凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルⅠ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207216

感想・レビュー・書評

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  •  異端にして美貌の民俗学者・蓮丈那智と、その助手・内藤三國のコンビが怪事件を解き明かす、民俗学ミステリ第一弾。
     旧家の蔵開き、巫女の神事、古代製鉄、廃仏毀釈と祭祀、隠れ切支丹と仏教。
     民俗学的な謎の解明と、探偵小説的な謎解きの二重構造を基本とする短編集は、提示される仮説の掘り下げよりも、幕切れの鋭さを優先とする。
     伝承の解釈にこだわりたい向きには多少物足りないかもしれないが、情緒や余韻を最小限に抑え、圧縮された推理プロセスは、スタイリッシュで読みやすい。
     封印される忌まわしき記憶と、記録し遺そうとする意志のせめぎ合いの狭間に、人間の業の堆積を垣間見る。

  • 蓮丈那智シリーズの1巻。異端の民俗学者とその助手・内藤がフィールドワーク先で事件に巻き込まれ…。現実の事件と民俗学上の謎も共に楽しめます。

  • 再読4回目。
    すごい。民俗学的考察と探偵小説を組み合わせるなんて。しかも、短編で。贅沢な作り方やなぁ。

  • 民俗学と本格推理の融合。短編のため、やや浅い気がしたが、登場人物もユニークで面白かった。

  • 気になっていたんですよん、北森作品。この本が初挑戦でした。
    元々民俗学にはと~っても興味があるので、とっても興味深く読むことができました。
    蓮丈那智って・・・女性だったのですね~。
    私はてっきり男性なのだと思っておりました。そしてこれまた美貌の持ち主。プラス天才的思考力! すっかりファンになってしまいましたです。
    サブタイトルにも書いてありますが、フィールドファイルということで短編です。
    是非、蓮丈那智&内藤三國コンビの長編を読みたいものです。(短編は苦手なんです、私)。
    特に「邪宗仏」は面白かったですね~。冒頭から「聖徳太子はイエス・キリストだったんだ」なんていう台詞からスタートですもん。もうワクワクしちゃいました。
    解説を読んで知ったのですが、北森作品の別の主人公とリンクしてあるんですね~。
    他の作品を読むのがこれまた楽しみとなりました。

    この場を借りて・・・
    北森氏は2010年の1月に突然お亡くなりになりましたo(TヘTo) クゥ
    去年50歳(満48歳)だよぉ。若過ぎる。
    元々、民俗学系が大好きなので、私のツボにハマったのは言うまでもありません。
    特に好きなのが旗師・冬狐堂シリーズ。旗師という職業も知りませんでしたし、男社会。その中で女性でありながらもがんばり、事件を解決していく宇佐見陶子が大好きです。
    あと、もちろんビアバー『香菜里屋』シリーズもいいし、博多っ子のテッキとキュータもいいキャラしてるし。
    ノン・シリーズももちろんのこと、全作品にはずれがありません!
    いやぁ・・・本当にまだまだこれからも期待していた作家です。
    もう作品が読めないのかと思うと非常に悲しいです。
    日本のミステリ界にとっても大きな痛手だよ。
    ただただ、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
    合掌

  • 一応、最後まで読み通すものの、中性的な美貌を持つらしいヒロインの描写に全くぴんと来ない。チラリと見られただけで、背筋がぞっとしたり、事件そのものや殺人に至るまでの動機、必然性もなんだかなぁ…。「ああ、ごめんなさい。今の私には名乗る程の名前が無いの。勘弁してね。」などと言う「狐」なる女性、「肌が粟立つような戦慄を覚え」たり、大げさな言い回しも必要とは思えない。

  • 民俗学ミステリだが。民俗学もミステリも、独自の展開はゼロなので、どちらかというと、女助教授とミクニの関係を描いているだけなのかなあ、という気もする。

  • 民俗学に興味があると言ったら勧められたミステリー小説。
    話の展開がそんなに複雑ではないので、通勤時間だけでサクッと読めました。
    気負わずに民俗学の知識を得られるのが個人的にポイント高いです。

    少し物足りないと思ったのは、主人公蓮丈那智の描写。
    もうちょっと偏屈さや異端さ加減が伝わってくれば、もっと魅力を感じられたかなぁと。

  • ミステリーとなれば、個人的にも社会派の作風が嗜好に適います。本格推理小説にはホント疎いもので、こちらの作家も、昨今の本格派の潮流というものもさっぱりわかりませぬ。たまたま手にして、諸星大二郎への献辞があるのを発見。更に、裏の解説に民俗学ミステリーとあり、食指をそそられましたね。

    読み進めるうちに、星野之宣の忌部神奈やなと、思いましたよ。

    あくまでも唯物感が前提。スーパー・ナチュラルの領域には踏み込まないので、最近の宗像教授と同じ路線といえましょうか。

    短編集なので読みやすく、結構面白し。文庫でもう一冊出てるよう、なので早々に読んだろうと。

    ホラー小説全盛なのだけど、諸星大二郎の妖怪ハンター的な作風って見当たりませんなあ。知らんだけかしら。古くは、ブラックウッド、ホジソン、コナン・ドイルなどと、妖怪を退治する探偵の話を書いとりましたもんねえ。そういえば、「Xファイル」もある意味、該当するのかも。
    (2005年記)

  • 民俗学ミステリ
    そそりますね

    とはいうものの、なんだかミステリ部分は今ひとつ。
    どちらかというと民俗学の薀蓄をもっと読みたかった。
    社会人になって久々にマヨヒガとかいう文字を見て
    嬉しかったのも事実。

    しかし登場人物もなんだかワンパターン的で
    好きにはなれなかった
    女ホームズとワトスンにしたかったのだろうが…。
    思い切ってQEDのタタルさんぐらい語らせてほしかった。
    自分的には素材はいいのに、ちょっと残念な一冊

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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