- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101210322
感想・レビュー・書評
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ストラディヴァリウス。
弦に詳しくない私でも名前ぐらいは聞いたことのある名器中の名器。
そんな名器をヴァイオリニストの千住真理子さんとその家族が億単位で購入するまで経緯を綴った本書。
大学時代に一度だけ真理子さんのコンサートに行ったことがありますが。
確かそのコンサートでもストラディヴァリウスの話はしていたと思います。
ただ、当時はそれを手に入れるまでの経緯も千住家についても一切知りませんでした。
なので、そのことについてはあんまり記憶に残っていません。
これを読んだ今、経緯や千住真理子の一部を知った上で演奏を聞きたいです。
今年中に聞きたいなぁ。
一家全員が楽器に対してとても真摯で、そこに感動しました。
かなり薄くてすぐに読めるので、楽器やってる人は読んでみるといいかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
千住家という稀有な一家が、ストラディヴァリウス=デュランティという魔力を持ったヴァイオリンを引き寄せる。
というより、デュランティが千住家を引き寄せた、と言った方が良い。
千住家の一族の純粋さに感銘を受ける。
特に、千住三兄妹の凄さが際立つ。
日本文化になくてはならない三兄妹。
長男博は画家。芸大での卒業作品が大学に購入されたという系歴を持つ。滝の絵が有名だ。
高野山の金剛峯寺障壁画は、正に空海との対話•対決と言える傑作だ。
次男明は作曲家。彼も芸大での卒業作品が大学に購入されるという名誉を持つ。大河ドラマはじめ多くのテレビ番組に曲を提供している。
真理子は言わずと知れた世界的ヴァイオリニスト。
ストラディヴァリが作成してから300年間、誰にも使用されずに眠っていた無傷のストラディヴァリウス=デュランティが、突然ヨーロッパに出現する。
買い手を求めて、アメリカに渡る途中に偶々日本を経由した。
その時にデュランティに触れた真理子は、この楽器に運命の出会いを感じる。
それを運命と感じたのは2人の兄たちも同様で、デュランティの生み出す倍音の凄さに圧倒される。
二人の兄たちは、自分たちの作品を抵当に入れて多額の借金をしてまで、妹のために、このストラディヴァリウスを手に入れるのだ。
何という兄妹愛!
推定金額 2-3億円。
二人の天才芸術家の兄たちがいなければ、真理子は生涯の伴侶を手に入れることは出来なかったのだ。
ヴァイオリンの入手にも、小説に勝るドラマがあることを教えてくれる。
読み終わると、真理子のデュランティによる演奏を聴きたくなる。 -
2020年11月16日
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千住3兄妹の母による千住真理子氏がストラディヴァリウスを購入するに至る経緯を物語にしたもの。バイオリンの名品は、バイオリンが人を選ぶと言われているが、まさしく劇的な展開により千住真理子氏の手元に届いた話は感動的である。なんとか資金を調達しようと奔走する家族の団結はすごい。
「いいですか、今日からは、いくら年齢が幼くても、あなたは、プロという社会的責任を負ったのです。プロは、どんなにつらいことがあっても、ステージに一歩踏み出したら、何事もなかったかのような顔にならなければ、許されない。たとえば、泣きたいほど悲しいことがあっても、涙など、見せてはいけない。体調を崩したとしても、そんなことは何の言い訳にもならない」p36
「他人に借りてはいけませんよ。一人前のプロとして、人前で演奏するのであれば、たとえどんな楽器であっても他人に借りるのではなく、自分の楽器で弾きなさい。つまり、借りた楽器では、それがどんなに名器で立派であっても、魂は入らない」p56
「この楽器から出る音は、あなたの音だ。誰の模倣でもない。テクニックも、あなた自身が造り上げたものだ。これから先、楽器が変わることはあっても、あなたが造り上げた真理子トーンは、あなたの生命とともに、ずっと生きていくんだよ」p59
「いつか、本当によい楽器が、あなたのもとへ来ることがあったら。自分の力で買えるように頑張りなさい。その時こそ、真理子トーンの意味が、そして、僕の言った意味が、わかるはずです」p60
「ヴァイオリニストの鎖骨は丸く腫れ上がる。そして人間の身体中のすべての骨が、音の響きのために働く。つまり、身体すべてが、ヴァイオリンに合わせて共鳴する」p64
「立派なストラディヴァリウスに会うといい。それは、あなたの師にさえ、なる」p116
「僕には、インスピレーションがあったんです。初めから、この不思議なヴァイオリンは、真理子ちゃんを探していたのではないだろうか、と。半ば伝説みたいな話が、名器には、よくあります。ヴァイオリンには意志があって、演奏者を選ぶ、と」p139 -
20150424読了
平成20年(2008年)発行。古本屋にて。千住家の博、明、真理子の母(2013年に逝去)が著者。18世紀製作のヴァイオリンが千住真理子の所有となるまでのドキュメンタリー的な読み物。千住家の家族史も含めて描かれる。●名器と言われる楽器は所有する団体から音楽家に貸し出される場合もあれば、音楽家個人で所有する場合もあるんだなーと書名を見て興味を覚え、読んでみた。内容はなかなかおもしろいのだが、自分が耳慣れない呼称(お母ちゃま、お父ちゃま)には最後まで馴染めず仕舞いだった。●あとがきにあたる、母と娘の解説対談より。
真理子 私は、女性を捨てました。だから私は、確かに’ヴァイオリニスト’ではあるけれど、’女流ヴァイオリニスト’ではありません。大オーケストラの前で、あるいは多くのお客様の前で、たった一人で立って演奏するには、心の底から’男’にならないとダメ。女性の気持ちは捨てないと。でも、そのせいで、私は結婚もしていないし、子供もいない。私の家族は、いつか、誰もいなくなる。ほんものの孤独がやってくる。
文子 孤独だからこそ突き進める道なのよ。孤独だからこそ、素晴らしい道だってあるんです。いつかの対談でも言ったわよね。子供や家族がいないから孤独なわけじゃないのよ。人間だから孤独なの。 -
千住真理子さんの奏でるデュバリエをぜひとも聴いてみたくなった。
人に迷惑をかけず、自分の力で解決していく。その孤高ともいえる生き方があらわれていて、芸術家の大変さを思うとともに本人の魅力に興味津々。
この生き方はほんと茨の道だけれど、私も目指していきたいポリシーだわ。 -
母に薦められて読んだ。
こんな育て方もあるのか、なんだか勉強になった本。
自分の子供のことを思うなら、苦労させるのが一番
何でしょうか。
このお父さん、偉大だと思う。
文章は稚拙。起承転結がいまいち。 -
長男が日本画家、次男が作曲家、長女で末っ子をヴァイオリニストに持つ母、千住文子さんが書いた家族エッセイ。
億単位の名器「ストラディバリウス」を手に入れるまでの家族の絆、作者の子育て法など興味深くて面白かったです。