螺旋の手術室 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101210711

感想・レビュー・書評

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  • なかなか切ないお話です。
    大学病院の教授選、医療過誤、主人公の妹の妊娠とその相手の母親との確執など、いろいろな要素が複雑に絡み合っていますが、最終的にきれいにまとまる。なかなかのプロットです。
    物語的に黒幕がいることは確かなんですが、それが誰なのかなかなか見えてくなくて悶々としました。

  • いつものイッキ読みです。

    「ブラッドライン」改題が「螺旋の手術室」
    読んでいくうちになるほどね!って思いました。

    所々無理がある様に思いますが…最後のドンデン返し、なんか無理に着地した様に思うのは自分だけかもしれません。

    「螺旋の…」よりも「ブラッドライン」の方がしっくりくると思いました。

    これは余談ですが、文庫本だけを借りて読む人がいるんだって。色々と加筆等して、最初よりも良くなっているからと言う理由だそうです。

  • 知念さんらしい医療関係者ならではのトリックが楽しめる一冊。わからないことがわかるようになる面白さは格別。
    ただ一方で、死ななければならない理由が正当かどうかはわからないけれども、生きることに対する責任がやや軽く感じられた。生きてこそ全うできる意味もあるのではないかと。

  • なにかで紹介されてたのを見て買った一冊。

    事件の真相を医師が見つけ出す話だった。

    初めての知念実希人さんの小説。

    題名から見ても医療関係の話だとわかる。
    医療関係の話だと専門用語や内容が難しかったりするので読みにくいイメージがあるが、この話はよみやすく分かりやすかった。

    読み始めから話に引き込まれたが、手術の真相を探る辺りからなかなか話が進まないような感じがした。
    小さい発見は沢山みつかるがそれぞれが組み立てられないので事件の真相の骨格ができないみたいな

    最後まで予想がつかない展開で楽しめた小説でした。

  • 大学病院の教授選考の候補だった冴木真也准教授が、簡単な手術なのに、不可解な死を遂げた。
    続く関係者の不可解な死。

    父と同じ病院に勤務し、手術に参加した息子の裕也は、謎の解明に乗り出す。

    しかし、そこには、更に深遠なる謎が...
    二転三転する状況に、最後まで、一気読み必須です。

    作者の知念さんは、医師なのですね。
    表題もなるほとと理解しましたが、最後のオチは、なかなか考えさせられます。

  • 著者初読み。
    「慟哭の医療ミステリー」と帯書きにあり、題名(螺旋…)の所以が終盤に明らかにされて、納得。
    自らも立ち会った、父の手術中の死に疑問を抱いた主人公が、教授選も絡んだ謎に挑む。
    関係者が次々と殺され、ますます深まる謎。
    主人公の必死の探求に、やがて明らかにされる真実は、「驚愕のどんでん返し」の惹句の通り。父子の相克が執拗に綴られるのは、これのためだったのか・・・

  • 純正会医科大学附属病院の医師である佐伯裕也は、父であり同大学の准教授である佐伯真也の手術に立ち会う。簡単な手術のはずが、術中の不可解な大量出血により真也は亡くなってしまう。真也は次期教授選の候補者の一人であったが、刑事の来訪により、別の候補者も殺されていることを知らされた裕也は真相を探り始める。そして、更なる殺人が起こる。相容れなかった父と子、父との関わりで仲違いをしている兄と妹、子供たちを温かく見守る末期がんの母、そういった佐伯家の実情も絡んで物語は展開していく。
    とても面白いミステリーだが、重いテーマも内包した小説。
    無理な展開もあるが、ドクターでなければ書けないミステリーだと思った。
    裕也の同僚医師(友人)として登場する諏訪野良太は、心温まるソフトミステリー「祈りのカルテ」の主人公だが、本作ではかなり軽薄なイメージでギャップを感じた。佐伯准教授も同作品で諏訪野の指導医として登場しており、亡くなってしまって寂しい。

  • ミステリーは好きでよく読むけれど、医療ミステリーはほぼ初めて読む気がする(いや、初めてだな)

    冒頭、手術のシーンから物語が始まるが、血とかに弱い私はチカラが抜けたのと医療用語も出てきた為に、そっと本を閉じそうになった。

    それでも我慢して読んでいくと、ミステリー要素が出てきて面白くなった。主人公の冴木裕也の父の死をきっかけに起こる、連続殺人。それを追う裕也の話と平行する、妹の真奈美の妊娠と結婚の話。
    真奈美の婚約者の母親が出てくるシーンが、冬彦さんのお母さん(平成初期に流行したドラマの)思い出して、仕方なかった。

    一連の事件の真相が明るみになってくるくだりで、突然の金田一耕助シリーズか!?並みの村の俗習なんかが出てきて、あれ、突然そっち行っちゃった。どうした?!状態になったけれど最後のところで、あぁ、そう繋がったのか。と納得。
    医療ミステリーだけれども、病気による偏見や差別などの社会派な内容も盛り込まれていたので、興味深かった。ただ、ラストがちょっと長いかなぁ〜という感じがした。

  • 以前から気になっていた作家さんを読む。
    実際の医療現場に身を置いた者だけが知る切迫感と冷静と絶望。自問自答を繰り返す。
    一言で言えば、面白かった。
    次の展開への間が絶妙。飽きることなく最後まで読み切った。なるほど、タイトルの意味する闇は深い。
    別の作品も読んでみたい。

  • 『いつの間にか事態は〜『患者の死』という日常へと急速に変化していた』

    緊迫感ある冒頭から、謎が謎を呼ぶ展開で一気読み。
    特に手術や病院内部の描写はリアル。
    医療知識が全く無くても楽しめるミステリー。

    世の中にはいろんな形の「死」があるのだなぁと
    思った。

著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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