薬屋のタバサ (新潮文庫)

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著者 : 東直子
  • 新潮社 (2017年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101209814

薬屋のタバサ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タバサと聞いて即座に「奥様は魔女」と気づく年代であるがゆえに、タバサ=女の子、と思い込みで読み始めてしまって失敗。おっさんか。作者にその意図があったかどうかはわからないけど(数ページ性別は明かされない)(でも全裸シーン序盤であるのに性別わかる描写をしないのはやはり意図的なのか)脳内修正にとても苦労しました。

    客観的に見てタバサというキャラクターはそれなりに魅力的なはずだし(薬局だから白衣、誰にでも敬語、無機質で生臭さがない、常に温厚で声を荒げたりしない、家族を失い天涯孤独、わけありっぽい)、なにやらワケアリでやはりけして若くもないらしい主人公女性がそんなタバサに拾われ、薬局で働くうちに彼に惹かれていく・・・というベタな展開も想定内ながら自然な流れのはずなのに、なぜかしら、全然タバサを好きになれない。主人公にも共感できない。感情をあらわにしないタバサが突然バスルームに主人公を引っ張り込むところも違和感しかなかったし、大変露骨で恐縮ですが、後半二人がセックスする場面もとても不愉快で、気持ち悪い、という感情のほうが自分の中で勝ってしまった。無味無臭の無機質な世界にいたのに、急に生臭い他人の体臭を嗅がされたような気分とでもいうか。

    主人公が迷い込んだ、タバサの住む町はおそらく生者と死者の境界のような場所で、死んでからあの世へ行くまでの溜まり場のような場所なのか、あるいは死者が生まれ変わりを待つ場所なのか、それでいてそこに居つく人も出産する人もいるからよくわからないけど、まあそういう世界観自体はとても好きなのだけど。

    東直子の作品は最初の「水銀灯が消えるまで」と「とりつくしま」までは好きだったけど、どうもそれ以降は主人公の幼稚さに苛立って好きになれないことが多く、今回も、実は子供を二人捨ててきた母親である主人公が、中途半端な好奇心を発揮したり、少女じみた言動をすることに常に潜在的にイライラしながら読んでいたのだと思う。自己憐憫の強いタイプには気持ちが寄り添えない。結果、世界観や設定は好きだけどキャラクターを好きになれない小説は、作品としても好きになれない、とわかりました。

  • 何も難しいことはない。描かれる人も、建物も、食べ物も、なにもかも、これまでに見てきたものの中からイメージできる。言葉だっていたって普通だし、わかる。なのに何故だろう。始終、「不思議」な感覚に包まれる。淡々と進み、捉えどころがなく、続きが気になって、あっという間に読み進む。東直子さんの作品は初めて読んだけれど、これまでに読んだことがない、予想できない世界だった。小説はもし実写映画化するなら…と考えながら読み進める。タバサは長谷川博己さん、由実さんは伊藤歩さん、かな。

  • 何か『かもめ食堂』のような自分探し人情ほっこり話となぜか思って、すぐぼんやりとさぼる由実にいらつき、タバサと寝たところからえ?結局恋愛系なの?と評価が★2の勢いになったが、だんだんオカルトじみてきてラストで結構良い意味で置いて行かれました。

    ネット検索してみたけれどラストの解釈をされているものが見当たらなかったので、シミズ的解釈↓
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    【前提】
    ・由実は過去2人子供を産んでおり、1人は死亡、もう1人を残して逃げた
    ・逃げた先は行方不明者がよる町と呼ばれるところの薬屋
    ・この町は外に出なくても生活できる
    ・マサヤという老女だけど年齢不詳な幻のような女性はかつて薬屋に勤めていた
    ・薬屋の主人は代々身元不詳の女性と結婚して生まれた長男が薬屋を継ぐ
    ・タバサの薬を飲むと予定が立てられる(飲んだ当人も周囲の人も不安がなくなる)

