かんじき飛脚 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (571ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101213439

感想・レビュー・書評

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  • 昔、飛行機の中で、著者原作の映画「あかね空」をやっていて、妙に印象に残っていたので、別の江戸ものを読んでみようと思い手に取った。
    駅伝は中学時代の3kmのみ、マラソンは柴又の60kmが自身の最長距離なので、金沢-江戸 間をそれより早いスピードで踏破する飛脚の脚力には脱帽だ。あっという間に読み終えた。

    惜しいのは、松平定信の加賀藩虐めの動機にイマイチピンと来ないところ。政策レベルでは、現代の感覚では飛んだ愚作である棄捐令(借金棒引き)を出して信用大収縮をお越し、その善後策としての加賀藩虐めでは、隠密政治力をフルに発揮する、という、力の入れどころが何かとチグハグな徳川政治。

  • 「金沢から密丸を運べ」幕府を敵に回した加賀藩を
    救うため、雪の山を越えて国許へ走る飛脚たち。
    行く手には大雪、荒れる海、刺客、そして裏切り。
    期限は10日…。飛脚たち、駆ける駆ける!

  • 山本作品には珍しく闘いのある作品。加賀藩の支援もなく、それでいて、猟師が飛脚を損得抜きで助ける姿に感動を覚えた

  • 最初は取っ付きにくかったけれど、親不知からハラハラが止まらなかった。飛脚たちが体験した寒さが伝わってくるようだった。

  • 最初は久し振りの山本一力で、いそがしいと思ったけど命をかけての仕事に感激!解説が今は亡き児玉清でまた感激でした!

  • 何事も人力に依っていた時代に、江戸と加賀の間をつなぐことが、どれほど困難だったか。貴重な情報と物の行き来を担う飛脚と、それを支える人々の、迸る情熱と誇りに圧倒された。
    特に、雪の中の息を呑む戦闘シーンは圧巻。

  • 初一力。オススメいただいた作品。16人の“飛脚”の物語。名と簡単な仕事内容しか知らなかったが、とても骨太な作品で読み応えがありました^^ 飛脚の生業の奥深さ、彼らの情に熱い人間関係、幕府と加賀藩との巧妙な駆け引き、そして御庭番との死闘。終始、飛脚のパワフルさに圧倒され続けましたw 武士、侍とはまた違う江戸の一面を見せてもらいました^^ 星三つ半。

  • (古本を購入)
    読み始めた(4月20日)〜読み終わった(5月2日)

    まず『三度飛脚』は江戸と金沢を月に3回(1.5往復、約1,500km)走れるとは驚異的。
    先に『べんけい飛脚』を読んでしまい、順番としては逆になってしまったが、それはそれで帰納法か、演繹法の違いだけかと思う。

    評価はいつも難しい。
    文書を書く能力がそれほど無い読者(私)が直木賞作家の作品をとやかく言えないし、文書にも上手く書けない。
    山本一力氏の作品を連続して読んでいることから、かなり興味を持ち、性に合っているということは間違いない。
    これ以上は『あらすじ』を書くだけになるので、書くのは止めるが、解説を寄せているのは俳優の児玉清氏であるのは注目に値すると思う。

  • 飛脚が履くかんじき、腰に巻く動物の毛皮、その描写がリアルです。昔からある(でも今では廃れてあまり使われていない)道具を昔の人がどのように使っていたのか、イメージが湧きます。

  • 長編でしたが、老中松平定信の陰謀から加賀藩の内室が病床にあることを知れるとまずい状況に陥り、それを打開するために加賀から病の特効薬である密丸を江戸に取り寄せるために、総勢16人の飛脚が大雪、荒波、刺客に立ち向かいながら奮闘して、密丸を江戸まで運び届ける様が良かったです!
    飛脚たちの粋な様や絆、飛脚を愛して支える女性陣が清々しく描かれてました。
    また龍虎という激痛の特効薬に悶絶する姿も面白かったです。

