写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルIII (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207230

感想・レビュー・書評

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  • 憑代、鳥居が信仰の対象で奥の社殿は神の住処の具現化ということ、神を殺すことで食物を与えてもらう棄神、フェルメールのカメラ・オブスキュラが写楽に繋がっているかもしれないことーなど民俗学の事象・謎を殺人事件に絡めている。確かに民俗学の話は面白いのだが、ミステリーとしてはそう大したことはないように思えてしまう。民俗学者の蓮丈那智には、親しみは持てないし、助手の内藤三國の言動が情けなくて、涙ちょちょ切れてしまうよ。

  • あまりにも写楽が出てこないから、楽に写す絵画のことか…と思ったら、ちゃんと繋がるSYA.RA.KU。
    そこにいたるまでが力技で捩じ伏せた感あり、やや肩透かし。

  • 今回は狐目の男が大活躍。最後の話で名前も明かされる。
    前作、前々作は比較的わかりやすく楽しめたけど、今回は民俗学の件がちょっと難しかった。もしかすると自分が疲れているからかもしれない。

  • 俄然面白くなってきた!続き読みたいのに~~!!!って思ったら出てた!さっそく予約!!!

    • ぽにょんbook'sさん
      はじめまして♪ 私もこの那智フィールドファイル大好きです♪ 続きの新刊がでたそうで、探し中です
      はじめまして♪ 私もこの那智フィールドファイル大好きです♪ 続きの新刊がでたそうで、探し中です
      2012/08/27
  • いろいろなつながりの見えてくる刊。
    もう続きが読めないというのが悲しいですね。

  • なんだかんだ言っても読んじゃうシリーズ第3弾。工夫を凝らしているのは好みなんだけど、毎回殺人事件発生させないと成り立たないもんかね。残念感拭えないままの三國はお約束として、由美子を那智に寄せていくのはどうなのよ。表題作は写楽をどのように孝するのか期待したんだが。またなんだかんだ言っちゃったけど、民族学や歴史ネタを読みやすくしてくれるのは嬉しい。北森君「B」。

  • 歴史に不滅の名を刻みつつも、いまだヴェールに厚く覆われたままの、東洲斎写楽。蓮丈那智は、古文書の調査に訪れたはずの四国で、その浮世絵の知られざる秘密へ足を踏み入れることに(表題作)。憑代、湖底遺跡、奇怪な祭祀。異端の民俗学者は、堆積する時代に埋没してしまった死者の囁きに、今日も耳を傾け続ける――。あなたの知らぬもう一つのニッポンを描く、本格ミステリ集。
    (2005年)
    — 目次 —
    憑代忌
    湖底祀
    棄神祭
    写楽・考

  • 狐目さんが熱い。

  • 異端の女性民俗学者・蓮丈那智が、助手でワトソン役の三國と共に事件を解決するシリーズ第三弾。
    四篇の短編集。

    このシリーズの魅力は、実際の事件と民俗学上の謎がリンクし同時に謎が解かれていくところにあり、毎話読後にカタルシスを感じることができます。
    新しい助手の佐江や教務課のキツネ目の男がレギュラー化し、冬弧堂の陶子やバー香菜里屋も出てきて北森作品のオールスターキャスト総出演となっており、読み応えがありました。

    「憑代忌」のラストの種明かしは鮮やかで驚かされるし、「棄神祭」の謎の着地点もドキッとさせられて楽しい。
    表題作の「写楽・考」はスリリングな読み口にハラハラしましたが最後はちょっとこじつけ感がありました。

    考えがブレない、他人に影響されない蓮丈那智が完璧すぎて馴染めない分、頼りなくて人間くさい三國の言動にはほっこりします。

  • 蓮丈那智シリーズ第3弾。
    やはり前作で助手その2としてやってきた佐江由美子はレギュラー化して、教務部の狐目さんも毎回登場するようになったので、蓮丈・内藤・佐江・狐目がひとつのチームっぽくなってきた。
    それぞれの話も、以前の話で取り上げられた民俗学的テーマの続編みたいな展開があって、サザエさん的な不変の設定のもとて進行する物語から脱却してゆく感覚を持った。
    でもそれで、蓮丈の魅力でもあった孤高感が薄れてしまった気がする。
    ので星3つ。
    それに、シリーズがまるで狐目さんが自分を取り戻す物語になってしまった感が否めない。それは遂に狐目さんに名前が与えられたことに象徴されてる。個人的には狐目さんは名バイプレイヤーでいて欲しかった。
    別にいいんだけど。

    ・「憑代忌」…内藤の写真が憑代にされてるらしいという大学内の現象と、旧家の守り神として伝えられた人形を調査してる最中に起こる殺人事件。前作の「触身仏」で取り上げられた塞の神論が再び俎上する。実は内藤が調査に行ってる間に、学内の内藤写真の憑代騒動が本人を害する行為にエスカレートするのを蓮丈が阻止していた。蓮丈の思いやりが垣間見えるエピソード。(それが残念といえば残念なんだけど)

    ・「湖底祀」…湖に鳥居が沈んでいるのが分かり、遺跡が見つかれば観光資源になると考え調査を進める村の担当者が、マスコミに鳥居以外は見つからないだろうとコメントした蓮丈に逆上する。担当者は調査を隠れ蓑に湖に盗品と死体を隠していた、という話。
    ここでも塞の神論が関わってくる。鳥居=塞の神説は魅力的。
    んで、結局なんで円湖って名前なんだろうか。

    ・「棄神祭」…旧家御厨家で3年に一度行われる神像を燃やす奇祭を学生時代に蓮丈が取材した際、執事が殺害された。時を経て真相に至った蓮丈は再度御厨家を訪ねる。
    富士塚だったのはいいとして、御神火なんて呟くかなぁ。あと神像は毎回新調されるんだろうか。

    ・「写楽・考」…フェルメールの話なのになんでこんなタイトルなのか分からず、最後の最後に意図が分かって「出落ち!!」と突っ込んでしまった。
    でもフェルメールが伝存してたってことはカメラ・オブスキュラも伝存してたんだよね??その辺がよく読み取れなかった。
    それにしても、写楽がカメラ・オブスキュラを使用したって考察は、到底承服できない(笑)。
    論文の筆者が仮名だという設定だと、狐目さんの名前に触れないわけにはいかなかったかな。名無しを貫いて欲しかったな。


    第4弾もあるらしいけど、北森さんの急死でパートナーが完成させたものらしいので、あまりそそられない。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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