薬指の標本 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215211

感想・レビュー・書評

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  • あなたは標本にしたいものはありますか?

    標本にしたいものが何か、ではなく、標本にしたいものはあるかを問いたい。
    私は今作を読んでも標本したいものが思い浮かばなかったからだ。

    私は標本と聞いて真っ先に思い浮かぶのはピンにささった昆虫やホルマリン漬けだった。学生の頃何度も機会があったのに、死を目の当たりにしているようで怖さが勝ち、直視出来なかった。理科室で見たあの標本たちは一体いつからあそこにいて、何人の目に触れられてきたのだろう。

    ここでは標本作成室の様子は一文も出てこない。
    標本作成の受付をする一人の女性からの目線で話は進んでいく。彼女もまた、標本作成室の様子を知らない。
    ただただ標本を求めてやってくる人たちの話を聞き、受付をし、標本技師である弟子丸に引き継ぐ。
    彼女の仕事内容はそれだけ。しかし標本を求めるような人たちはそれなりに訳ありのようで、退屈ではないと。

    一体弟子丸は何を彼女に求め、彼女は弟子丸に何を認めてほしくて2人はあの建物に居続けたのだろう。
    愛 が最大のテーマなのかもしれないが、私には少し難しかった。標本、という刺激が強かったのかもしれない。
    いろんな本を読んで、恋愛をして、もっと大人になってからまた読み返したら違う景色を教えてくれそう。

    ありそうでない、ないようでありそうな世界。

  • 裏表紙のあらすじに書いてある、“恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた”という言葉に惹かれて買ってみました。
    読んでみたら何とも言えない感じでした。
    何か難しい。
    文学的というか、感覚的というか、不思議な感じで、短編だから読みやすいんですがあまりハマれませんでした。

    解説を読んでなるほどと思いました。
    「ある」ということ、「ない」ということ。確かにその通りでした。
    薬指の標本はフランス映画があるということだったのでそれはちょっと見てみたいなと思いました。

  • 嫌いではないけど、理解しがたい世界。「六角形の小部屋」の主人公は面倒くさい人間だなあ、と思った。「薬指の標本」は幻想的なムード満載。薬指がちぎれる描写は、グロテスク感を全く感じさせず、美しく仕上がっている。桃色に染まるサイダーの色と泡が、美しい水彩画を見ているようだ。

  • これは、怪奇小説?

  • またまた小川作品ぽい。過去体の一部(薬指の先っぽ)をなくした女が、その薬指(または自分ごと)標本にしてもらう話。
    もうひとつの方は語り小部屋という小さな六角形の部屋で婚約しかけていた彼との話を語る。
    短編である分話が読みづらく、なかなか良い評価とはならなかった。

  • 記録

  • 良さがわからなかった

  • なんか少し気分が悪くなるようなお話でした。
    なんだろう、この変な感じは?
    『人質の朗読会』はとても面白かったので読んでみたけど、今回は残念でした。

  • 小川洋子さんってこういう話うまいなー

  • 短編二作。
    遠回しな表現や何かを象徴として見るのが苦手なので何とも感想が言い難い。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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