  • 2017.6.1(木)¥250(-2割引き)+税。
    2017.8.12(土)。

  • 加賀藩のため、密かに丸薬を運ぶ命を受けた飛脚たち。

  • 山本一力の小説久々に読んだが、やっぱ上手いなぁと思う。古き良き昭和演歌的な人情風景を描かせたら天下一品。少々昭和が鼻につく(笑)部分があるにはあるが、それを臭みととるか味わいととるかで、評価分かれるかもなぁ。
    俺は、体調エエ時なら好みです。

    小説としても十分オモロいが、長距離ランナーのウンチクが詰まっているのも良い。江戸時代的カーボローディング、タンパク源をたやさないこと、極力身体を冷やさないこと、熟睡が疲労回復には欠かせないこと、少量飲酒の効果…、今走ってる人(俺なんかもそうだけど)にもなるほどと思わせることが結構出てくる。

    猪汁やブリアラの粕汁なんかも美味そうだが、明日からでもできそうな玉子を落とした根深汁で炊き立てご飯っての、エエなぁ~

  • 面白いけどね!

  • 2015/07/22ブックオフオンラインにて購入
    2015/09/15読み始め
    2015/09/24読了

  • 江戸時代中期、幕府の緊縮政策に喘ぐ旗本・武家は世の経済を停滞させていた。その状況を打破すべく幕府がとった方法は、旗本を配下に置く外様大名への発破であった。時を同じく、幕府から宴(=呼び出し)を持ちかけられた加賀藩と土佐藩は、公儀に対して、それぞれに知られたくない状況を持ち合わせていた。なんとしても宴の折にそのことが呈しないよう、加賀藩は国許からあるものを飛脚を使って取り寄せる。当然、公儀もそのことは内偵しており、阻止せんと御庭番に命じる。
    幕府と大名との思惑の狭間で、使いとして責務を全うしようとする飛脚にスポットライトを当てた時代小説。

    時代背景の描写はともかく、中盤~終盤にかけての展開にはスピード感があった。しかし、総合して場面転換が多く、区切りを都度つけなければならない為、個人的には前半の展開にじれったい気持ちがあった。ストーリー性としても普遍的で、丁寧な描写で良作だとは思うが、読後感に惹かれるものは無かった。少し残念。

  • 100ページ読んでも入り込めない刺激がなかった。

  • 山本一力らしい小説でした。
    なかなか世界観が面白かったのですが、ストーリーとしては特に山がなかったかな、と。
    個人的には期待はずれでした。
    十分楽しめたんですけどね。

  • 唸るス トーリーと筆致力5☆〜。 本作品は飛脚がテーマ。しかも江戸と加賀藩 約570kmをわずか5日で走破、かつ月に三度 往復する強者どもに光をあてる。物語は寛政 の改革で名高い松平定信が推し進めた棄損令 (債権放棄)により年末も越せない旗本が急 増そして不平不満が爆発寸前。この難局を乗 り切るために定信が考案した奇策。加賀藩が 秘する内儀の病を公に顕にする事で非難を逸 らす事。だが病に効く特効薬は遠く離れた金 沢に。期限は年末までの二週間。藩の危機を 救うために命を賭して立ち上がった精鋭飛脚 達。道中には吹雪や断崖絶壁の海沿いの道そ して薬の運搬を邪魔する公儀。さーて想像を 絶する難局を彼等は乗り越える事が出来るの か!?ハラハラドキドキするテンポの良い物 語の進みは勿論、当時の食事を始め、日々の 鍛錬風景、雪道を歩くかんじき等の製法も含 めて細やかな描写が特徴。そして何と言って も一人一人の心情、心意気や熱気がダイレク トに伝わる。史実にうまくからめて物語を創 造しているので読み手に信憑性を持たせてい るな〜。

  • 始まりは微妙・・・でも読み進めていくうちにどんどん面白くなってきました。
    臨場感溢れる描写とか流石!