    【以上を踏まえてラストを解釈】
    ・この町は運命共同体で『タバサ』他各々の立ち位置担当のものは常にいる
    →担当者自体は代替わりする
    →あくまで担当が同じなだけで同じ人ではない
    ・また代々やってくる身元不詳の女に類するものも常にいる
    →役目が終わると代替わりする(由実がマサヤの立ち位置になる)
    →そう考えるとマサヤがタバサの母とも言えるがそれはルリなので
     マサヤは先代タバサの後妻(ルリ死亡により代替わり)
    (※現タバサの先妻かもですが幼タバサと遊んだことを踏まえて)
    →池を埋めたのは由実が子を産む前にルリのように死ぬと
     また代替わり要員をまたないといけないため
    ・タバサの薬でスムーズに代替わりする
    ・日吉サイクル担当は息子がいるのでOK
    ・3人の老女(脇田・原田・山田)担当は、
     マサヤを追い出そうとした母親の娘2人(母親本人は町の外に引っ越す)と
     助産院で生まれた子供(母親は出産後逃亡)に代替わりすると推測
    →町の住民はそれを知っている(ので葬式をしない)
    -----------------------------------
    てな感じでどうかしら。

    作者の方はそこまで考えてないと思いますが、自分的にまあまあ納得できる解釈となります。

  • 夢の中を漂うような、さ迷うような気分にさせられるお話でした。
    まず、物語の舞台となる町がどこなのかわかりません。この世なのか、あの世なのか、はたまたこの世ではないどこか別の場所なのか。そこで暮らす人々も、現世とは異なるゆっくりと流れる時間の中で、半分眠っているように生きています。主人公の女性にしても、どこからどのようにしてこの町にたどり着いたのか、まったく有耶無耶で、本人自身にもわからない有様です。何かつらい過去があったようなのですが、それが何だったのかさえわかりません。
    なんだか恐ろしく、淀んだ雰囲気のお話なのですが、読み進むうちにどんどん惹きこまれ、まるで生と死、この世と異世界、時間と空間の狭間を揺蕩うような気分になってしまいます。だからといって不快ではなく、できればずっとこの物語の世界に浸っていたいと思うのは、歌人でもある作者の言葉の選び方が秀逸だからでしょうネッ。
    これは人間の生に関する、根深い部分を描いた物語だと思います。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 捉えどころのない感じでふわふわと読み進めていたが、最後一気に、え?えっ! ってなる。
    あれは一体なんだったんだろうと、ある意味後味が残る作品。

  • 何だか、病んでいる人の心の世界に入り込んだ気分。
    ずっと平らな印象で、何というか、全ての登場人物に感情がない感じ?
    タバサと山崎さんには愛を全く感じないし、妊娠した喜びや困惑も、淡々としすぎている。
    とても現実味のない話でした。
    パラレルワールドなのかも。

  • こんなに薄い1冊なのに読み終わるまでに長い時を要した。それだけ読みたくない気持ちが勝っていた。

    摩訶不思議系というか、よく分からない空気感の小説はたまにあるが、それにしてもよく分からなさすぎ。
    あまりに常識の範囲を逸脱していて、共感できる箇所が一つもなかった。

    私は、読んだ時にどれだけその世界に入れるか、人に共感できるか、というのを求めて小説を読むのだが、はたしてこの物語に人を受け入れる余地はあったのだろうか…。
    高評価を下す人もいるようなので、選択したことが間違いだったのだと思う。

    最近の江國香織さんの描く物語に雰囲気が似てるようにも感じた。
    この人の本は昔は好きだったが今は読んでも面白くないことを踏まえると、単に歳をとったということかもしれない。

  • 読み終わりたくなかったのに。
    読み終わったら、迷子になってた。

  • 途方に暮れ、ただ呆然と佇む。
    なんとも言えぬ不快感が拭っても拭っても落ちない。

  • 全てを捨てて知らない町の古びた薬屋に辿り着いた山崎由実。謎めいた店主の平山タバサと町の住人。孤独の本質を問う長編小説。
    例えれば小川洋子作品のような、不思議な世界観のお話。モヤモヤ感とふわふわ感が同居しながらも、チクッとした痛みを所々で与えてくる。

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薬屋のタバサ (新潮文庫)の作品紹介

平穏な時間。それ以外に欲しいものなんて何もない――。山崎由実はすべてを捨てて家を飛び出し、知らない町の古びた薬屋に辿り着いた。店主の平山タバサは、由実を薬局の手伝いと家事全般の担い手として住み込みで雇ってくれた。見ず知らずのわたしを、なぜ……。謎めいたタバサの本心はわからぬままだが、由実は次第に新しい生活に慣れてゆく。誰しもがもつ孤独をたおやかに包み込む長編小説。

薬屋のタバサ (新潮文庫)はこんな本です

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