花びらめくり (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205816

作品紹介・あらすじ

「誘ってきたのは奥さんです」「私は犯されました」「妻と部下は、悦びあっていました」。不貞の現場でせめぎ合う間男、妻、夫それぞれの“真相”(「藪の中の情事」)。あなたからの最後の贈り物は、左腕でした。私の体を知り尽くすその手は、何度でも快楽の波を呼び起こす(「片腕の恋人」)。物語に感応し溢れ出る一片、また一篇。団鬼六賞受賞作家があなたの欲望の蓋を開ける、艶やかな官能短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 5つの短編官能小説。
    それぞれが夏目漱石や芥川龍之介など昔の文豪が書いた小説を題材に書かれているとの事。
    官能小説はあまり読みませんがもっとドギツイ表現があると思っていました。
    通常の小説に少しエロい部分があるなぁくらいの感じ。
    もろに表現するよりわざと読み手に想像させるように書かれているように思います。
    個人的に昔の文豪と言われている方々の作品はあまり好きではないので原作を知らない分面白さが半減したのかな。
    花房花音さんの作品は初でしたが読みやすかったので他の作品も読んでみようと思います。

  • 2017年、18冊目は、主に隙間読書用にしていた花房観音の短編集。全5編収録。

    今回もタイトルだけ紹介。

    藪の中の情事
    片腕の恋人
    卍の女
    それからのこと
    仮面の記憶

    「文豪官能」というコトで、文豪の作品を現代設定の官能にアレンジ、remix。コレはコミック『谷崎万華鏡』のレビューでも記したが、自分、文学音痴の読書好き。したがって、元ネタはほぼ知らずに読みました。

    そんな、元ネタ知らずの文学音痴は「卍の女」が最も好み。次いで「それからのこと」以下は僅差で「藪の中の情事」「片腕の恋人」「仮面の記憶」の順かな。いずれにせよ、全5編、どれも及第点超え。

    花房観音の丁寧な作りと描写で、(短編のためもあるが、)少ない登場人物を鮮明に描けている。また、官能のバリエーションも豊富。ただし、個人的には、官能としては(解説にある「本来の効用」としては)「卍の女」位しか機能しなかった。隙間読書として、主に外で読んだからかもしれないが……。えっ?屋外で官能読むな、って。

  • 小説でエロを求めていたので、そんな私にはぴったりな作品だった。

    短篇なので、飽きがこなかった。

  • 日本文学の短編名作のパロディ集。
    と言って仕舞えばそれまでだが、それが「性」を題材にした官能小説的手法となると、これまたそれまでな感じがする。
    とはいえ、なんだろう、結構面白かった。
    短編集なので、読みやすいし、なによりライトな感じに収まっているところが、なんだか気に入ったようである。
    つまり、なんで面白かったのか、自分でもよくわからないらしい。

  • 花房観音さん、初読み作家です。「花びらめくり」(2016.10 文庫」を手にとりました。5話が収録されています。官能作品を書かれる女性作家なんですね。藪の中の情事、片腕の恋人の2編を読みました。官能作品、嫌いではないのですが、著者の作風は肌に合わない気がしました。

  • 女と男の心の中にあるものを自己中心的に表現しています。それぞれのもとになる近代文学読みたいと思います。

  • 「近代文学を代表する文豪たちが書いた名作を元に、私の妄想をくわえて官能小説にしたものを集めたのが本書である。」(あとがきより)

    芥川の「藪の中」、川端の「片腕」、谷崎の「卍」、漱石の「それから」、三島の「仮面の告白」に材を取った短篇集。

    *****
    「藪の中の情事」…夫の告白が最も新鮮だった。なぜなら、著者の作品に登場する男は女の手のひらの上で転がされているのが大半だが、この夫はそうではなく、冷淡で支配権を握っているから。

    「片腕の恋人」…ある意味最もロマンティックな一篇だが、片腕が万能すぎてついていけない。

    「卍の女」…京都弁がたまらない。ただ読むのではもったいなく、声に出して楽しみたい一篇(ただし小さな声で…)。

    「それからのこと」…本作の中で、最も女の本性を炙り出した一篇。著者は、恋という地獄に魅せられているのだと思っていたが、もっと言えば、男の激情を受け止める刹那の喜びに魅せられているのかもしれない。
    そして、「卍の女」もそうだが、夢のような喜びは程なく色褪せ、愚かな愛人を見下すところまで描かれるのがいい。
    著者の作品を読むと、自分の中にもそんな「女」が住んでいることに気付いて不安になるが、同時に満ち足りた幸福の中にいることにも気付いて安堵する。

    「仮面の記憶」…著者初めての男同士の物語。肉体の描写が目立ち、柏木の首から上が想像できないので、どうも現実味がない。
    *****

    それにしても、原典を1つも読んだことがないのが恥ずかしい。しかし今読むと、確実に本作に引きずられてしまうので、来年読もうかしら。

  • 官能短編集w
    『藪の中の情事』『片腕の恋人』『卍の女』『それからのこと』『仮面の記憶』・・・どっかで聞いたことのあるようなタイトルだなーと思っていたら「文豪官能」だとかw

    文豪の名作のエロい部分を膨らませて書いた妄想短編?w
    面白そうでしょ~?www
    っつっても、原作は読んでないので、探して読んでみなくちゃですね!w

    それにしても・・・『それからのこと』は別のアンソロジーで読んでるはずなのに、ぜんっぜん覚えてなかった・・・花房さん、読みすぎて麻痺しちゃってるのかしらん?www

  • 官能小説の短編集。『藪の中の情事』『片腕の恋人』『卍の女』『それからのこと』『仮面の記憶』の5編を収録。解説によれば、文豪官能と名付けて、文豪たちが描いた名作に官能のスパイスを加えた短編集のようだ。いずれの短編も文豪の名作に似たタイトルが付いているなと思ったが、その理由に納得。

    『藪の中の情事』。芥川龍之介の『藪の中』がモデル。夫の妻に手を出した部下、妻、夫の三人の証言が綴られ、炙り出されていく真実。

    『片腕の恋人』。川端康成の『片腕』がモデル。珍しく、ホラーの香りのする奇異に満ちた官能短編。

    他に谷崎潤一郎の『卍』をモデルにした『卍の女』、夏目漱石の『それから』をモデルにした『それからのこと』、三島由紀夫の『仮面の記憶』をモデルにした『仮面の告白』を収録。

  •  文学的な香りはするがそれでもいわゆる官能小説だろうか。昭和の文豪のような世界観や文体。江戸川乱歩や谷崎潤一郎を読んでいるような気分になる。妙に心に残る読み応えのある小説だった

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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