悟浄出立 (新潮文庫 ま 48-1)

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著者 : 万城目学
  • 新潮社 (2016年12月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101206615

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悟浄出立 (新潮文庫 ま 48-1)の感想・レビュー・書評

  • タイトルや装丁にある西遊記より、三国志や司馬遷の話のほうが、私は好きだ。

  • 西遊記や三国志、史記など中国の古典の登場人物を取り上げた短編集。
    それぞれの物語の一場面を切り取って描いている。
    話としてはソツなくまとまっている感じ。文章はとてもまじめ。いつもの万城目さん節はないのでそれを期待していると肩透かしを食う。

  • 中国古典から切り取られた5つの短編。万城目作品だけど、いつものおかしみとはちょっと味わいが違って、湿度のある憂いを感じる。
    「西遊記」を思い出そうとすると、昔読んだ絵本の絵と、『最遊記』の漫画とアニメ両方に、香取慎吾のドラマ版の映像がぐるぐるする。
    なので『悟浄出立』は表紙絵があってありがたかったです。脳内再生の補正が楽だった。(20170219)

  • 泣けた。
    中国史さっぱりわからないし、真・三国無双しかわからないし、でも泣けた。

    虞美人の話と司馬遷の話がいいなと思った。
    あとは、諸葛孔明に惚れそうになった。

    で、つられて中島敦を読んでみようと思いました。

  • 物語の登場人物のその後を想像することはままある。でも本作ほど掘り下げてられていると、只々凄いと感心してしまった。遊び心なんだろうけど、そんな万城目さんがますます好きになりました。
    あらすじ(背表紙より)
    おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。

  • さごじょーが主役の話?ん?と読み進むうち中国文学の奥深さにどんどん引き込まれてゆきまする。
    ちょっとがんばって三国志とか手に取ってみよかいなーと思った一冊

  • 再読。
    やっぱりすき。全部すきだけど、一番心に残ったのは「父司馬遷」かな。
    最後にこの話を持ってきたのがいいよね。
    中島敦を読み直したくなった。

  •  西遊記、三国志、史記といった中国ものからエピソードを切り取って著者独自の装飾をほどこした短編集。中島敦の類作に触発されたものということで、あの名作短編群の現代版とでもいうか。虞美人はあんなに強くはないだろうし、司馬遷はもう少し毅然としていてほしいとか、元ネタがあまりにも有名どころばかりなので、違和感を感じるところも無きにしも非ずだが、創作ということであればまあそれなりに仕上がっていておもしろい。司馬遷にはほんとに榮という娘がいたのだろうか。

  • 『バベル九朔』で躓いて、もう万城目作品は読まないかなと思っていたけど、短編なので読んでみた。

     万城目の得意分野とも言える小作品たちだろう。こういう既存の事実というか設定があり、そこから空想を膨らませたもののほうが彼の持ち味が出る。
     知らなかったが中国の歴史書にも造詣が深いとのことで、今回の5作品は『西遊記』『三国志』『史記』に原典を取っている。

     『史記』は挫折しているが、『西遊記』も『三国志』も万城目に負けず、いろいろ読んでいるので(特に『三国志』)、面白く読めたかな。
     『西遊記』はいわずもがな、あのTV番組の影響も少なからずあろう。万城目もおそらく。。。

     『悟浄出立』は、いつも三番手の悟浄が隊列の先頭に立つシーンがエンディングだ。でも、慣れない先頭、どこへ向かえばいいか分からない。
     すると悟空が言う;

    「馬鹿か、お前は」
    悟空は呆れた声とともに、手綱を引いて馬の動きを止めた。
    「こっちが西天ですよ、と書かれた立て札が、どこかに用意されているとでも思ったか?ただ、自分が行きたい方向に足を出しさえすればいいんだよ!」

