いつも彼らはどこかに (新潮文庫)

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著者 : 小川洋子
  • 新潮社 (2015年12月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215273

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いつも彼らはどこかに (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 今まで読んだ中で1番静かな作品だった。いつもより重く深く静か。ページをめくる音すらたてたくない。深夜ひとりでただただ読んでいた。風の音や鳥の羽ばたく音、そしていつもどこかにいるであろう彼らを感じながら。

    3話目まで正直きつかった。面白くないわけではなくきつかった。なかなか浮上出来なくてもがいている感じ。特にハモニカ兎は…。4話目から話に入り込めて楽しめるようになった。
    「目隠しされた小鷺」と「愛犬ベネディクト」がとても好き。

    「帯同馬」
    帯同馬と言うのがあるという事を初めて知った。その立場、その役割、重要だけど切ない。そして帯同馬としてなら遠くに行けるかもしれないと考える彼女の事も切なく思う。
    「ビーバーの小枝」
    ビーバーの頭蓋骨が送られてきたらびっくりするだろうな…小説家のように大切に使っていけたらいいなぁ。
    「ハモニカ兎」
    寂しそうなハモニカ兎。うさぎの話は楽しい話がいいと思う私はわがまま。この村にくるオリンピック競技については笑えた。盗み…確かに。
    「目隠しされた小鷺」
    美術館の受付女性と移動修理屋アルルの老人、画家Sと魚屋の女主人、移動修理屋アルルの老人と『裸婦習作』の関係が好き。
    どの関係にもはっきりとした決着はなく色んな事を想像してはため息をつく。
    「愛犬ベネディクト」
    『ええ、いいのです。いつまででもいいのです。私の背中はそのためにあるのですから』ベネディクトの背中を私もいつまででもなでたい。
    ベネディクトは生きていてこの話は全部本当の話、そう思わせる力が小川洋子さんにはある。
    「チーター準備中」
    hを亡くした女性がhを求め探している姿が切ない。いないものを誰よりも大切に思える人。
    「断食蝸牛」
    この話は苦手。想像したら鳥肌が立ちそうだから。ひゃー。
    「竜の子幼稚園」
    身代わり旅人、何らかの理由で旅ができない人の代わりに旅をする仕事。素敵な職業だ。身代わりガラスの中に依頼人から預かった物を入れて旅をする。
    代わりに旅をしているのではなく、その人に付き添って旅をしているのだと思う優しい彼女の今回の旅は何処へ…妄想に耽ったまま読了。

  • 身近にある動物たちを、ひっそりとモチーフにした短編集。

    メインを人の想いや人生に置き、そこに寄り添うように様々な価値で動物たちを忍ばせ、悲しい寂しい話も充実した読後感を演出しているように思う。

    不在なるものを想うことによる、人生が紡いだ物語、ここに極まれり、という感じかな。

    この作品の中に潜む静謐な世界観も含めて、言葉はいらない、ぜひ読むべし。

    小川洋子さんの持つ、世界観の演出、いろいろんな世界があって、読むたび楽しませてくれる。

    さて、次は。

  • ランチタイムに、自分の席で、近くの小さな公園で、
    一人で食べにきたお店で、少しずつ読み続けた本
    短編集なので、ちょうど良い感じで短い時間に読めた

  • 久し振りに小川洋子さんの短編集を読む。

    動物が何らあの形で係る連作集なのだが、例えば看板の兎に拘る登場人物にウソっぽさを感じてしまった。日本ではなく、かといって特定の外国でもない不思議な場所は「ブラフマンの埋葬」でもそうだったが、この作品集ではなぜか醒めてしまった。

    (引用)
    …世の中には目隠しの似合う人と似合わない人がいるのかどうか分からないが、間違いなく老人の顔にそれは上手く馴染んでいた。小鼻の出っ張りと縁のカーブがずれることなく重なり合い、前方に突き出した大きな耳が紐をがっちりと支え、禿げあがった青白い額が、黒い色を特別に引き立てていた。

    ディティールを重ねていく小川洋子節を堪能するところもあった。こういう細部の描写が却って、何かの欠落を際立てているような気もする。

    「断食蝸牛」は、小川さんってやっぱり変な人だなと思った一編。
    「ビーバーの小枝」が一番しっくりきた。

    やっぱり、小川洋子さんはちゃんとした小説を読もうかな。

  • しっとり不思議な感覚になる短編集。美術館にくる修理屋はちょっぴり苦手。なのにクセになる。何だかいけない気持ち。帯同馬に思いを馳せた。

  • 短編集。小川洋子は小説を読むという行為について深く考えさせられる作家である。内容に意味は無いし、不条理だし、所謂面白さとも無縁。
    無意味だからこそ手に取りたくなる。

