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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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わたし、彼のことがたまらなく嫌いになったんです。だから別れました。他に好きな人ができたわけでも、彼に暴力をふるわれたわけでもありません。ただただ、理由もなく嫌いになったのです。
― 142ページ -
「でも、わたし、もうこの靴を脱ぐつもりはないんです」
長い沈黙のあと、わたしはつぶやいた。
― 87ページ -
仕方なくわたしは目をつぶる。自分でも背骨が引き伸ばされているのが分かる。筋肉の繊維が切れ、靭帯が痙攣し、椎間板がはみ出し、骨髄が流れだして、とうとう骨が全部ばらばらになってしまう。一個一個の骨は、ちぎれた真珠のネックレスのように、床に散らばってゆく。その乾いた音も、弾ける感触も、くっきり浮かんでくる。しかもそのことが不愉快ではない。むしろ恍惚感さえ覚える。分解された自分の背骨を手にとって、温もりを確かめたり、匂いをかいだり、光に透かしてみたりするのもおもしろいと思う。
― 105ページ
みんなの感想・レビュー・書評
1998.1.1 第1刷 2007.1.30 第14刷
印刷・大日本印刷 製本・加藤製本
カバー装画・勝本みつる
「薬指の標本」の薬指は左手、結婚指輪をはめる指だと思った。
うっすら不気味。解説にあったように、「消えていく」物語だからだろうか?
表題作「薬指の標本」と「六角形の部屋」の2作からなる本。 どちらも静かで、危うい、不思議な世界で、居心地が悪くてたまらないのだけれど、ともすると自分もその不思議な世界に深く深く嵌ってしまいそうな気がして怖さも感じます。 山本文緒の「眠れるラプンツェル」ほどの狂気ではないけれど、なんとなく怖さの種類が似ている。 現実感のない世界だと思う上に、私は標本室で働いたこともなければ、弟子丸に出会っ... 続きを読む »
思わずため息がでてしまうほどの綺麗な物語でした。
甘美な恋愛にご注目。
六角形の小部屋は不思議で切なイイ話でした。
以前、人差し指の先端を包丁で切り落としてしまった。
まな板に落ちた半透明な私の人差し指の欠片。
窪んだ指から溢れ出てくる血を水道水で流してて、ふと思い出したのが本書、小川洋子著"薬指の標本"
この小説の"ワンシーン"で、サイダー工場で働いていた主人公が薬指の先端を切り落としてしまう。
"桜貝のような、私の薬指の欠片は瓶の中に落ち、透明のサイダーをピンク色に染めた。"
…自分の中で"奇妙かつ、綺麗"なシーンとして残っていたこのシーンが鮮やかに蘇った気がした。
著者、小川洋子の描く世界観は日常的な時間軸から少し外れているように感じられる。
しかし、どの作品もそんな世界が日常の様に描かれているので、読む度に心を違う次元に持って行かれる様な気がして不思議だ。
少し前に読みました。短編2つのお話、最初読んでみても高校生の私には少し難しかったけれど、とても考えるお話でした。小川さんの書かれる話好きだな…
この人が書く言葉ってすごく優しくて心地良い。
短編「薬指の標本」と「六角形の小部屋」。淡くて寂しくなってしまうけど、素敵で不思議なお話。
「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の2つの短編。
両編ともなんとなくだけど”世にも奇妙な物語”っぽいなと思いました。
どちらもちょっと懐かしい印象を受けます。
日常と非日常的の間のような世界をそこだけ切り取ってしまった感じ。
幻想的で切なく夢の中へ引きずり込まれてしまうような・・・そんな不思議な世界観溢れるお話でした。
「薬指の標本」ヒンヤリとして、静かで、美しいお話でした。
標本、だけど、理科室ほどの無機質さはなくて、もう少し、湿度の高い感じがありました。
登場人物や小物たちが生々しくて、うっかりすると現実にもこんな場所があるんじゃないかと、少し、思わされました。
「六角形の小部屋」こちらも、静かなお話。
これは薬指の標本よりも、もっと明確に「あちら側の世界」に迷い込んでしまっている感じですね。
主人公がこちら側に戻って来られた(正確にはあちら側から断絶された)ことは、一概に、良かった、と言えるのか、わかりませんが。
「短編」なのか迷いましたが、2編ありますので、個人的なカテゴリとしては短編集に。
・薬指の標本
・六角形の小部屋
(解説 布施英利)
装丁に「不思議の国のアリス」を感じ、「不思議の国のアリス」のような物語を味わえるかもと思い購入。
アリスではありませんが、「不思議の国」へは連れて行ってもらえました。
著者小川洋子さんの作品はいつも洋風なイメージで読んでしまう不思議さが有る。内容も包み込むように暖かい。
純文学というものの面白さを体験することができる。
人の心がいかにして彼を取り巻く状況を体感させるか。出来事というものは、決して客観的たりえず、それを受け止める者の心を通してでしか、すなわち主観的にしか存在しえない。その描写が純文学であろう。
幻想的な雰囲気。いつの間にか彼女は虜になってたんだなぁ。もう1つ「六角形の小部屋」も想像しても、本当不思議な人たち、不思議な時間。現実と幻の狭間を行ったり来たりしているような。私は小部屋に惹かれたりしないぞ、と自信なくささやく。
サイダーにとける血。
桃色に染まるサイダー。
静かな、雨のにおいのする、部屋。
冷たい浴槽。
色と、音と(それは無音に近いと思うのだけど)、温度の伝わる小説。
美しくて、とても冷たい。
ひんやりと恐ろしい。
小川洋子さん、博士の愛した数式しか読んだことがなかったけれど、こんな小説を書くんだなぁ。
素敵。
タイトルに惹かれて手にしました。 グロくないです。 『博士の愛した数式』を書かれた方だったんですね。私の記憶が確かなら、『博士~』は本屋さんの勧める本のトップだった気が。 全体として不思議な空気が流れている作品でした。 人々が持ち込んだものを標本にすることを生業にする男と、彼の手伝いをする"私"の物語です。 話は、標本と、靴、そして薬指を印象的に... 続きを読む »

・薬指の標本
標本室に勤める女性が、標本をする男性を好きになり、彼に全てを支配され、そして自分も支配されることを望み、最後は自分が標本になる話。
こんな支配的な男性は大嫌いだけど、女性の気持ちは分...





