海 (新潮文庫)

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著者 : 小川洋子
  • 新潮社 (2009年3月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215242

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海 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 読めば必ず私のイマジネーションを刺激してくれる小川洋子。表題作以下7編から成る本作もそう。彼女がもちいる言葉のひとつひとつが大好きです。現実にはありそうにない話であっても、なぜか物語の光景はありありと思い浮かべることができます。

    不思議な楽器「鳴鱗琴(メイリンキン)」が出てくる表題作も良いですが、私が特に気に入ったのは「バタフライ和文タイプ事務所」、「ひよこトラック」、「ガイド」。「バタフライ〜」の主人公は、和文タイプ事務所に勤める女性が興味を引かれる活字管理人。顔の見えない彼に妄想が膨らむ膨らむ。エロティックな妄想が滑稽なぐらい。「ひよこトラック」は、ホテルのドアマンを務める男やもめが、転居先の管理人の孫娘になつかれる。といっても、その少女は両親を亡くしてから言葉をいっさい発さない。子どもとの関わり方がわからず、黙ったまま過ごすようになった男と少女。「ガイド」は、母子家庭の少年が主人公。観光ガイドで収入を得る母親は、少年の都合などまるで無視。野球をしたかったその日もツアーに付き合わされる。そこで知り合った老人の職業が“題名屋”だという。

    どれもこれも、小川洋子ならではの世界。引き込まれます。思い出を持たない人間はいない。心に残る言葉です。

  • じんわりと心に沁みこむ静かで優しい7つのお話

  • 2016年12月19日読了。
    「和文タイプ~」、凄くいい。表題作の「海」も好き。

  • 初めて読んだ小川洋子作品。

    勝手ながら、群ようこさんのような、
    なんてことない日常が描かれているのかな
    と思っていましたが、もっと違う、
    ありそうでない日常が描かれていました。

    特に印象的だったのは、
    タイプライターの事務所で働く活字管理人や
    人の思い出に題名をつける題名屋、
    へんてこなシャツばかり売るシャツ屋など、
    ありそうで見たことない職業の人物たち。

    作品を読んですごいなと思ったのは、
    非日常的な要素が盛り込まれていながら、
    まったくリアルじゃないわけじゃない。
    それはきっと、登場する人々が、
    それぞれの世界の中で、
    リアルな世界の読者と同じように
    悩んだり苦悶したりしているからだと思う。

  • 短編集。なんてことないようで、圧倒的な世界がそこには存在する。題名屋が素敵。

  • 軽いの読みたいな―と思って古本屋で買った。さらっと読める純文学読みたくて。

    バタフライのタイプ事務所が面白かった。ただ、あからさまにあからさまなあれな話やのにインタビューが見当違いすぎてなえた。
    ウィーンのもよかったかな。
    缶入りドロップは国語の問題になっとるのを見たことがあったけど、ほのぼのしとっていいよね。
    銀色のかぎ針は、作者があれやしめっちゃ地元の話やったけんふふってなった。

  • 『題名のない思い出に名前を』

    小さいものと、古いものが、交わる時。そこにどんな世界が生まれるのか。少ない言葉で紡がれる物語は、幾重にも重なって小さな海を作り上げていく。

    美しいものはとても残酷で、温かいものはいつもここにはなかった。だけど、そこにしかいられない人々の生活は、外にいる人には触れることさえできないだろう。触れようとするかどうかも私にはわからないが。

    言葉は意味よりも大切な何かを伝えているように感じた。海が青いだけでないように。

  • 7編の中で好きだったのは、「風薫るウィーンの旅六日間」「缶入りドロップ」「ガイド」でした。小川さんの小説にはいつも変わった職業の人たちが出てきますが、この小説の中にもシャツ屋さんに題名屋さん活字管理人など面白い職業の方たちが登場します。小川さんの本を読むときは今回はどんな人たちが出てくるんだろうといつも楽しみです。

  • 帰省の際、購入した本。短編集。なかなか良かった。彼女の文章も好きだけど、登場人物も結構好き。全体的に静かな雰囲気が素敵だといつも思う。

  • 身体的欠損のある人物が出てこないぶん前回の短編集『まぶた』よりはマイルドに感じた。どっぷり浸かるには物足りないが、あのふわふわした読後感がなんども味わえるのは短編集ならでは。別々のお話ではなくどこか遠くの国の風景の切り抜きを集めた写真集のようだった。ただバタフライ和文タイプ事務所だけは女性を強く意識させる異色の作風で、それはきっと扱われる活字とですます調の文体のせいだろう。表題作の海と最後のガイドが好きで特にガイドで僕が男を迎えに行くところから涙ぐんで読んだ。

