花伽藍 (新潮文庫 な 41-3)

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  • 新潮社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205335

感想・レビュー・書評

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  • 中山可穂さんの本をおすすめされたので読んでみました。
    文章がすんなり入ってきて、自然と物語の中の空気感を感じられました。
    作品に漂うエロスとセンチメンタルは、「鬱くしい」という表現がぴったりだと思います。
    登場人物たちの狂おしいほどの恋慕が胸に迫りました。

  • 「燦雨」を読んで欲しい。短編集で、全て多かれ少なかれ女性同士の恋愛を描いた物で、勿論感情描写もそれに沿っているのですが、「燦雨」はそれを含みつつそれを超えて、老老介護の有り様、一つの到達点を書いていると思う。どうしようもなく心が震えた。他の短編も凄く凝縮されていて良いです。

  • 中山さんらしいお話だな、と。 全編とおして。

    女性って強いですね。
    どの話の登場人物も生き方がまっすぐで魅力的でした。
    中山さんの書く人物はそういう人が多いように感じます。

    最後のお話が印象的です。
    同性愛を扱ったお話は結構ありますが、その老後を書いたお話は珍しいな、と。
    リアリティを感じますね。

    性別問わず、あんなふうに好きな人と安らかに最期を迎えられるのが幸せなんでしょうね。

  • 「花伽藍」を始めとする5編からなる短編集。
    作者の短編を読むのはこれが初めてだった。(そして作者にとっても初めての短編集らしい。)
    正直言って、失礼ながら、こんな多彩な短編を書ける人だとは思っていなかった。
    今までの長編では、レズビアンの恋愛というモチーフを、言ってみれば正面からまともに書いていたが、この短編集ではそれを横から後ろから下から、時にはちょっと遠くから描いている、そんな感じだ。
    もし、中山可穂を読んでみたい、という人がいたら、これを一冊目にすすめてみたい。

  • 私の憧れる強さ、生き方が、此処にはある気がした。淡々として優しく、それでいて張り詰めた哀しさと、空気。

  • 短編集 どれも面白かったが、やはり一つ一つが短いゆえに物足りずそれぞれをもっと深く知りたかった 掘り下げてほしかった

    最後の作品が1番印象的であった 女性同士の恋愛の物語の多くは20〜30代の主人公だったり、10代の学生時代を描いたものが多いため、老後の話は新鮮であった。老老介護や家庭を持ってから自分のセクシャリティに気付くことなど現実的に直面する問題に触れていて非常に良かった。

  • 家の本棚にあったので、何となく手に取り読み始めましたが、5編全て女どうしの恋愛小説だなんて。本当は苦手なジャンルなんだけど、この作品は、人と人の繋がりや相手を思いやる気持ちなど、異性とか同性とか超越したような関係性が上手く描かれていて、私の対象は男性だけど、こういう感情あるわと思ったりしながら、気がつけば読了していました。

  • 2021/11/04-11/05

  • 女たちの恋の話。燃え上がるようなロマンスも、その先に続く日常も、そして別れも余すことなく描いている。どの作品も言葉運びが美しく、だからこそラストの余韻がどこまでも続いた。

  • 女性同士の恋愛を描いた5つの短編。可穂さんらしく、女性同士の恋愛のヒリヒリするような、物狂おしく、時にヒンヤリとした感情を巧みに描いていてぐっと引き付けられる。
    ただ、短編だからか、出会って一目でひかれあって、深い関係になり、別れて・・・という流れが単調で、ヒリヒリする前に話が終わった感があって残念。
    ただ、「花伽藍」のラストの桜の描写はさすがだし、最後に集録の「燦雨」は老女のビアンカップルを描いて目新しく、なかなか感じるところがあった。母がビアンで、自分が子供だったら、この状況は辛いだろうな~と思ったが、本人たちは幸せだったのだろうね。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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