     このシーンなんて、悟空の声、口調は間違いなく、堺正章の悟空だ(けっして香取慎吾などではない)。

     そんな原典の力を借りつつも、それぞれの登場人物の新たな一面を垣間見せるストーリーが見事だ。
     万城目の真骨頂、なかなか楽しめた。

  • 万城目学による、古典のリライト。
    高校の古典の時間に紹介されたら楽しいな。
    猪八戒の思慮深くなくなったところがとても楽しい。

  • 久々に面白い本が読めた。古典好きな中高生にお勧めかな。

  • 目次
    ・悟浄出立
    ・趙雲西航
    ・虞姫寂静
    ・法家孤憤
    ・父司馬遷

    中国古典の有名どころ、そこに書かれないままだった彼らの人生を、その節目を、間接照明のように映し出す。

    用兵の妙をして天界じゅうにその名を轟かせた、希代の名将と言われた猪八戒が、なぜ人間界に落とされ、あのようなぐうたらになったのか?

    いくさの極意は、指揮官の精神を討つこと、という八戒。
    “大将はどこまでも安全な場所で戦況をうかがい、そこで『ああ、これ以上続けられない』と思ったとき、いくさは終わるんだ”
    過程を無視して結果だけを求める八戒は、圧倒的に強かった。

    “世界をたった一つの枠組みで捉えようとする者がしばしば陥る、単純ゆえに排他的で、孤独ゆえに循環的な思考のなれの果てを。真理を得て、世界がいよいよ広がるはずが、逆に以前とは比較にならぬほど、狭隘かつ不愉快なものに成り下がってしまう不幸な現実を。”

    悟空も八戒も、旅を通して変わりつつある。
    ずっと傍観者であり続けた悟浄は―。

    「三国志」の趙雲、「項羽と劉邦」の虞美人。
    彼らの語られなかった心のうちは、万城目学の語りによって露わになる。
    というか、今まで語られていなかったことが不思議なくらい、当たり前のように沁みてくる。

    「法家孤憤」と「父司馬遷」
    帝の逆鱗に触れ、罪人となった司馬遷と、司馬遷によって歴史に名を残すことになった荊軻の、それぞれの物語。

    いつもの万城目学のような軽妙洒脱さは姿を消し、まっすぐな言葉で中国古典を綴る。
    「悟浄出立」と「父司馬遷」が特に気に入りました。

  • 歴史上の脇役を主役にした短編集。中国が舞台だが、少しばかり知識を持ってないと読みにくいかな。個人的には西遊記と趙雲のところは面白く読めた。

  • ★3.5

    私があまり三国志に詳しくないのもあってか、そこで止まってなかなか読み進めなかった。

    が、それ以外の4編は故事や物語として慣れ親しんだものばかりで、こんな話が出来るのかととても面白く読んだ。
    記録の中から遊びを見つけてきたという後半3編が特に好き。
    司馬遷好き。

    万城目さんといい森見さんといい、中島敦から受けた影響というのはとても大きいのだなと改めて感じた。

  • 本作を簡単に説明するならば、誰もが名前ぐらいは知っているであろう中国の古典のスピンオフ。賢い人がイマジネーションを駆使して、途方もない話をきちんとした文章できちんと語れば、読み手のイマジネーションをもこんなにかき立てる物語になるのだなぁとつくづく感心。万城目さんに惚れ直しました。

    表題作の「悟浄出立」は、『西遊記』の沙悟浄の視点で三蔵法師と孫悟空と猪八戒を語る。「趙雲西航」は、『三国志』の趙雲。「虞姫寂静」は司馬遷の『史記』のうち「項羽本紀」に登場する虞という女性。「法家孤憤」の原典も同じく『史記』で、「刺客列伝」に出てくる刺客のひとりを巡る話。最終話の「父司馬遷」は、司馬遷の娘が父である司馬遷について語ります。いずれも原典を読んだ著者が創り上げた話なのに、実際こうだったのではと思うほど。スポットライトの当たらなかった脇役たちが輝いて見えます。

