海 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 300
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215242

感想・レビュー・書評

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  • 短編は短い妄想だと、著者インタビューに書いてあり、その果てを知らない妄想には、私の想像力など全く及ばない。だから、ついつい読み耽ってしまう。

    「海」というタイトルを見て、こういう話ではないかと、なんとなく想像してみたが、かすりもしないのは、そりゃそうであって、小川さんの述べる「その世界でしか生きられない人たち」を、「そうではない人」と触れ合うことで生まれる物語は、おそらくささやかな出来事であっても、お互いにとって、大切なものになったのではないかと思ってしまう展開が素晴らしくて、「ひよこトラック」の中年のドアマンと無口な少女もそうだし、「ガイド」の僕と題名屋の老人もそう感じました。ガイドは、タクシーの運転手も良い味出してて好き。

    また、それとは別に、「風薫るウィーンの旅六日間」の終わり方がまた印象深く、ものすごく厳かな雰囲気の中に、突如訪れるコメディ的な要素が、何とも言えない感じで良かった。まさかと思ったけれど、これはこれで良かったよねって。

    そんな他の人にとって、どうでもいいようなところにも目を向ける小川さんの人柄は、インタビューを読んでもすごく興味深く、下記の言葉が特に心に残りました。

    「たとえ本というものが風化して消えていっても、耳の奥で言葉が響いている・・・そんな残り方が、私の理想です」

  • 久々に読んだ小川洋子さん。

    お気に入りは『バタフライ和文タイプ事務所』、『缶入りドロップ』、『ガイド』です。
    『バタフライ和文タイプ事務所』はすごい官能的で、でもどこかコメディチック。薄水色のシャツと手、声くらいしかわからない「活字管理人」に妄想が膨らみます・・・!「活字」と肉体が混同してきて、えろい・・・

    『缶入りドロップ』は優しい気持ちになりました。
    『銀色のかぎ針』は珍しく地名がはっきりしててエッセイのような感じでした。自分の身近な土地や乗り物だぁと思ったら終わっていました(笑)

    『ガイド』は、『博士の愛した数式』とは違うけど、おじいさんと少年っていう組み合わせがなんか好きででした。「題名屋」って素敵。終わり方が思いのほか優しかったです。

    日本のような外国のような、どこかにある街で繰り広げられる人間模様。
    本当にあるのかないのかわからない(たぶんない 笑)職業や、楽器が魅力的です。

    • ahiruさん
      yamatamiさん、こんにちは。

      先日は、コメントとフォローありがとうございました。
      yamatamiさんの優しいふんわりしたレビ...
      yamatamiさん、こんにちは。

      先日は、コメントとフォローありがとうございました。
      yamatamiさんの優しいふんわりしたレビューとスナフキンの素敵なアイコンに気付いたらフォローボタンを押してました(*^_^*)
      まだ読んだことのない、素敵げな本がたくさん登録されていて、ワクワクが止まりません。こちらこそ参考にさせて下さい、よろしくお願いしますvV

      『海』、いいですよね…!!
      静かセピアな雰囲気にノックアウトなのです。「和文タイプ…」のたかが文字なのにエロティックな雰囲気にメロメロしました。

      ムーミン好きなので、ムーミン関連書籍のレビューも楽しみにしてます(^^)
      2014/03/12
  • 帰省の際、購入した本。短編集。なかなか良かった。彼女の文章も好きだけど、登場人物も結構好き。全体的に静かな雰囲気が素敵だといつも思う。

  • 今は失われてしまった何か、
    だけど確かにここにある。
    そんな話が詰まった短編集。
    良いもの、辛いもの。
    全てが今の自分を作っている。
    相手を間違ったとしても確実に救われた人がいる。
    誰にだって見送ってくれる人がいていいはずだ。

  • バタフライ和文タイプ事務所、缶入りドロップ、ひよこトラックが好きです。静かでやさしい文章のなかに流されていくような感覚。

  • これが小川洋子作品初読。ふわっとしているような、でもじわじわと心に響いてきます。明確な単語で表現できないひそやかな心の動きを、言葉で見事に表現するんだなと。

  • すべて不思議な短編、

    バタフライ和文タイプ事務所
    銀色のかぎ針
    缶入りドロップ
    ひよこトラック
    ガイド

  • 『海』
    小川洋子/新潮文庫
    .
    短編集。
    .
    題名の鳴鱗琴奏者である恋人の弟話を筆頭に不思議な雰囲気の短編。
    タイプライターの話は言葉遊びをされていると感じた。

  • たとえ一瞬でも自分を思い出してくれる人がいるっていいね。外の世界で自分の存在を感じられる瞬間だと思う。

    私の人生にも題名をつけて欲しいな

  • 静かに話が進んでいく短編集。
    読後もやっとする話が八割を占めていた。
    不器用な人が頑張って他人に合わせようとする様になんともいえない居心地の悪さを感じた。
    著者作品初読。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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