- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101218410
作品紹介・あらすじ
その男は三十人を嬲り殺した。しかも一夜のうちに-。昭和十三年春、岡山県内のある村を鮮血に染め「津山事件」。入念な取材と豊富な捜査資料をもとに再現される、戦慄の惨劇。不朽のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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「八つ墓村」のモデルとなった事件のノンフィクション。聞き込みによる殺戮の経過は圧巻。2016.12.11
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昭和十三年春に実際に起こった事件を取材、捜査資料を基に検証したもの。
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これ、フィクションではなく、実際にあった犯罪なんだよな。
そんなことはネットで見て知っていたはずだが、ここまでつまびらかに描写し語られることで、ある種の「実感」を持ち、それ故に陰惨たる気持ちになってしまった。
筆者はジャーナリストらしく、文献と取材にあたり、状況からの推測は立てるが、憶測を含まず事実から淡々と事件の概要を構築し、事件そのものと、犯人・都井の人生に向き合う。その姿勢がすごく良い。阿部定事件に犯人が執心していたというのも唸らされる。
30人殺しの描写は息が詰まるリアリティだった。 -
時代なのか土地なのか両方なのか何なのか
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30人のうちほとんどが即死。
真夜中の山村の中を自在に駆け回り、確実に獲物を逃がさず仕留めていく。
これはもう物凄い体力と集中力でしょ!
どこが病弱なんだか!
村の中の男女関係の乱れも物凄い。
田舎の黒い部分が呼んだ悪夢。 -
横溝正史の「八つ墓村」のモチーフとなった事件が実際にあったと知り読んでみた。
「八つ墓村」に登場する要蔵の奇妙なかっこうも、実は「津山事件」の犯人・都井睦雄が事件当時していたものとほとんど変わらないと知って驚いた。
写真や殺害現場の見取り図などを効果的に使い、ひとつひとつの惨劇の様子を事細かに検証していて、申しわけないけれどちょっと気分が悪くなってしまった。
それほど臨場感にあふれていたということだろう。
犯人の生い立ちを丁寧に追っているのだが、動機らしきものはわかるのだけれど。
出口のない迷路をぐるぐると回っているうちに、被害妄想的な発想に拍車がかかってしまったような気がする。
しかし、これほどまでに用意周到な犯人の心理がとても怖い。
犯行そのものも勢いに乗って…ではなく、ひどく冷静に淡々とこなしていたのでは?と感じる。
わずかな時間内に多くの殺戮を繰り返すのは体力がいる。
徴兵検査で実質的な不合格になったのに、人を殺すために体力には不自由しなかったんだなぁと。
時代や土地に根づいた因習に縛られたことが影響しているかもしれないけれど、何となく薄気味悪さしか残らない事件だ。 -
戦前の山村集落で発生した事件のデータをよく集めたなとは思うが、事件の本質に迫る何かが足りていない気がする。
それはおそらく部外者では理解できない因習的な何かだろう。