    最後には著者解題付き。『西遊記』はわかるとして、ほかの話についていけそうにない私は、1話ごとに解題を読んでから読み進めました。この読み方、おすすめです。司馬遷の『史記』を読みたくなることまちがいなし。

  • 西遊記関係の、しかも中島敦の「わが西遊記」にも連なる作品が表題作とあって、ワクワクしながら本書を手にした。
    西遊記がらみの作品は一編だけで、ちょっと寂しいかとも思ったけれど、中島敦を超えるのは大変。
    結果、これでいいのかも。

    三国志の蜀、劉備のもとにいた趙雲の疎外感をクローズアップした「趙雲西航」。
    名前を奪われ、項羽の亡き夫人の代理品だった虞美人が、最後の時を迎え、自分を取り戻して死を迎える「虞姫静寂」。
    法家の学徒としての際立った学識を持ちながら、刺客に「なり下がった」荊軻を、同じ読みをする名前で取り違えられた京科の視点からとらえた「法家孤憤」。
    李陵事件後、「人でなくなった」司馬遷の姿を、娘の視点から描いた「父司馬遷」。

    いずれも英雄、第一級の有名人のそばにいた人の、心の揺らぎが鮮やかに掬い取られている。
    虞美人や、司馬遷の娘、栄の気持ちの鮮烈さには、惹きつけられる。

  • 『西遊記』や『三国志』などの中国古典に登場する脇役たちにスポットライトを当てた短編集です。全5編の中では表題作と「虞姫寂静」が面白かったです。
    万城目さんらしいとえばらしい作品だと思いますが、その一方で、鹿やひょうたんがしゃべるとか大阪が全停止するとか、常人では思いつかないような大ホラ話をどこかで期待したのですが、いつもの作品に比べると風呂敷の広げ方が中途半端なように感じました。やっぱり原典の制約があるからなのでしょうか、そんなの気にせず好き放題やればいいんじゃないかと個人的には思うんですけど。あと、原典に対してなじみがない自分のような人間にとっては、作品に対する理解が十分なのか今ひとつ確信がもてず、やや消化不良となった感もありました。

  • 万城目さんといえば、やはりホルモーやしゅららぽんが最高だけど、こういう中国古典の面白さを知ってるからあんな発想もできるんだろうな、なるほどな、と万城目さんの実力を再確認することができた。
    人と人が向き合う時の状況の描写なんかは、さすがだと思ったけど、やっぱりホルモーとか鹿男が良い。

  • 短編それぞれの根底に共通する物哀しさが心地良かった。

  • 万城目学が好きなので手に取ってみた

    5編の短編から成る小説
    中国の古典を題材に扱っており、
    知っている登場人物もあれば、初めて知る人物もあった
    ただそのどの短編もかなり面白かった

    当然史実という訳では無いのだろうけど、
    すべて本当にあったことのように感じてしまう様な出来

    特に『虞姫寂静』の切なさと格好良さが心に残った

  • まきめさんのいつもの感じと違って、とても真面目な感じだった。中国縛りではあるけど、時代が少しずつ違っていて面白い。何回も読みたいかと言われるとそうでもないけど、面白く読めた。

  • めっちゃ面白かった!

    中国古典に題材をとった短編集。
    中国古典好きにはどれも馴染みのある題材だけにとても楽しめた。

    表題作の「悟浄出立」は単品としてはインパクト弱めかもしれないけど、短編集の導入作品としては素晴らしい。
    「趙雲西航」の張飛が愛らしい。んで趙雲はかっこいい。
    出色は「虞姫寂静」。これはめちゃめちゃ素晴らしい。これで長編書いてたら直木賞取れてたんじゃない?ってくらい(^^;;
    あとの「法家狐憤」「父司馬遷」どちらも面白かった。

    いやー、万城目さんには直木賞とっては欲しいなぁ。

  • 良くまとまっていて良かった。

  • 中国古典に対するオマージュ.切り取り方が秀逸で,愛に溢れる.思わずグッと来る.

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おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。

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