東京漂流 新版 (新潮文庫 ふ 19-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101220116

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  • フィリピンでの行き帰りの飛行機の中で藤原新也氏の『東京漂流』を読んだ。今年2月に読んだ彼がインド放浪から帰りその放浪のなかで感じた物を書き綴り1972年に出版した「インド放浪」だったが、今回の旅には彼がその十年後1983年に放浪のあと新潮社のフォーカスで「東京漂流」というタイトル連載を始めその後数回で連載を辞める事となった事件の事のあとに書き下ろした著作「東京漂流」を持って行った。この著作の中で著者は60年代、70年代にアメリカの濃い影響を受けた資本主義の大きな波の中で著者の言う「日本人が古来持っていた善の十戒を捨て悪の十戒をもとに自己の利益の拡大のみを目的として奔走した時代」につき、その時代に象徴的におきた我々の心に今も残っている事象や事件をピックアップしその時代検証をしながら鋭い論評を加えている。先の見えない21世紀になり3.11を経てどうやっても好転しない日本経済のもと多くの日本人が先の見えない不安の中で生きている今、今後日本人は何を大事にしどう生きるべきかの指針を考える上で重要な考える基盤を与えてもらったような気がした。昨今2020年で残すべき建造物のレガシー(次の世代への遺産)に関しニュースがうるさいが、メディアは物の事も大事ではあるがオリンピックが多くの国民(特に次世代を担う若者達)に残すべき精神的なレガシーはどういった物であるべきかという事について追い込むべきではないかと考えていたのでその考えを少しずつ進める上でも大事な示唆を与えてくれた気がする。おすすめです。

  • 090414(n 090802)
    100113(n 100203)

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著者プロフィール

1944年福岡県生まれ。『印度放浪』『全東洋街道』『東京漂流』『メメント・モリ』『黄泉の犬』『日本浄土』『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』『死ぬな生きろ』『書行無常』『なみだふるはな』など。

「2022年 『若き日に薔薇を摘め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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