  • 大好きな作家さんです。
    彼女の言葉は沁み渡っていく感じがします。

    鳴麟琴の音を聞こうと思わず耳をそばだてる自分。
    ひよこトラックを見て、声をあげる少女と共に息をのむ自分。
    和文タイピストと共に、ひそかな思いに身もだえする自分。

    そんな風に本の世界にすっと導いてくれる、素晴らしい本・作家だと思います。

  • 「ひよこトラック」と「ガイド」が好き。博士の愛した数式を思わせる、世代の離れた子供と老人とかの組み合わせが何かほっとする。どの短編も登場人物が、それぞれの物に一途で、奇妙な場面も不思議な魅力と感じます。

  • 見えない空間を、言葉で捉えていくような物語。
    ひとつのものをじっくり観察した先に見えてくる世界を描いているなあと。

  • 20151008読み終わる。

  • おなじみ、想像力のサーカス( ´ ▽ ` )ノ。
    まあ、そろそろ幻想だけじゃ飽きるなぁ〜と思いかけてたところで、本書には現実にかなり沿った物語が増えていたんで良かった( ´ ▽ ` )ノ。
    ガイドがいいな( ´ ▽ ` )ノ。
    女流の人がよく書く話ではあるんだけど( ´ ▽ ` )ノ。
    シャツ屋とか記憶屋とかは、はっきり言って邪魔な設定だったけど( ´ ▽ ` )ノ。
    2015.4.15

  • 今は失われてしまった何か、
    だけど確かにここにある。
    そんな話が詰まった短編集。
    良いもの、辛いもの。
    全てが今の自分を作っている。
    相手を間違ったとしても確実に救われた人がいる。
    誰にだって見送ってくれる人がいていいはずだ。

  • 短編集。
    情景描写がいいところもある。

    殻には沈黙が詰まっている・・。いい表現。

  • 「海」と「ひよこトラック」がすごくよかった。小川洋子さんの短編は露悪的じゃないのに、さらりととんでもない秘密を暴露されるような静かな尖りを感じるのですが、この短編集は比較的ユーモラス、そしてひたすら美しいピースが揃った短編集でした。「ひよこトラック」は結末じゃないところで泣きました。

  • なんとなく読みたい本が見当たらない時は小川さんに頼ってしまいます。 ひとつひとつのお話はつながっていないのですが、この収録順が素晴らしい。間で小休止のように入ってくる「缶入りドロップ」の優しさ、最後の物語「ガイド」の中での題名のプレゼントが また嬉しい。読後感も爽やかで、とても良かった。

  • 美しく奇妙な物語には溺れてしまいたいので
    掌編だと物足りなさを感じてしまう。

    ひとつのことをずっと続けてきたひとたち。
    言い換えればそこにしか居場所がなかった、
    とインタビューで小川洋子が答えているが
    居場所だと感じられるものを掴むことができた人はきっと幸福だ。
    大切なものはひとつでも充分。

  • バタフライ〜がよかった。小川洋子作品は、薬指の標本が一番すきなのだが、バタフライ〜もまた同様の雰囲気。
    何もしていないのにえろいとか、わけわからん職種とか。実体のないかもしれぬものの、存在感とか。

  • こういう本を評価している人が居るというのが、一番勉強になった。
    熱を感じない。彼女には自分を削ってまで表現したいものがあるのかどうか。小説を書くために小説があるわけじゃない。個人的にはこれは致命的だと思う。おれは積極的に読もうと思わない。
    ただし、アイデアは面白いし、表現も、あとひよこトラックの生理的なトリハダ感は尋常じゃない。
    繰り返すが、惜しいのはそれが空っぽに感じられてしまうところだ。とはいえそれはおれの個人的な小説観。というわけで4個!

  • とても短い掌編だけど、缶入りドロップがすき

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海 (新潮文庫)の作品紹介

恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る"鳴鱗琴"について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。著者インタビューを併録。

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