前へ!: 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録 (新潮文庫)

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著者 : 麻生幾
  • 新潮社 (2014年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101219349

前へ!: 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  2011年3月11日14時46分、皆さんはどこにおられたでしょうか。私は会社で仕事をしていました。非常階段への扉だけ確保して机の下に潜り込んだことを、不思議と覚えています。あれから3年が過ぎ、折々で思い出すことも多いですが、どんな形であれ“前”を向いて歩んでいこうと思ったのは、こちらを読んだから。

     東日本大震災は、日本にとって「戦(いくさ)」であったとあらためて。その戦場の最前線で戦った戦士たちを追いかけたノンフィクションとなります。

     つくづくに痛感したのは、「緊急時の対応力で、人も組織も、ソノ“本質”が見える」ということ。

     “この「十二時間」は“謎の十二時間”である。”

     1分1秒を無駄にできない状況下で、ただ無為に十二時間を浪費するセンスのなさ。東京電力管内で起きた“福島原発事故”は間違いなく人災でしょう。東北電力管内でも同じような状況があったにもかかわらず、特に問題が起きなかったことと比較するだけでも、この“東京電力の異常さ”が一層際立って見えます。

     “海江田大臣の命令は、政治的なパフォーマンスではないか”

     そして、東京電力内部だけでなく、当時の政府トップのグダグダもそれにいっそう輪をかけていました。密室協議とか、全ての判断責任をすべき総理大臣が一現場にいって怒鳴り散らして帰ってくるだけとか、必要な情報は隠したままで、ただ現場に無意味な要望とその責任すらも押しつけるだけの経済産業大臣とか、、

     まさしく『失敗の本質』でつぶさに語られていた、旧陸軍の失敗をそっくりそのままなぞっているかのような在り様でした。兵站の軽視や精神論で怒鳴るだけで、決して責任をとろうとしないことも含めて。「歴史は繰り返す、違う顔で」とは誰の言葉でしたか。少なくとも、二度と彼らに危機管理を任せる気概を、私自身は持てません。

     それはさておき、本編の主人公は副題にもある「無名戦士」たちです。自衛隊、国交省東北地方整備局、警察、消防隊、そして、災害派遣医療チーム(DMAT)。現場で最善を尽くし、持てる力のすべてを出し切った人々の、物語。

     そんな“現場での力”が際立つだけに、大半のトップの体たらくもまた浮き彫りになりますが、、そんな救いようのない中でも、当時の「国土交通大臣大畠章宏さん」は凄かったと思います。

     “すべて任す。国の代表と思ってあらゆることをやってくれ!”

     こんなリーダーであれば、頼もしいと、そして、存分に動くことができるとも。そういえば当時、この方のお名前をテレビなどで拝見することは少なかったような、、それはただ、ひたすらに“前”に進んでいたからでしょうか。

     ん、リーダーとはかくありたい、なんて風に感じた一冊です。

  • 麻生幾氏の本は,今回はじめて読んだが,わるいが文章そのものは,やや幼稚であると思った.ストーリーもまとまっておらず,時系列も統一性がない.ただ取材したメモをそのまま本にした,というかんじ.しかしそれゆえ,そうとうに粗削りであるものの,迫力は感じた.トータルでは 読んでよかったと思う.
    1.福島第一原発を冷やせ―兵士たちの知られざる戦争
    ヘリからの放水,消防車からの放水の現場の話.前述のとおり時系列はバラバラだが,迫力はある.
    感じたこと
    ・“どこを目がけたらよいのか? 東電からぜんぜん情報ない!”→東電の担当者とちょくせつ連絡とれなかったの? とおもう.まあいろいろたいへんだったのだろう.
    ・縦割り行政とか縄張り意識とかいろいろ言うのは易いが,たしかに自衛隊+警察+消防が円滑に協力して・・というのはたいへんでしょうね.
    ・自衛隊の視点で書かれているので,東電職員を“捌き屋”などとまともにこき下ろしている.→まあ率直な感情なのだろう.おもしろいとは思うが,さすがに東電の人が気の毒な気もする.みんなそれぞれ,身命を賭してがんばっていたのだろうから.
    ・海江田さんてのはダメだね~.命令する立場じゃないのに,パニクッっていろいろ指図しちゃあ.
    2.救命への道路を啓け! がれきを排除し橋を守った,男と女
    ・国土交通省の現場の職員たちが,ともかく緊急車両が通れるように,“啓開する”はなし.(啓開とはそういう意味) 国道4号線が生きていたので,そこから東に分岐して太平洋岸まで繋がる主要道を通れるようにと.地元の民間建設業者も献身的に協力したと.
    ・“ふつうのがれきじゃないので・・”=遺体が挟まれていて・・⇒ほんとに心身ともに,想像できない負担があったのでしょう.
    3.各省の壁を越え,命を救った者たち
    DMAT=災害派遣医療チームの話は興味深かった.2泊3日=発生72時間までが活動単位.自己完結が“掟”

    さいごに,どうも文句ばかりになって申し訳ないが,この人は少し国語力が・・と思ってしまう.
    →「墨を塗りたくったような」計画停電の町…う~む,なにか違和感あるなぁ~,/私の恐怖心が「増長する」…こういう使い方もあるのかなぁ~?,/多くの(現場の)方々が洩らした「たわいもない」言葉…人が言ったことを「たわいない」というかなぁ~? ⇒まあ自分も人さまの国語力をどうこう言えませんけどな.

