博士の愛した数式 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215235

感想・レビュー・書評

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  • ぼくの記憶は80分しかもたない。


    設定が異質ながら、
    ストンと落ち込むストーリー構成
    カイロぐらい温かくなる読み心地。

    本屋大賞第1回を受賞された本作。

    算数苦手ですが、
    気にならず読める。

    悲しくもあり、
    でも温かい気持ちにさせてくれる本作は、
    とてもオススメです。

    星3つの理由は、
    温かい話が苦手な
    ぼくの心が汚れている
    証拠ですのでお気になさらず笑

  • 博士の芯がものすごく愛に溢れていて、
    その博士からの愛にルートがひたむきに応える姿、博士の記憶への愛ある嘘、
    優しくて切なくて温かい

  • 仕事で久しぶりに∇(ナブラ)に苦しめられたのをきっかけに、数学が好きになりたくて手を取りました(笑)。

    事故の後遺症で80分しか記憶が持たない博士と、そこに通う家政婦さんの“私”と、“私”の10歳の息子のルートが、数学と野球を中心にして、心を通わせていくハートフルなストーリー。過去を回想する“私”の語り口に一抹の哀愁漂うところがとても良いです。素数の美しさや、野球場の喧騒、夏の夜の特別な感じが肌で伝わってくる素晴らしい文章!読んで心地よいです。

    読み終わったら数学が少し愛おしくなった気がします( *´艸`)。作中で登場するオイラーの公式も好き!テイラー展開がGIVENであるときの証明もシンプルで面白いと思いました!純粋数学も純文学もいまひとつピンと来なかったけど、どっちの純も、少し好きになれた気がします!

    ※オイラーの公式の証明は、こちらのサイトがわかりやすかったです♪

    ☆オイラーの公式とは何か?オイラーの等式の求め方の流れを紹介【我々の至宝と評された公式】
    https://atarimae.biz/archives/10492


    ちなみに私は博士に「素数でさえ、暗号の基礎となって戦争の片棒を担いでいる。酷いことだ。」(P.178)と言わしめた暗号理論ファンですけど(笑)。

  • ご存知、記憶がもたなくなった数学者と彼のお世話をする家政婦とその息子の悲しく暖かい物語。発刊当時、読んで、映画も観る。数学を小説に表現し、当時としては珍しさもあった。
    未だ新潮文庫の100冊に選定されているのを知り数学繋がりで再読しようかなと思ったのだけど。
    あれから、年齢を重ね、現実的な介護や高齢者の扱いを経験して、施設へ訪問して微笑んでばかりもいられないのよなどと、まだこの作品を楽しめそうもない。もう少し自由になってから読もうっと。

  • 常に博士の頭の中には数学が存在している。
    博士は記憶が80分しかもたない。家政婦とその息子、三人にあたたかい時間がゆっくりと流れたお話でした。

  • この本から知って、中学生の長男に完全数を教えた自分はいったい何者か。
    さて、博士がルート少年に対する態度がとても優しいもので微笑ましく、江夏の背番号28が完全数だったり面白い。
    博士の青春時代と義理の姉との関係が分かったらよかったかな。

  • 本を少し読み進めただけで、今まで聞いたこともなかった"友愛数"や"完全数"などという数字について、まるで理解した気になり、楽しくなっていた。物語中に登場する数字の1つ1つが、小川洋子さんの文章によってとても深い魅力をもつ特別なものとして伝わってくる。

    人間が存在するずっと以前から、数字という見えない存在は在って、それを人間が発見して学問する。それが数学なのだと知った。

    誰ががある時0という数字を発見したことについて博士は、「無を数字で表現した。非存在を存在させた。素晴らしいじゃないか。」と褒めたたえる。確かに。こんな風にして数字や言葉は、目に見えないものを見えるようにするんだろう。その事がどれだけ革新的に世界を前に進めるか。物語の随所に、はっとするような大切なことが散りばめられていた。

    数に対する畏敬と愛が物語全体に溢れている。小川洋子さん作品らしく、どこか哀しさの漂う、けれども愛情あふれる物語。 

  • 「僕の記憶は80分しかもたない」
    このインパクトのある文章が未だに印象深く残っている。

    不器用で心優しい博士と家政婦母子3人の、温かいやり取りがとても良かった。
    難しい数式を解くことよりも、どんなに単純な数式であっても、その正しさを分かち合えることの喜びが一番大切!
    「ルート」が後に数学の教師になって、博士の数式に対する「美学」を受け継いだことが何より嬉しかった。

    深っちゃんと寺尾聰さんの映画もとても良かったと記憶している。
    映画もまた観てみたくなった。

  • この方の作品は、初めて読ませて頂きましたが第一回目の本屋大賞受賞作品だそうですね。映像化もされているそうです・・・(知らなかったのは、僕だけかwww)
     文系の僕にとって、数学は訳の分からないものと思い敬遠していましたが・・・何故か惹かれるものがあって読み始めました。
     ネタバレしてしまうので、詳しくは本書を読んで頂ければいいのですが、家政婦の私が語り部でその息子と主人公の老数学者の物語です。
     作者は、元々純文学で数々の賞を頂けるほどの才能を持ったということで、作品の所々にきらりと光る言葉が散りばめられていました。
     所謂「数学の証明」に、「文学の照明」を当てて輝かせたのはお見事です。
    久々にいい作品に出合えたと思っています

  • 家政婦の「私」は、数学者だった老人の家に派遣される。
    14年前の交通事故で脳に損傷を受け、その後の記憶力が80分しかもたないという状態のため、会う度に挨拶をして、すべて新しく始めなければならない。
    数式を美しいと感じる博士の世界は、静かに澄み渡っている…
    その人柄に次第に好感を持つようになっても覚えていては貰えず、時には会っている途中に、博士が何も知らない状態になってしまう哀しさ。
    未婚で一人息子を育てている主人公が子供を連れて行くと、必ず博士はとても優しい面を見せ、ルートと名付けられた息子との交流も慈しみに溢れて胸をうちます。
    既に語り尽くされている感はありますが… 独特なので、読んでみる価値はあります!

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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