- Amazon.co.jp ・本 (617ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101214368
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
1
-
「ぼくらの意識は頭蓋骨の中に閉じ込められている。でもインターネットはそうじゃない・・・」ネットに人間の意識をつなげられたら・・・どんな世界が出現するのだろう、個人の肉体に付随した自意識を開放するとどうなるのか・・・
その心(自意識)が、宇宙を現実化しているのならば、人間は、この宇宙から逃れることはできないのだ・・・など、小説のストーリーには魅力はないが、上記のような問題提議はおもしろい、この様なお話しが好きな方におすすめ(笑 -
小難しい話が続き、分からんなぁと思いながら遠ざかると、ふいになんとなく共感できる部分が出てくるのでまた引き寄せられるの繰返し。
ロボットの知能(あるいは心)を考えるとき、機械からは遠いように思われる哲学の問題が出てくるのは面白い。しかし、人間は自分の枠を広げることは出来ても越えていくことはできないが、ロボットには枠を越える可能性があるとのだろうか。しかし、ネットもロボットも所詮人間が作ったものである以上その枠を越えることは出来ず、個を越えるだけだから、それほど魅力も感じないが。
ところどころ前に解決した事件、という話が出てくるが前作があったのか。そういう「設定」なのかと思っていた。 -
ヒューマノイドと人間の話で、よく練りこまれてる
-
ヒューマノイドが商品化される近未来を舞台に、人間の意識・知能とは何かを探求する研究者を巡るサスペンス。脳科学、哲学、心理学、コンピュータ・情報理論などが展開されるアカデミックな内容の中で、自意識を持ったロボントのケンイチがボクとして一人称で語るところは中々深い。考えさせられました。
-
さすが科学者作家瀬名秀明という感じです。凄い作品だというのは判るんですが、私にはちょっと難しすぎました。ある程度理系の素養が無いと厳しいかなあ。
-
SFミステリー。
久々に、分量も内容も濃い小説でした。
人間と機械の境界は何か。そんなのは考えてもわからなかった。
森博嗣『すべてがFになる』を思い出す内容も少々。 -
ヒト型ロボットが実用化された社会。ロボット学者の祐輔と進化心理学者の玲奈は、ロボットのケンイチと共に暮らしている。三人が出席した人工知能のコンテストで起こった事件から、悪夢のようなできごとは始まった。連続する殺人と、その背後に見え隠れする怜悧な意思が、三人を異世界へ引き寄せる――。人間と機械の境界は何か、機械は心を持つのか。未来へ問いかける科学ミステリ。
・レビュー
面白かった。久しぶりにテンション上がりっぱなしだった。哲学は人を狂わすほどに面白くて、やめようと思ってもやめられない究極的な快楽だと思う。瀬名秀明のSFの面白さは『パラサイト・イヴ』で判ったのだけれど、『BRAIN VALLEY』ではSFだけでなく哲学の分野でも面白い小説を書くと気付いた。この作品『デカルトの密室』はSFであり哲学であり、そしてミステリでもある。個人的に最も好きなジャンル三つが含まれているのだから当然面白いわけだ。
こんな文章から、この小説は始まる。
“これは「知性(インテリジェンス)」についての物語だ。なぜこの宇宙に知的な存在が誕生したのか、なぜそのような存在はこの世界を、この宇宙を、そして自分自身のことをもっと知りたいと願うのか、なぜ人々は知能に魅了され、知能に幻惑され、知能の謎に搦め取られて、ときに殺人まで起こしてしまうのか、そういったすべての謎についての物語だ”
『デカルトの密室』というタイトルを見た時、『我思う故に我あり』という概念の密室性に挑んだんだろうと思った。ずっとこのテーマで物語を書きたいと思っていたのだけれど、実際は難しいというレベルではない。それを見事にこれだけ読みやすい物語に落としこんでいるのは見事。
しかし、内容はデカルト劇場の密室だけではない。人間は三つの密室に閉じ込められている。一つは身体。物理的な制約の密室。次に自我。思考する〈私〉を知覚することはできない。そして最後に宇宙。宇宙を認識することは何故可能なのか、認識するから宇宙があるのだとすればそれは観測者を含めて宇宙なのではないか。この三つの密室を巡って起こる事件と思考。そのための舞台として提示されたテーマはロボットと人間。ロボットと人間の違いは何か、考えるロボットが在ったとしてそれはいかにして判別できるのか、人間の自由意志とは何か、ロボットの自由意志とは何か。
まさに知性へ挑んだ物語だった。答えのない哲学に限界まで挑んだ物語として読み応えのある小説だと思う。 -
SFミステリーと書いてあったが、SFホラー⁈
理系、文系の垣根を超えた、頭の体操になる本。
しかし、怖過ぎて夜に1人で読んでいたら1人で寝れなくなりました…笑。
これは全然この本の本質ではありませんが…
倫理学を改めて見つめるべきときなんだろうな。
Apr, 2013