  • 東日本大震災の発生後、福島第一原発の冷却に挑んだ自衛隊と消防、情報が錯綜する中で災害救援のための陸路を切り開いた国土交通省と地元民間の建設業者、被爆のリスクを覚悟しながら避難区域内の住民の避難誘導に携わった警察、救命医療に携わった医療関係者たち。これら様々な立場の方がいかに自らの職務に毅然と立ち向かったのかを伝えるノンフィクション。内部被爆を避けるためにヨウ素対応マスクとゴーグルを着用して原発の冷却に挑むも、より的確な放水のために放射性物質が浮遊している中でマスクとゴーグルを外して作業にあたった消防隊員。部下の自衛隊員の不安を払拭するために被爆のリスクを覚悟しながら最前線で指揮し続けた自衛隊の幹部。こういう人たちがいてくださったおかげで、破滅的な状況を避けることができたのだと改めて実感。”危機管理において、最大のリソースは、やはり「人」であると改めて確信した。「貯金より貯人せよ」”という本書に登場する医療関係者の方の言葉がずっしりと響きます。

  • B級ハリウッド映画みたく、文章に「!」マークが多すぎ。もっと抑えた筆致で描いて欲しかった。

  • 中央政府や東電中枢のどうしようもない指示の中、目に見えぬ放射能の恐怖に立ち向かいながら原発冷却作業にあたった陸上自衛隊。

    自分たちも被災者なのに、不眠不休で交通網の回復作業にあたる東北地方整備局。

    慣例、因習にとらわれず、臨機応変に対応した警察官やDMATスタッフ。

    心を打つのはそうした直接現場で働く人たちや、責任と覚悟をもって対応にあたる人たち。そして、おにぎりをにぎってくれる人たち。

    心をいらだたせるのは、責任も覚悟もないくせに体裁ばかり気にして適当な判断を下す大臣や東電首脳陣。

    この日本を支えているのは、偉そうな戯れ言を唱えている政治家たちじゃなく、現場で必死に…そう、文字通り必死に働いている人たちなんだということを改めて思い知らされた一冊。こうした本を読むたび、できることは少ないなりに自分も何かしなきゃ、と思う次第です。

  • 東日本大震災で、ダメージ軽減のために奔走した人達のノンフィクション。

    仮復旧のために国土交通省や土木業者の活躍もいいのだが、やはり前半の福島原発の暴走をとめるために奔走する陸上自衛隊のドキュメントが、この作品の見せ場だと思う。
    関係者それぞれの立場で、想定外の状況であったとしても東京電力、政治家には分が悪く、自衛隊には脱帽せざるを得ない。

    また、鶴市作戦という決死の作戦を実行する直前までの状況であったことを初めて知った。

    東日本大震災の多くのノンフィクション作品の中でも重要な作品の一つだと思う。

  • 140415

  • いや、本当に「前へ!」ですね。
    読んでいて、当時のことを思い出し、
    思わず心が熱くなってしまいました。

    それと合わせて思い出したのが、
    当時のK首相と、T電気の体たらく。
    いや、この一人と一社は、今に至るまで、
    ダメダメですが。

  • 東日本大震災における自衛官や警察官、道路公団の職員などの活動状況をもとに綴った小説(2014/03/01発行)。

    本書は、小説家が書いたプロパガンダ本だと云って差し支えないと思います。 著者は否定していますが、どう見てもヒーロー伝として書かれています。 そのため、一見、感動溢れるドラマのように見えますが、注意深く読むと、結構とんでもないことが書かれています。 

    例えば、被災した福島の原発の冷却をするため、放水を行おうと現地に入った自衛隊は、作業を開始する直前に水素爆発に遭遇し、東電他の民間人の安否を確かめず真っ先に退避したり、自衛隊の現場司令官が現地に独走し警官の制止も聞かず現場入りしたり、自衛隊が、警察、消防、東電などを指揮するよう言われても指揮できませんと言って指揮を拒否したり等々、国防や災害など非常時に活動することをテーゼとする自衛官が、結構トンデモナイことをしています...;)

    この他、即時対応が求められ作られた中央即応集団(CRF)の中央特殊武器防護隊と云う部隊は、半数の隊員が休暇中のため集まらず、その内の52名については連絡もつかず組織として明らかに問題があるにも関わらず、非常に評価されています。

    他にも、いろいろツッコミどこるが有り、結構トンデモない内容でした。 救助活動や遺体捜索などにあたった方たちの活動を綴ったドキュメンタリーかと思っていましたが、個人的には残念な本でした。

  •  もっと真剣に事実を知ろうとせねば、と思う。相変わらず何も考えずに日々安穏と生きる状態、ということだけ自覚できるようにはなった。そこから先にどう出ていけっばいいかを未だ決めかねる。答えのない問に答えることは難しい・・・。本書の内容も単なる情報として捉えてしまっただけではもったいなすぎる。多くの発想を生むきっかけとしたい。

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大震災の夜、漆黒の闇を走り回り、救命部隊のルートを切り啓いた国交省チームと民間建設業者たち。曇ったマスクを投げ捨て、原発への放水に挑んだ自衛隊員。爆発した原発の傍らで住民の避難誘導を続けた警察官。医療器具を抱えて自主的に被災地へ飛び込んだDMAT(災害派遣医療チーム)……地震発生直後から「前へ!」と突き進んだ名もなき人々の、壮絶にして感動溢れるドラマ。

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