  • 動物に抱く無垢さや純粋さなんてものは人間が勝手に思っていることで実際のところ動物がそうであるかどうかは永遠に知ることがない しかし私たちから見る動物はやっばり永遠に無垢で純粋であるのだと思う ブロンズの犬や看板をかける兎の命の宿っていないものでも小野洋子さんにかかればまるで生きていて意志を持っているよう どんなものでも体温を持たせてしまう このあちこちに与えられた温かさが読んでいる間の安心感の正体だと思う 温かいもの命を宿しているもの宿さたものはどれも美しいということ 道端の石ころも誰かにとっては体温があり美しいものなんだろう

  • 気がつけばいつも側にいて、安らぎと暖かみを与えてくれる存在。そんな動物たちのエピソードを描く8つの物語。
    『帯同馬』と『ハモニカ兎』がお気に入り。決して主役ではない彼らの存在が、人生を豊かにして生きていくことの糧をくれる。目の付け所が小川さんらしい。

  • 『失った物をあなたは覚えていますか』

    片方だけのピアス、仕舞って置いたはずの切手、大切な人と見たミュージカルのチケットの半券、臍の緒、なくした物をあなたは覚えていますか?

    生き物がテーマだと言い放つにはあまりにも動物達は自然で、異質で、矛盾をはらんでいる。

  • 情景描写がとても好きです。
    寂しくて暗く、グロテスクで怖い、でも美しい。
    どこか異国の寓話を思わせるような不思議な雰囲気なのです。
    簡潔で押しつけがましくない、想像させるような余白のある文章に魅力を感じました。

  • 2016年、31冊目です。

    動物と人間のふれあいみたいなことがモチーフかと思って読み始めました。
    それは、心地よく見事に裏切られました。まさに小川ワールドという感じです。
    ストーリーや文体そのものに、大きな感動や心を揺さぶるメッセージがあるわけではないのですが、自分の心の中にある様々な考えというか既存の感情の隙間に、じわっとしみ込んでくる感覚がします。
    これは、私の小川洋子作品に対して共通して抱くイメージです。
    この小説は、何かしらの生物が出て来る8つの短編が収められています。
    「帯同馬」/「ビーバーの小枝」/「ハモニカ兎」/「目隠しされた小鷺」/「愛犬ベネディクト」/「チーター準備中」/「断食蝸牛」「竜の子幼稚園」です。

    「目隠しされた小鷺」に出てくる移動修理店の老人が、1枚の絵を見るために、小さな美術館にやってきます。そこで働く「私」は、老人がその絵を見るために行っている奇妙な行動を手助けすることになります。この老人の行為にすごい重たい背景があるのか?と思わせながら話は、「私」とその老人の関わりで進みます。”小鷺”が出てくるのは、最後の一瞬です。まさに、いつも彼らはどこかにという感じですね。

    「帯同馬」というのは、海外の大きな競馬レースにでる本命サラブレッドの精神的安定をはかるために、一緒に移動遠征する時に”帯同”するレースに出ない馬のことです。この物語だけが、関東の競馬場であることが分かります。ちなみに他の作品は、まったく場所が分かりません。そもそも日本なのかさえも特定できないです。そういった物語の設定の場所を無機質で、白っぽい感じにすることで、登場する人間の行動の中に心の機微を感じやすくしているだろうかと思います。

    「愛犬ベネディクト」は、もうちょっとのところでサイコパス的世界に入ってしまいそうな感覚をうけました。愛犬とは犬の置物なのですが、それに対する家族の思い入れ方というか、存在の受容性が、滑稽に思える反面、恐ろし世界を描いているという感覚を待たせます。(2016/11/19)

    その他の小編については、また思い出せたときに、加筆します。

    おわり

  • 短編集。どのエピソードも特に面白みがなく、
    感動もなかった。
    ピカレスクコートのことが書いてあるということで買ったが、退屈だった。

  • 本質とは全く関係ないのだが、初っ端の『帯同馬』で若干のつまずき。ピカレスクコートは現地で重賞二着とか、その後日本でも重賞ウィナーであるとか、その筋の人間からすると名も知らぬ馬ではないだけに、微妙な違和感からスタートしてしまったのが運のつきかもしれぬ。
    まぁそれはさておき、ちょっと質が落ちるかな?幾つかは流石と思わせるし、この作家独特の死の匂いは感じさせてくれるのだが、何と言うかゾクゾク感に欠けるかな、この作品集は。

  • 動物にまつわる八篇の短編集。
    動物と言っても犬や猫といった愛玩動物ではなく、馬、ビーバーの骨、兎の看板、小鷺、犬のブロンズ像、動物園のチーター、蝸牛、タツノオトシゴという最早動物ではなく物。
    動物の関わり方も物語の中心を占めるものから物語自体には影響のないモチーフのようなものまで様々。