  • 「三度飛脚」は、江戸・金沢間570kmを毎月3度、夏場なら5日間で走り抜く。平場なら15kgの荷を担ぎ一日に80km走り抜く。しかも、「同じ側の手足を同時に出すのが飛脚の走り方。体がよじれなくてすむため、見かけには不器用でも長い道中を行くには身体にやさしい走り方。」本当だったらすごい。
    「筋」は、幕府の棄損令による世情の不満を転化するため、外様への仕掛けを強める。取り潰しを防ぐため加賀から秘薬「密丸」を運ぶ三度飛脚とそれを阻止するお庭番の攻防という流れだが、「本筋」は飛脚達の生き様、それを取り巻く人たちの思い。
    筋としては多少無理があり、もう一つに見えるかもしれないし、終章の攻防にそれぞれの思いをもう少し出して欲しい気もする。
    山本一力の作品は当りハズレが大きいとも言われるが、これはなかなかいい。

  • 一力だ

  • #booklog ある藩のために公儀と対峙する主役は・・武士でも忍者でもなく、飛脚。権力者たちの水面下の事情に命をかけてでも飛脚としての矜持を崩さない者、裏切った者をあっさりと描いている。前半部分は
    盛り上がりはないが、飛脚という職業を具体的にイメージさせ後半を楽しむための布石である。後半は緊張感がキリキリ高まるが、文章が暑苦しくないのが、好ましい。ただし、クライマックスから終わりにかけて少し物足りない気もする。軽く読める良書。

  • 加賀藩の「三度飛脚」が、藩の危機に密命を帯びて江戸と領国を往復する。で、それを阻止せんとする幕府隠密との対決。

    いやー、飛脚っていうヒトたちは凄かったんだなぁ。
    はじめて知りました。
    で、その任務の重要性と過酷さを人々は知っているものだから、すごく手厚く扱われていたのですね。
    厳冬の時期の交通の難所の描写も、昔の旅の命がけ具合がよくわかりました。

    猟師さんたち、ナイスガイ!

  • 本書は山岳小説ではないものの、マタギの知識などがふんだんに入っているので取り上げました。
    『かんじき飛脚』は、江戸時代の三度飛脚が主人公に物語が展開する。
    時代は、『銀しゃり』と同じ時期で、棄捐令が出されたときだ。加賀藩と土佐藩のつながりも面白いし、風景が目に浮かんでくる描写が凄い。
    飛脚を助ける猟師たちの知恵もとても参考になります。

  • 加賀と江戸をむすぶ飛脚の話。
    しかも途中で親不知だの青海だのが出て来て、金沢出身、本籍地青海(親の実家)現在東京勤務の私にはめちゃくちゃゆかりのある地満載でした。

  • 一時期固め読みをしてたけれど『ワシントンハイツの風』で勢いをそがれしばらくお休みしていた山本一力さんの作品。久しぶりに読んだので夢中になってぐいぐいと一気に読了。身分や立場、性別など個人の努力ではどうこうできようもないものに縛られながら分をわきまえ相応に、そして潔く懸命に生きた江戸の人たちの様子が生き生きと、でもさっぱりと描かれていて大変面白かったです。義理人情もたっぷりですが、松平定信という大きな政治権力に対し、忠義心と男気で立ち向かう加賀藩お抱えの飛脚たち、という感情移入しやすくダイナミックなストーリーで、とても面白かったです。良質な娯楽作品。

  • 前半は食いつけず。
    後半から面白くなった。
    人間らしさが出ていたなーと。
    読みはじめから少しずつ、
    読了までに2ヶ月もかかってしまった。

  • 足自慢の飛脚さん.メールや携帯が飛び交い,荷物なんてあっという間に届く現代では,考えられない時間の過ごし方がはらはらする.
    書店で平積みになってて,偶然手に取り,山本一力を初めて知った作品.

  • 解説の児玉清が書いている通り。江戸時代のディテールが目の前に浮かび上がると同時にサスペンスと人情話が突き混ぜられて、読みやすいエンターテインメントに仕上がっている。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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