代史。高校生への授業、という形で行われた講義をまとめたもの。
    こういう仕事をしている東大の教授もいるということに、少し安心します。
    未来の暗い、不安の多い時代(^_^;)

  • 一方的に日本を断罪するのでもなく、ひたすら日本は悪くないというのでもなく、ある程度世界史の中で近代日本の戦争を読み解いている。よほどのことがない限り、一方的に戦争が起こることはなく、相手方にも事情や思惑がある。それを理解したうえでなお、日本がしでかしたマイナス面から目を背けないことは大切だとわかる本だと思う。

    あと、中高校生向けの講座の書籍化だからこそ、非常にわかりやすい。入門書としてこういう種類はありだと思った。

    「なぜ」とタイトルにあるが明確な答えはない。それは読み手が考えることなんでしょう。要再読。

  • 日清戦争以降の日本の戦争の歴史について、戦争にいたる国内社会や諸外国の事情などを説明した本。

    高校生むけの講義録ということで、専門家以外にも読みやすい。

  • 文庫版で再読。
    歴史の見方を学べる一冊。一般に思われている人物評価はある時点・ある一面で語られているが、別の視点で見てみることで違った一面が伺え、人物に深みが出てくるのが面白い。

  • それでも日本人は戰爭を選んだ 加藤陽子 朝日出版

    大学教授が高校と中学の学生に5日間の集中授業をする
    その記録が414ページに及ぶこの本である

    国定教科書を離れて明治以降の日本が歩んだ史実について理解する
    それは日記や記録から紡ぎ出されたリアリティーのある内容だ
    教科書のように政府や官僚の思惑など挟む余地のない
    その時の生の声を綴り合せて読み解く作業である

    学問は情報であるから多くの個人的な史実を拾い出して
    分け隔てなく広げ責任を持って分析した中で
    客観性を汲み取るものであるほど信頼できるし
    ワクワクと自主的に参加して学ぶ環境をつくることができる

    ともかくこの記録は嘘だらけの一般常識から抜け出し
    視野を広く歴史を見直すチャンスをくれる
    この授業に参加した者達だけでなく
    読む者にとっても素晴らしい内容である

  • 「おわりに」にあった、「戦争の実態を抉る問いが適切に設定されて」いる本が云々、というくだりが、本編の読後には尚更印象的だった。

    先生も本編中で仰っているように、日本人には自国に対する卑屈な歴史観があるようで、一連の「戦争」を無暗に自虐的に、もしくは矢鱈と美化して語りたがる傾向があるように思う。そしてそのことに関しては、やはり違和感を禁じ得ない。親の代から既に「戦争」を知らない、我々の世代にとっては特に。
    でも同時に、敗戦に向かって狂信的に突き進んでいく日本や、歪んだ思想を正義と信じて疑わなかったドイツなんかに退廃的なロマンチシズムを感じてしまうのも事実ではある。

    この矛盾を踏まえたうえで、じゃあどのように「戦争」を捉えて行けばいいのか? のヒント(答えではなく、あくまでヒント)をもらえた気がする。小説や映画ではなくドキュメントとして、もっと戦争に関する本を読んでみなければ、と考えさせられた。

    それから、「戦争の最終目的は何か」という、序章で書かれていた質疑を、読後改めて思い返した。寧ろ戦慄した、というべきかも知れない。
    憲法改正が本気で語られ始めた今、この時に、この本を読めて良かったと思う。

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それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)の作品紹介

膨大な犠牲と反省を残しながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思い、なお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本近現代史。小林秀雄賞受賞。

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