    この作品でも小川洋子さん独特の世界が拡がる。
    わたしが小川洋子さんの作品を読むといつも感じることは、“ひそやかな世界”ということ。
    何もすることがない眠れない夜中、小さな声で囁くように誰からともなく誰にでもなく、何と言うことのないオチも何もない物語、聞いていてもいなくても構わない、ただ時間を埋めるために語られる物語。そういったものを感じる。

    小川洋子さんの文章は、静かで穏やか、さみし気でさえあるのに時々クスリとさせる。何でもない物語で細かい設定もなく、時には結末も明らかでないこともある。
    そういったものが好みでないかたもいるだろうし、つまらないと感じるかたもいるだろう。わたしは読者の感じ方それぞれに物語の結末の着け方を預けてしまうようなところに余裕があるというかゆとりのあるものを感じて心地良い。

    「ビーバーの小枝」
    亡くなった翻訳家の息子夫婦に会いに行く作家の物語。
    「目隠しされた小鷺」
    美術館の受付アルバイトをする女性と一枚の絵を観るためだけに訪れる移動修理屋の老人の物語。
    「竜の子幼稚園」
    身代わりガラスを身に付け依頼に応じ旅をする女性の物語。
    この三作品が特に印象深い。

    江國香織さんの解説もわかりやすく良かった。

    誰にでも思い出の詰まったものや、自分の支えになるものなど何かひとつはあるはずだ。それが生物であろうと静物であろうと。

  • 「いつも彼らはどこかに」
    こんなにしっくり来るタイトル、なかなかないな。
    静かで綺麗で、でもどこか気味の悪い雰囲気も持っていて、不思議な世界でした。
    またいつか読みたい。年を重ねてから読むと、また違った印象を抱くかもしれないから。

  • ひっそりしていて、ぺたぺたとくっついてくるような微かな不快感があり、ほんの少しの不安が終始漂い、死のにおいがして、動物たちはおかしな人間味を与えられることなくあくまでも動物として登場する。

  • 不思議なお話ばかり。

    帯同馬とビーバーですかね。うちの近くには動物さんがおらんのですが。

  • 小川洋子さんらしい静かに静かに浸透するような不思議な世界感のお話が8編。

    どれも動物が関連して、閉塞的で、今はもういないということが共通しているのだけど、結末はぞっとするものからほんのり暖かくなるようなものまで粒揃い。

    年配の主人公(というより、物語の語り手なイメージ)が中心となったお話が最近増えてきたのは、小川さん自身が年を重ねてきたからなのでしょうか。
    小川さんらしさを残しつつ、新天地というのはそれはそれで楽しいですが、少し寂しい気もします。
    今でも「薬指の標本」や「ホテル・アイリス」が特に好きなんですよね。

  • 必ずしも「やさしい」物語ばかりではないけど、ひっそりと、心にしんと落ちてくる短編集。
    小川洋子さんですね。

  • 日本が舞台のはずの物語でも、どこか異国のかおりがする短編集。
    静寂。という言葉がぴったりな小説。

  • 動物と人との関係って、何なのかなあ・・・と思う。

  • ひそやかで、なんだか物悲しく、孤独に見えるのに、それで十分世界が満たされている。
    小川作品らしさが詰まった短編集。
    作品に寄り添う動物たちも奇妙で独特で、今まで自分の見ていたそれとは違うもののよう。

  • この短編小説の主人公や彼らに縁のある人達は、皆静かで目立たず、どこか頼りなさすら感じる人物なのだけど、そこがとても親近感を感じる。物語には必ず動物のエピソードが交えられていて、その動物の姿と主人公たちがとても雰囲気が似ている。目立たずひっそりとしていて、出しゃばらない。ただありのままにあるべき場所にいて、主人公の心を支えている。
    蝸牛の話だけは気持ち悪くて後味がなんとも表現し難いのだけど、他は優しくて、ユーモラスで、切なくて、余韻が残るお話であった。

  • 著者の動物に対するまなざしには、ごまかしや偽善がない。その純粋なフィルターを通して、慎ましやかに生きる動物の姿が見えてくる。
    江國香織のあとがきも素晴らしい。

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いつも彼らはどこかに (新潮文庫)の作品紹介

たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。深い森の中、小さな歯で大木と格闘するビーバーのように。絶滅させられた今も、村のシンボルである兎のように。滑らかな背中を、いつまでも撫でさせてくれるブロンズ製の犬のように。――動物も、そして人も、自分の役割を全うし生きている。気がつけば傍に在る彼らの温もりに満ちた、8つの物語。

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